保健師ジャーナル 81巻3号 (2025年6月発行)

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特集　介護予防・日常生活支援総合事業の充実と地域共生社会の実現

扉 81巻3号 , 2025年6月 , pp.187

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2023年12月、介護予防・日常生活支援総合事業（以下、総合事業）の充実に向けた検討会で中間整理がまとめられた。超高齢化社会において、高齢者の尊厳と自立を支えるため、市町村が中心となり、医療・介護専門職や地域住民・産業など多様な主体と連携した「地域共生社会」の構築が求められている。総合事業はその基盤であり、高齢者が地域で主体的に活動し、必要な支援を受けられる体制づくりが重要である。

保健師の役割として、地域住民の活動促進や多様な主体との協働を通じ、高齢者が自分らしく生活できる環境を整えることが期待される。本特集では、自治体の実践事例を交えながら具体的な取り組みを紹介する。

地域共生社会の実現に向けた介護予防・日常生活支援総合事業の充実岸　英二 81巻3号 , 2025年6月 , pp.188-192

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「介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会における議論の中間整理」を踏まえ、総合事業の充実に向けた基本的な考え方や具体的な方策等について解説するとともに、中間整理の内容をどのように受け止め、保健活動に活かしていくことが望まれるかについて述べる。

生駒市の取り組みから考える介護予防・日常生活支援総合事業の可能性田中　明美 81巻3号 , 2025年6月 , pp.193-198

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生駒市では、ひきこもりの人、障害のある人が「担い手側」になるような設計で、介護予防・日常生活支援総合事業を組み立て、地域づくりに活用している。本稿では、その組み立て方や地域デザインについて解説し、取り組みの成果についても報告する。

大東市における取り組み—地域の民間企業と協同して課題に備える水元　夏萌 81巻3号 , 2025年6月 , pp.199-204

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大阪府大東市では、清掃業者やシルバー人材センター等の地域の民間企業を巻き込んで介護予防・日常生活支援総合事業を実施している。本稿ではその取り組みを紹介するとともに、民間企業を巻き込むことで、自治体・利用者・民間企業にどのような相乗効果が生まれているかを解説する。

新篠津村における取り組み—地域の課題を踏まえた「冬の通いの場」の実証実験鈴木　一郎 81巻3号 , 2025年6月 , pp.205-211

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北海道の新篠津村では、介護予防・日常生活支援総合事業として、「冬の通いの場」（冬限定）の移動支援（送迎）付き介護予防活動を実施している。本稿では「冬の通いの場」（冬限定）の移動支援を実施するに至った地域の背景や取り組みの内容・成果について報告する。

横浜市の介護予防施策の展開—介護予防・日常生活支援総合事業の発展から地域共生社会の実現を目指して清水　智子 81巻3号 , 2025年6月 , pp.212-220

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横浜市では、一般介護予防事業や、介護予防・生活支援サービス事業と連動させて、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」を開始している。フレイル予防対策を中心にその取り組みを紹介するとともに、保健師に求められる役割についても考察する。

Pick Up

「あいりき」が教えてくれるもの—精神疾患のある当事者との共同創造蔭山　正子 81巻3号 , 2025年6月 , pp.179-183

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「あいりき」とは、愛する力を磨くピア学習プログラムの略称である。精神疾患のある人を対象に効果検証したプログラムだが、疾患の有無や立場にかかわらず誰でも参加できる。本稿では、精神疾患のある当事者（以下、当事者）との出会い、「あいりき」の誕生・内容、共同創造（コ・プロダクション）から学んだことをお伝えしたい。

調査報告

保健所保健師が取り組んだ自殺未遂者支援事業の評価坂井　真優 , 福田　光 , 森原　千秋 , 藤田　玲子 , 千葉　佐和江 , 東久保　ちあき 81巻3号 , 2025年6月 , pp.222-228

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緒言

　わが国の自殺者数は減少傾向にあるものの、依然として年間2万人を超える水準で推移している^1）。特に、自殺未遂者は自殺企図を繰り返し最終的に自殺死亡に至る可能性が高いことから^2）、再企図防止は自殺対策において効果的である。自殺未遂者の多くは救急搬送されても身体的治療が優先で、根本的な問題が解決しないまま地域に戻ることが多い。そのため、複合的な問題の解決には支援機関が連携しながら地域で継続的に支援していくことが重要である。自殺総合対策大綱^3）では自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐことが重点施策とされ、医療と地域の連携推進による包括的な自殺未遂者支援の強化を図ることが明記されている。

　近年、自殺未遂者支援は全国の自治体で取り組まれており、広島県では第3次広島県自殺対策推進計画^4）で重点施策に掲げている。A圏域でも2019（令和元）年12月から保健師が中心となり、医療機関等と連携して「A地域いのち支える相談支援事業」（以下、本事業）を行っている。しかし、公衆衛生の現場における自殺未遂者の支援について、望ましい介入や、効果の指標に関する方法論が確立しておらず^5）、本事業について振り返りや効果検証が十分にできていない。

　そこで、本研究は保健師が取り組んだ支援と事業の効果について明らかにすることを目的とした。事業の実践から効果が得られた背景を考察し、今後のあり方を検討することで、県内の他圏域においても自殺未遂者支援の取り組みを広げる一助となることが期待される。

活動報告

保健師地区活動における「チーム制」定着までのプロセス—板橋区における取り組みの効果と課題小松　貴代美 , 磯貝　裕三江 , 木内　聖子 , 渡辺　園子 81巻3号 , 2025年6月 , pp.229-234

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　地区担当制の課題解決のため、東京都の板橋区では2022（令和4）年度より地区担当制をベースとした「チーム制」を導入した。「チーム制」定着までの取り組みと、地区担当保健師に行ったアンケートをもとに、「チーム制」の効果と課題を報告する。

連載　明石こどもセンターに学ぶ！　児童相談所保健師の役割と虐待対応・1【新連載】

—連載のはじめに—明石こどもセンターの成り立ちと特徴秋末　珠実 , 稲垣　由子 81巻3号 , 2025年6月 , pp.236-242

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連載にあたって

　2019（令和元）年の児童福祉法改正により児童相談所に保健師が必置化され、2022（令和4）年から配置が義務となりました。児童福祉と児童虐待対応の最前線である児童相談所の保健師は、自身の役割や存在意義について悩みながら悪戦苦闘している姿が想像できます。

　兵庫県明石市は、2018（平成30）年に中核市へ移行し、子どもを核としたまちづくりを進めています。そして、「すべてのこどもを　まちのみんなで　こどもの目線で本気で応援する」ことを掲げ、2019年に児童相談所「明石こどもセンター」（以下、当センター）を開設しました。

連載　成果につながる保健指導　対象を読み解く病態理解とアセスメント・9【最終回】

信頼され結果も出せる保健指導を—連載のまとめ② 野口　緑 81巻3号 , 2025年6月 , pp.244-249

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　前回は、行動変容促進モデルの基本を振り返りながら、保健指導の成果が出ない場合の対応や、行動変容ステージとの関係などについて解説しました。最終回となる今回は、保健指導を拒否された場合や行動変容が起こらない場合に、保健師が持つべき考え方について解説します。そして最後に「成果につながる保健指導」という言葉が示す意味をあらためて考えます。

　なお、行動変容促進モデルによる説明の視点「行動変容を促す5つのステップ」を、最後にもう一度示しておきます。

連載　みんなで活かそう！　私たち保健師のコアバリューとコアコンピテンシー・6

—【座談会】最終回にあたって—「保健師のコア」明確化の意義—共有・活用・進化へ麻原　きよみ , 河西　あかね , 村上　郁也 , 曽根　智史 81巻3号 , 2025年6月 , pp.250-255

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麻原　「保健師のコアバリューとコアコンピテンシー」（以下、「保健師のコア」）は、全国保健師長会、日本公衆衛生看護学会、全国保健師教育機関協議会（全保教）と有志が立ち上げた「保健師の未来を拓くプロジェクト」が主体となって作成に取り組みました。さらに、日本保健師連絡協議会を構成する6団体（前述の3団体のほか、日本看護協会、日本産業保健師会、日本保健師活動研究会）にも諮りながら検討を進めました。

　そして、デルファイ調査等を経て、最終的に3つのコアバリューと8つのコアコンピテンシー（表）を明らかにしました。この経緯については、「保健師ジャーナル」2024年8月号の特別記事^1）などでも紹介されています。

連載　命をつなぐ災害復興法学　被災者を支えるお金とくらしの話・6

—借金の支払いに困った個人の方のために—自然災害債務整理ガイドラインを活用しよう岡本　正 81巻3号 , 2025年6月 , pp.256-260

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災害後にローンに悩む被災者の声

　住宅ローン、自動車のローン、リフォームローン、奨学金、個人事業のローン等、まとまった借金を抱えながら日々の生活を送り事業を継続することは、決して珍しくありません。被災する前であれば、日常の収入の中から毎月の返済を続けられていたはずです。

　ところが、災害によって収入を失うなどしてしまうと、既存のローンが重い負担としてのしかかります。加えて、自宅や事業所等が大きく損壊してしまうなどの甚大な被害を受けた場合は、その再建に多額のお金がかかってしまいます。災害後に義援金や被災者生活再建支援金等の公的支援金を得たとしても、そのお金はローン返済に充てずぜひとも手元に残しておきたいところです。

連載　研究室からのメッセージ・193

淑徳大学看護栄養学部　看護学科地域看護学渡邉　多恵子 , 氏原　将奈 , 鈴木　茜 , 名村　駿佑 , 川瀬　智也 , 渡辺　真澄 , 桝谷　哲平 81巻3号 , 2025年6月 , pp.261

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History and Now

どのような機関なのでしょう？

　淑徳大学は、1965年に社会福祉学部社会福祉学科の単学部・単学科の大学として開学し、2025年に創立60周年を迎えます。創設以来、学部・学科の拡充を重ね、現在では7学部13学科を有する総合大学へと発展しました。千葉、千葉第二、東京、埼玉の4キャンパスで構成されており、看護学科は千葉第二キャンパスに設置されています。

　地域看護学領域は「コミュニティ・エンパワメント研究室」として、地域社会の健康と福祉の向上を目指し、保健、医療、福祉などの専門職との連携による実践と研究による科学的根拠の両側面から、コミュニティ・エンパワメントに向けた仕組みづくり、街づくりを探求しています。

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目次 81巻3号 , 2025年6月 , pp.184-185

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バックナンバー一覧 81巻3号 , 2025年6月 , pp.221

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今月の3冊プラス1 81巻3号 , 2025年6月 , pp.243

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INFORMATION　学会・研究会・講演会などのお知らせ 81巻3号 , 2025年6月 , pp.262-263

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次号予告・編集後記 81巻3号 , 2025年6月 , pp.264

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基本情報

保健師ジャーナル
81巻3号
(2025年6月発行)

電子版ISSN：1882-1413 印刷版ISSN：1348-8333 医学書院

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第2位信頼され結果も出せる保健指導を—連載のまとめ② 野口緑保健師ジャーナル 81巻 3号 pp. 244-249 (2025年6月10日) 医学書院
第3位地域共生社会の実現に向けた介護予防・日常生活支援総合事業の充実岸英二保健師ジャーナル 81巻 3号 pp. 188-192 (2025年6月10日) 医学書院
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投稿規定

保健師ジャーナル 81巻3号 (2025年6月発行)

特集 介護予防・日常生活支援総合事業の充実と地域共生社会の実現

Pick Up

調査報告

活動報告

連載 明石こどもセンターに学ぶ！ 児童相談所保健師の役割と虐待対応・1【新連載】

連載 成果につながる保健指導 対象を読み解く病態理解とアセスメント・9【最終回】

連載 みんなで活かそう！ 私たち保健師のコアバリューとコアコンピテンシー・6

連載 命をつなぐ災害復興法学 被災者を支えるお金とくらしの話・6

連載 研究室からのメッセージ・193