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寝たきり予防研究会(編)―高齢者虐待―専門職が出会った虐待・放任―豊富な事例で虐待問題に福音を
近藤 政代
1
1横浜市福祉局高齢福祉部
pp.576
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100113
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平成15年1月から2月にかけ,神奈川県内で2つの高齢者介護をめぐる事件が起きた。「介護疲れ79歳母殺す―57歳無職男を逮捕」「寝たきりの81歳母を殺害―介護の二男容疑で逮捕」。
前者は57歳の息子が,半年前からはじまった介護に疲れて痴呆症の母親の首を手で絞めて殺した。後者は再三注意したのにもかかわらず,排便などが上手くできない母に暴行を加え,そのまま放置し死にいたらしめたという事件である。当事者間のどうしようもない苦渋を感じるとともに,老いること,とくに老いて介護が必要な状態になることについて深く考えさせられる。そして社会的な責務を担う専門職として,このような事件がくりかえされないためにできることは何かと自問自答する。同じような思いを抱いている保健師は多いのではないか。
本書は,保健医療福祉分野で働く専門職により組織された「寝たきり予防研究会」の研究・実践成果をまとめたものである。専門職の息づかいとともに,専門職の立場から高齢者虐待のとらえ方や高齢者虐待の防止・予防対策を整理でき,実践に役立つ。
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