連載 ニュースウォーク・63
SARSの戒め
白井 正夫
1
1元朝日新聞編集委員
pp.572-573
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100111
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ふるさと新潟市にあった母校,万代小学校が少子化のあおりで隣の学校と統合し,懐かしい校名が消えてしまった。どこにでもある田舎の学校だったが,校歌だけは格調があり,いまも口ずさむことができる。作詞者は「早稲田大学校歌」「カチューシャの唄」などで知られる郷土の歌人,相馬御風である。
『早稲田文学』に関わっていた若き御風が恩師の島村抱月から早稲田大学創立25周年を記念して校歌を頼まれ,書き上げたのが「都の西北~」である。その後,島村は早大教授を辞して芸術座を起こし,女優松井須磨子と新劇運動を展開する。上演したトルストイ『復活』の劇中歌として御風が抱月と合作した「カチューシャの唄」を須磨子が歌って大ヒットした。しかし抱月は1918年(大正7年),世界をおおったスペイン風邪で急死し,2か月後,須磨子は後を追って自殺する。
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