研究 痴呆性老人に対する地域ケア実践と評価
第4報 痴呆性老人・家族への地域ケアシステムの評価
市原 幸
1
,
島内 節
2
,
橋本 怜子
3
,
桜井 裕子
3
,
柴 静枝
3
,
石川 正子
3
,
川崎市麻生保健所衛生看護係
1能本県阿蘇保健所
2国立公衆衛生院
3川崎市麻生保健所
pp.758-768
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207589
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はじめに
高年齢老人が飛躍的に増加することから,将来,わが国の痴呆性老人の増加は必至である。この老人へのケアを1つの機関で包括的に実施することは不可能である。いくつかの機関の活用と連携,さらに新たなケアを加えたり機関の新設も必要である。昭和57年11月,公衆衛生部会からの意見書「老人精神保健対策に関する意見」では,"老人の痴呆性疾患の患者にとってできる限り住み慣れた家庭においてケアすることが最も望ましい……"と述べている。しかし,在宅で本人にとって必要なケアがされ,家族の心身の負担を軽減する方策を地域ケアシステムとして確立することは,本格的にはこれからというのが実態である。
川崎市麻生保健所管内においては痴呆性老人に対して,保健サービスとして訪問看護,精神衛生相談,デイケア,福祉制度として入浴サービス,ショートステイ,医療機関でのケアなどの諸活動を行っている。これらが必要な人に必要時に活用され,機能しているか,地域ケアシステムの実態分析から評価し,具備すべき要件を検討した。この号は,1,2報の介護ニーズと支援評価,3報のデイケア展開の評価の続編である。なおこの報告は,国立公衆衛生院の学習の一貫として筆頭者が中心となって調査研究したものを,他の筆者が協力してまとめたものである。
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