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結核の榮養實態について—家庭療養
調子 綾子
1
1京都保健婦養成所
pp.39-42
発行日 1951年6月10日
Published Date 1951/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200097
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吾國は結核の蔓延に於ては歐米諸國の夫に比して較べものにならない位甚しいものがあり,結核問題は今日の吾國に於ては殊に最も重要なものゝ一つになつている。結核症に對する一般的療法の原理が,體力を増強せしめ,結核菌に對する抵抗力を養うにある以上,結核患者にとつて榮養の重要な事は,大氣,安靜療法と共に,茲に多言を要しない位大切な地位を占めております。私達保健婦が來診の結核患者を相手に又屆出結核患者の訪問を行い,その療養法を指導するとき結核の外科的療法はさておき,10人が10人必ずその大氣,安靜,榮養療法の大切なる事を指導しておりますが,その中の榮養に就ては榮養士が配屬されてもいず設備も不完全なため患者に對して出來るだけ榮養のあるものを攝取する樣,抽象的な指導をする場合が非常に多いのでありました。しかし,結核患者の榮養攝取の實態を把握せず,從に榮養問題を云々したりすることは保健婦として完全なる指導ではないのでないかと考えると同時に,終戰後漸次食糧事情の好轉しつゝある現今にあつて他の療法と同樣に患者が常に榮養に留意して鬪病生活を行つているものかどうか,という點を一度調べてみたいとかねがね思つておりました處,隅々實態調査の機會を得ましたので擔當保健所管内家庭療養者を對象として調査を行いましたので,茲にその成績を發表いたします。
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