調査報告
学校の禁煙化が生徒のたばこに対する意識に及ぼす影響
森脇 俊
1
,
坂元 博子
1
,
衣笠 幸恵
2
,
高塚 すみ子
3
,
圓山 誓信
4
1大阪府豊中保健所地域保健課
2大阪府豊中保健所企画調整課
3大阪府高槻保健所企画調整課
4大阪府吹田保健所
pp.540-545
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100102
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■要旨
学校内をすべて禁煙とし,教員も生徒の前では喫煙しない取り決めを行っている中学校(A校)と,校内での教員の喫煙が許されている中学校(B校)それぞれの1年生に対し,喫煙の害に関する知識,友人が吸っていた時にどのような行動をとるか,たばこそのものに対する考え方などについて調査を行った。
喫煙経験は両中学校で有意な差はなく,男子生徒が約25%,女子生徒が約15%であった。生徒の喫煙の害に関する知識は,喫煙の害が「心臓病」「脳卒中」「赤ちゃんへの影響」に関係すると答えた生徒の割合がA校でB校に比較して有意に高かった。「友人がたばこを吸っている時,やめるように言えない」「友人からたばこを勧められた時に断れない」と回答した生徒の割合はともにB校がA校を上回った。また,喫煙に対する考え方として,「喫煙は本人の自由」「20歳になれば吸ってもよい」「子どもが吸えないのはおかしい」など,喫煙に肯定的な回答した生徒の割合がB校で高く,「未成年は吸ってはいけない」「飲食店では禁煙席がいい」「たばこの害の知識を得るべき」など,喫煙に否定的な回答した生徒の割合がA校で高かった。
以上の結果から,生徒への直接的な喫煙防止教育だけでなく,職員室を禁煙にするなど,学校ぐるみでの環境整備に取り組むことが,生徒の意識を高めることに有効であると考えられた。
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