medicina 50巻1号 (2013年1月)

特集 進化し続ける内科診療―世界が認めたブレイクスルー

上野 文昭
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Japan Domesticから

Global Standardへ

 『medicina』の創刊から半世紀が経過した.筆者が医学に無縁でBeatlesにうつつを抜かしていた中学生の頃から,本誌は日本の内科医に常に適正で最新の医学情報を提供し続けていたわけである.当時から日本は文化的な先進国であった.世界に誇れる診療行為も決して少なくなかったはずである.しかし,そこに自惚れと慢心があったのではないだろうか.日本のよさを世界に発信して公平な評価を得ようとせず,また世界のよさを取り入れようともせず,日本独自の内科診療が形成されていった.筆者が米国での臨床研修から戻った1970年代には,臨床におけるあまりの隔たりに愕然とした.特に専門領域の医学誌が伝統芸能の保存に執心しているなかで,『medicina』だけは異端児のような存在であり,世界の内科医たちと情報共有が可能であった.

 やがてIT化の波が押し寄せてきた.情報が瞬時に共有されるフラットな世界があらゆる分野で形成され,医学においても例外ではなくなった.蛙の住んでいた小さな井戸がいきなり大海と繋がった今日,若干の人種差や文化の相違は別として,Global Standardを否が応でも意識せざるをえない時代となった.現代の日本の臨床医学は世界のよさを素材としながら日本の味付けで仕上げた美味しい医療の提供を可能にしている.半世紀にわたり気を吐いていた『medicina』がようやく異端児ではなく,当たり前の存在として認められる時代が到来しているように思われる.

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藤田(司会) 本日は「いま,内科医に求められるものとは」をテーマに,研修医教育や診療に第一線で奮闘活躍中の先生方にお集まりいただきました.私以外の3人の先生方は,米国での教育も経験されており,日米比較などいろいろなお話を聞くことができるのではないかと大変楽しみにしております.

呼吸器

喘息・COPD 三嶋 理晃 , 星野 勇馬
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気管支喘息

ポイント

・1990年代初頭の各国のガイドライン提唱以来,吸入ステロイドによる長期管理が普及し,疾患管理は飛躍的に改善した.

・その後,吸入ステロイド・β2刺激薬の合剤やロイコトリエン拮抗薬などが標準治療に組み込まれ,喘息の治療は着実に進歩している.

肺炎 北原 光夫
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 肺炎を起こす細菌の原因菌は1930年代にはかなり同定されていたが,治療面での進歩は1941年にペニシリンが使用できるようになってからである.どの細菌にも当てはまるように,ペニシリン耐性肺炎球菌の出現が1980年代になり報告されるようになった.第3世代セフェム薬(とくにセフトリアキソン,セフォタキシム)が耐性肺炎球菌に有効であり,重症例に使われる場合がしばしばある.

 肺炎の治療においては,耐性菌の出現,高齢者の増加と原因菌の多様化,レジオネラ肺炎の可能性,肺炎の原因菌の同定までの時間などから,市中肺炎の重症度の基準や肺炎診療ガイドラインが提案されて,かなり用いられるようになっている.

循環器

虚血性心疾患 山口 徹
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 突然始まる胸痛発作のある疾患にangina pectoris(狭心症)という言葉を用いたのは,1768年,Heberdenが最初とされる.その成因が冠動脈疾患であると認識されるようになったのは20世紀に入ってからであり,1940年代になって狭心症と心筋梗塞が独立した疾患として扱われるようになった.冠動脈の内腔狭窄,閉塞の重要性が認識され,その主な成因が粥状動脈硬化であることが明らかにされ,狭心症と心筋梗塞は包括して虚血性心疾患とされるようになった.半数以上が虚血性心疾患である心疾患の死因別粗死亡率は,悪性新生物に次いで第2位を占め増加しているが,年齢調整した虚血性心疾患の死亡率は1970年頃を頂点に減少傾向にある.血行再建治療のめざましい進歩,普及や冠危険因子に対する薬物治療の進歩が貢献していると考えられる.紙面の都合上,本稿では治療を中心にまとめた.

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高血圧治療とは

 高血圧の診断は二次性高血圧の鑑別,関連諸臓器合併症の把握,リスク因子の有無のチェックなどによる重症度の決定からなる.高血圧治療の目的は厳格な降圧あるいは適切な降圧により,心血管系合併症の進展や脳卒中,心筋梗塞など心血管イベント(事故)のリスクを抑制し,生活の質(QOL)を保った健康長寿を目指すことである.最近では人口の高齢化により,高齢者の認知症や,寝たきりを予防することが大きな課題となっており,高血圧の治療,予防はこの点においても有効なことが証明されている.

 高血圧の成因,病態の解明についてはレニンの発見が100年程前であることから,その歴史は100年以上あるが,成因・病態研究は降圧薬の出現により大きく進展し,降圧薬の発見は高血圧の理解を深め,さらに新たな降圧薬の開発の基となった.特に利尿薬,Ca拮抗薬,レニン-アンジオテンシン(R-A)系阻害薬の出現は高血圧治療を大きく変えた.

心不全 篠山 重威
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 心不全とは,すべての心疾患が最終的にたどり着く終末像を示す病態名であって病名ではない.したがって心不全の概念と治療法は時代とともに大きな変遷を遂げてきた.20世紀の半ばまでは,心不全は心機能の変化に基づく腎機能障害(cardiorenal disorder)と考えられ利尿薬が治療の中心であった.1960年代~1980年代にかけて心不全は末梢循環を含めた心臓循環状態異常(cardiocirculatory disorder)と考えられ,強心薬や血管拡張薬によるポンプ機能の改善に力が注がれた.1980年代の後半から現在にかけては神経体液系の障害(neurohumoral disorder)と考えられるようになった.その治療の中心はβ遮断薬やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に置かれている.そして,20世紀の終わりから21世紀にかけて非薬物療法および再生医療が台頭してきた.

消化器

消化性潰瘍 浅香 正博
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消化性潰瘍診療の歴史

 消化性潰瘍は,20世紀の初頭まで胃癌とならんで致命率の高い疾患であった.当時,消化性潰瘍の診断はきわめて困難であり,死後の解剖によって初めて診断がつくケースがしばしばであった.その後,バリウム造影や内視鏡検査の普及により診断は可能になってきたが,安静や制酸薬以外,適当な治療法がなかったため内科医にとっては患者をどう取り扱ってよいのかわからない厳しい時代が続いた.内科医によって治せない多くの消化性潰瘍患者が外科手術に回されていたのである.

 消化性潰瘍治療の最初のブレイクスルーは1976年,わが国でH2ブロッカーのシメチジンが発売されたことにより突然やってきた.これまで何種類もの薬剤を大量に投与しても治癒に導けなかった潰瘍のほとんどが,わずか4錠のシメチジンの服薬で治癒に至ったのである.消化性潰瘍の診療に従事していた医師の大半はこの時の衝撃を忘れることができないと思っている.この瞬間から消化性潰瘍の治療が内科医の手によってコントロールされることになった.酸のないところに潰瘍は生じないという昔の格言がまさに正しかったといえる.その後,酸をさらに完璧に抑制できるプロトンポンプ阻害薬(PPI)が開発され,潰瘍を治癒させるという点ではゴールが見えてきた.しかし,酸分泌抑制薬を中止すると潰瘍は高い確率で再発を繰り返し,自然史を変えない限り消化性潰瘍との闘いは長期間にわたって続くことを感じていた.

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 ことには始まり,終わりがあり,すなわち起承転結がある.慢性ウイルス性肝炎の診療の変遷はその例えが当てはまるほど劇的である.本稿では,自身が米国,千葉大学,東京大学,そして故郷山梨で臨床に携わった43年間のエピソードを交えながら,ウイルス発見から治療までの起承転結を述べる.

炎症性腸疾患 朝倉 均
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 現在,本邦では炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸炎患者数は12万人強,Crohn病患者数は3万人強であり,次第にcommon diseaseになりつつある.

 本項では,炎症性腸疾患,潰瘍性大腸炎とCrohn病のブレイクスルーを,医史学,診断,病態および治療の面から解説する.

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 腎臓の基本構造は複雑で,最も重要な腎機能である水・電解質・酸塩基平衡調節系と老廃物排泄を担うネフロン系は再生できない.そのため,原疾患による差はなく慢性腎不全は進行し,最終的に末期腎不全に至るか,そのほかの原因で死亡する不治の病であった.

 慢性腎不全は原疾患の根治療法が確立しないと進行阻止は困難である.多くの腎臓病の成因,病態,治療に関連する研究により進行性腎疾患に対する有効な治療法が確立してきた領域もあるが,いまだ慢性腎不全への進行を確実に阻止することはできない.

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 脳卒中は死亡または身体障害を生じる疾患として日本を含むすべての先進国で首位の座を占めている.脳卒中診療の進歩により脳卒中の死亡率も発症率も減少しつつあるが,高齢者の増加と生活習慣病の蔓延により脳卒中患者数は依然として増え続けている.世界中のどこかで2秒に1人は脳卒中を発症しており,6秒に1人が脳卒中で死亡している.また,生涯に世界では6人に1人,日本では5人に1人が脳卒中を発症すると推計されている.脳卒中急性期診療は時間との戦いである.「Time is brain」の標語とともに世界中でブレインアタックキャンペーンが展開されてきたが,早期診断と早期治療により脳卒中が治療可能な疾患になった.このような脳卒中診療の進歩には画像診断の進歩と血栓溶解療法の登場が大きなブレイクスルーとなった.

Parkinson病 祖父江 元
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 Parkinson病(PD)は,黒質線条体ドパミン神経細胞の変性とαシヌクレインを主成分とするレヴィ小体の出現を特徴とする進行性の神経変性疾患であり,静止時振戦,筋固縮,無動,姿勢反射障害を特徴とする.また,精神症状,睡眠障害,自律神経不全をはじめとする多彩な非運動症状も呈する.有病率は人口10万人あたり100~150人と推定されている.発症年齢は50~65歳に多いが,発病率は高齢になるほど増加し,Alzheimer病とならんで,加齢に伴って増加する代表的な神経変性疾患である.

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白血病薬物療法の歴史(図1)

 白血病は血液細胞のがんであり,1個の細胞ががん化し,クローンを形成,骨髄を占拠する.その結果,正常造血は危機に瀕して患者を死に至らしめる.がん化の標的は通常造血幹細胞である.遺伝子変異がステップを踏んで複数生じる(多段階)ことによって,白血病幹細胞が生まれ,クローンが拡大すると考えられている.

 白血病は発症時から全身をめぐり,薬物以外には治療の術がないため,早くから薬の探索が試みられた.古くはヒ素のような天然物が試された.本稿で取り上げる慢性骨髄性白血病(CML)の場合,1940年代はヒ素がフォーレル水として処方され,白血球と脾腫(図2)のコントロールがなされた.

代謝・内分泌

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 糖尿病は,インスリン分泌不全あるいはインスリン抵抗性を基礎病態とした代謝疾患である.糖尿病のほとんどは,インスリン抵抗性とインスリン分泌不全を基礎として緩徐に進行する2型糖尿病である.免疫異常などにより急速にインスリン分泌が枯渇し,インスリン治療が欠かせなくなる1型糖尿病は糖尿病全体の数%である.この2つの型以外に血糖値が高くなる疾患として,遺伝性疾患,膵臓疾患,ステロイド使用,甲状腺機能亢進症,副腎疾患,肝臓疾患などがあり,「そのほかの糖尿病」に分類されている.これ以外の分類として,妊娠期間中のみ血糖値が上昇し,妊娠終了とともに高血糖状態が改善する妊娠糖尿病がある.このような分類も,基礎研究や大規模な疫学研究を基に変遷してきている.

 わが国の2型糖尿病の患者数は,約890万人(2007年の国民健康・栄養調査)と推定され,増大を続けている.本稿では,このように増大してきた糖尿病におけるブレイクスルーとして,インスリンに始まる治療薬の進歩,血糖コントロールの目標,血糖変動の把握としての血糖自己測定(SMBG)と持続血糖モニタリング(CGM),の3点を取り上げ,それぞれ概説する.

脂質異常症 木下 誠 , 林 洋
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 脂質異常症は,つい最近まで高脂血症(さらにそれ以前は高脂質血症)と呼ばれていた.現在,血清脂質値の異常は動脈硬化症の危険因子として注目されており,その主体は高LDLコレステロール(LDL-C)血症,高トリグリセライド血症,低HDLコレステロール(HDL-C)血症である.したがって,動脈硬化症の危険因子としての血清脂質値異常を一言で表す言葉として,「高」脂血症では相応しくないため脂質異常症と表現されるようになった.

 血清脂質はほとんどが血漿リポ蛋白に存在していることから,脂質異常症はリポ蛋白異常症とも考えられる.第2次世界大戦後の血清脂質代謝の研究はリポ蛋白代謝の研究で始まり,その成果が内科診療に順次取り入れられていき,動脈硬化症の診療において一つの頂点に達した.

リウマチ

関節リウマチ 上野 征夫
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それまでの診療

 関節リウマチ(RA)は,全身の大小関節に対称性に炎症が出現しこれが持続する疾患である.一体この疾患が人類史上いつ頃から現れるようになったかは,一種の謎とされている.まぎれもなくRAという最初の臨床症状の記載は,1800年,フランスのLandré-Beauvaisによるものとされている.英国のAlfred Garrodが,それまでリウマチ性痛風と呼ばれていたもの,あるいはリウマチ熱とこれを区別して,rheumatoid arthritisという名称を提唱したのが1859年のことである.

 このようにRAが提唱されてからの歴史は比較的新しい.しかし,RAの治療がそれまでどのようなものであったか,探るのは難しい.古代ギリシャにおいてヒポクラテスは,鎮痛と解熱に柳の樹皮や葉を用いたと言われている.この伝統医療は,次に述べるアスピリン治療と決して無縁ではない.

感染症

結核 倉島 篤行
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 結核症は,ほぼヒトのみを宿主とする結核菌が飛沫核伝搬(空気伝搬)で感染して発病する伝染性の疾患であり,現行のわが国の感染症法では診断したら直ちに届け出が必要な二類感染症である.罹患臓器は肺が圧倒的であるが,菌が血中に入り散布,全身性に進展することもある.

 感染と発病は異なり,感染者の約1ないし1.5割が数カ月~数十年という潜伏期間の後,発病する.HIV感染があると著しく易感染性になるため,アジア,アフリカを主に増加を続け全世界で年間約930万人の新規発病があると推定されている.わが国の罹患率は,2011年で人口10万対17.7(実数で約2.3万人)に下がってきたが,なお米国などの約5倍のレベルである.

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 診察室に患者が入るやいなや,時候の挨拶後に簡単な問診を含む診察,大変順調である検査データの説明がなされ診療が終わる.早ければ5分もかからない.今日のHuman Immunodeficiency Virus(HIV)感染症外来の風景を通常の高血圧や糖尿病外来のそれと区別できる人はいないだろう.それほどHIV感染症診療は高度に標準化され,診療目標(≒CD4陽性リンパ球を高く保ち,ウイルスの増殖を検出限界以下まで抑えること)の達成率が高いものとなっている.

 振り返ると筆者の患者の多くが10年以上のお付き合い,なかには16,17年フォローしている方もいる.しかし,それ以上長いお付き合いの症例はない.なぜなら1990年代半ばに起きた治療上のブレイクスルーに間に合わなかったそれ以前の症例は100%近く亡くなっているからである.逆にブレイクスルーの恩恵を受け,現在通院中の患者の多くは天寿を全うするであろう.その意味では,HIV感染症診療に起きたブレイクスルーは黄色ブドウ球菌感染症にペニシリンが導入された時と同程度のパラダイムシフトに違いない(図1).

診断学

内科診断学 野口 善令
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診断とは何か

 詰きつめて考えれば診断とは患者が呈している現象(病気)に名前(病名)をつけることである.現象を区分して整理し体系づける営為で,いわば,一種の分類といえる.

 診断学が分類学と異なるところは,分類学が実在する「もの」に名前をつけるのに対して,診断学の対象となる病名は必ずしも「もの」ではないという点にある.病名のなかには,どうみても「もの」ではなく医師の頭のなかにしかない概念に近いものもある.

連載 顔を見て気づく内科疾患・1【新連載】

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症 例:29歳,女性

病 歴:1カ月前から起居,階段昇降などで脱力を感じるようになり来院.

連載 実は日本生まれの発見・1【新連載】

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 カラードプラ法の発明・開発は滑川孝六氏(第1回日本超音波医学会特別学会賞受賞者,東京物理大学応用物理学部卒)が一人の頭脳で行ったものである.彼に3年間好きなように研究,開発をさせたのは小谷野明氏(当時日本無線医理学研究所技術部長)であった.小谷野氏は超音波信号に色を付けて血流を見たいと考えており,日本無線本社からレーダーの開発を行っていた滑川氏を招いた.そして,滑川氏の両手となって働いたのが寺島昌夫氏と近藤裕司氏である.そのほかの人は関与していない.私は,毎週土曜日に三鷹の日本無線医理学研究所に通って,小谷野氏ら技術者と勉強会や情報交換をしていたので,3年の間滑川氏らがカラードプラ法の研究開発を行っているのを見ていた.装置が出来上がると,英国のブライトン市で1982年に開催された第3回WFUMB大会において「リアルタイム二次元血流映像法」と題して発表された.その後,大勢の医師達がこの装置を使い臨床上の多くの研究や診療を行うことが出来た.滑川氏は日循からの帰りの新幹線で「このシステムの内容をよく理解できる人たちに使ってもらいたいのです」と私に語った.カラードプラ法は当初メカニカルセクター装置を用いて開発された.これは滑川氏たちがメカニカルセクター装置を用いてMモードドプラソナグラム装置を開発していたために,これを直ちに利用できたことと,少ない人員で研究開発ができたことによる.その後,電子セクター装置によるカラードプラ法へと進み,多くの技術者が投入された.

 カラードプラ法は欧米に先んじて開発された日本発の技術である.現在,リアルタイム断層像とカラードプラ法を複合した装置を用いた診断法はあらゆる分野,あらゆる臓器において日常的に臨床の現場で利用されるようになっている.

連載 皮膚科×アレルギー膠原病科合同カンファレンス・10

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後期研修医(アレルギー膠原病科) 今回の患者さんは,右足関節と右第3指近位指節間(PIP)関節の関節炎にて紹介となった45歳男性です.10年以上海外駐在をされていた方で,半年ほど前に帰国されてからストレスが強かったとのことです.帰国してすぐに排尿時痛があり,尿道炎の診断で抗菌薬の処方を受け軽快していますが,培養検査などは受けてないとのことです.4カ月前から両下腿に皮疹が出現し(図1),近医皮膚科にて乾癬を疑われて皮膚生検を受け,慢性色素性紫斑の診断がついています.2カ月ほど前から,右足関節の腫脹と痛みがあり皮膚炎との関連が疑われましたが,その後に皮膚病変のない右第3指PIP関節にも同様の関節炎が出現したため紹介となっています.

アレルギー膠原病科医 この時点でどのような疾患を考えますか.

連載 依頼理由別に考える心臓超音波検査とりあえずエコーの一歩先へ・3

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 今回は,いよいよ連載前半のハイライト「心雑音」をテーマに取り上げてみたいと思います.聴診器を当てて,ときおり湘南海岸よろしく聴こえてくるザーッ,ザーッという音が何を意味するのか,思いあぐねる場面は日常臨床のなかで意外と多いのではないでしょうか?この稿ではこうした症例に遭遇したときに,

   「ま,とりあえず心エコーだ!」

と逃げをうつ(?)その前に,そしてエコーの結果が出た後に走馬灯のように考えてほしいことをまとめてみました.

連載 こんなときどうする?内科医のためのリハビリテーションセミナー・10

心臓②心不全 森 信芳 , 上月 正博
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症例

〔63歳,女性〕

 60歳時に動悸,息切れ,下肢の浮腫がみられ,近くの総合病院を受診し,拡張型心筋症,僧帽弁閉鎖不全症,うっ血性心不全の診断で入院となる.退院まで半年ほどかかった.退院1カ月後に心室頻拍,心不全増悪にて再入院した.メキシレチン内服にて状態が安定し,およそ4カ月で退院.

 前回退院からおよそ2カ月後に心不全増悪のため3度目の入院.心エコーでは左室駆出率(LVEF)20%程度と低下し,心電図上wide QRSを認め,左室同期不全を認めた.入院4カ月後に両心室ペーシング,植え込み型除細動器植え込み手術を施行し,QRS幅は80msとなったが,LVEFは改善がみられず,カテコラミンからの離脱困難が続いた.僧帽弁閉鎖不全症が心不全悪化の原因の一つと考えられ,手術の適応が検討されたが,術後の低心機能状態から離脱困難となる可能性があることなどから本人,家族は手術を希望しなかった.入院から11カ月後にようやく強心剤点滴から離脱し,体力の改善を目的にリハビリテーション(以下,リハ)科紹介,転入院となった.

SCOPE

内科本道への回帰 上野 文昭
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わが国の日常診療で遭遇する問題点

症例【シナリオ1】

75歳男性.5日前より黒色便に気づいていたが様子をみていた.黒色便は持続し,労作時の息切れと前胸部の苦悶感を覚えるようになり,地域の医療センターを受診した.主訴が胸痛のため,受付からすぐに循環器外来に案内された.

 著名な循環器医は即座に彼を心カテーテル室に送り,数分後には冠動脈造影検査が行われたが,特に異常所見がなかった.そこで患者は内科外来に紹介された.

REVIEW & PREVIEW

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最近の動向

 Guillain-Barré症候群(GBS)は急性に四肢筋力低下をきたす疾患であり,障害臓器は末梢神経である.発症率は10万人年あたり0.89~1.89人(中央値1.11人)で,ポリオの自然界での根絶により,急性の弛緩性麻痺のなかでは最も頻度が高い疾患となった1).高齢になるほど罹患率は増加し,また,男女比は1.78でやや男性に多い.

 GBSは電気生理検査で末梢神経伝導速度の遅延をしばしば認めることから,末梢神経の髄鞘が傷害される脱髄性疾患と長年とらえられてきた.しかし近年では一次的に軸索が傷害されるものも認識されるようになり,脱髄型(acute inflammatory demyelinating polyneuropathy:AIDP)と軸索型(acute motor axonal neuropathy:AMAN)とに大別される.AIDPは,電気生理検査で脱髄所見を認め,病理学的には末梢神経へのリンパ球浸潤ならびにミエリン鞘とシュワン細胞へのマクロファージ浸潤を認めるもので,ヨーロッパや北米ではこちらが多い.一方でわが国や中国など東アジアではAMANが半数を占め,AMANでは末梢神経に存在するガングリオシドに対する抗体が陽性である.このAMANにおいて,患者から分離されたCampylobacter jejuniを中心とした病原体を用いた研究が進み,感染に続発して起こる自己免疫疾患の原因として,病原体とヒト組織との分子相同性による発症機序が完全証明された最初の疾患と位置付けられている2).本稿では,最新のレビュー1)から臨床的な問題点を中心に,すなわち臨床経過・診断・治療を概説し,続いて臨床上の最近の知見について触れる.

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 今年の春のことですが,ある学会のパネルディスカッションで産学官連携の問題について指定発言を求められました.何枚かのスライドを用意していったところ,学会事務局から,初めに利益相反のスライドを入れることになっているとのことで,その場で作成しました.様式は簡単なものですぐできましたが,こうした発言まで利益相反を明らかにしなくてはいけないものかと疑問を感じました.

 これも一つの例ですが,医学研究において,かつては医師,研究者の創意工夫と努力があればできた研究と公表が,最近はさまざまな制約を受けるようになってきています.特に,海外の雑誌への投稿に関しては,いくつもの手続きが必要になっており,国内の学会などでもその流れは広がっています.

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 待ちに待った本が刊行された.大腸内視鏡の世界のトップリーダーである著者による,質の高い大腸内視鏡診療をめざすすべての消化器内視鏡医のための教科書である.序文に書かれているように,“初版時の時代背景と異なる内視鏡の世界が到来しており,診断・治療面でのドラスティックな変化のなかで,大腸内視鏡挿入法が万古不易のままではありえない”というコンセプトでまとめられた本書は,まさに軸保持短縮法を軸とし,安全で確実な大腸内視鏡挿入法について,豊富なイラストや内視鏡像を用いてわかりやすく解説している.また本書は『大腸内視鏡挿入法』と題しているが,内容としては大腸内視鏡に関する基礎のみならず,大腸内視鏡の診断,治療に関する最新の情報もコンパクトに掲載されている.

 さて,初版の発刊以来15年が経過し,この間に蓄積された豊富な経験に基づき,そして機器の改良,進歩により挿入法も進化しているが,その基本はone man methodであることに変わりがない.そして,挿入技術とともに変わらないのが心構えである.確かに以前に比べると,新しい機器の登場,適切な上級医による指導,シミュレーターやコロンモデルによる修練などにより挿入が比較的容易になったことは事実である.しかしながら,上部消化管内視鏡に比し大腸内視鏡検査は難しい手技であり,また,ベテランであっても挿入困難例に遭遇することは稀ではない.そこで重要なのは著者が強調している“熱意と忍耐”である.すなわち,“急がば廻れ”であり,基本に立ち返る心構えである.その難しさを安全,確実に乗り越えていくための解説が具体的に,わかりやすく書かれている.そのわかりやすさは,“現場のみが教える珠宝の言葉・真実(序文より)”に裏打ちされているためである.これに加えて,もう1つの本書の特色は,豊富なCOLUMNとして記載されたコメントである.基本は外科医であり,またスポーツマンである著者ならではのコメントであり,スポーツになぞらえた含蓄のある内容であり,大変楽しく読める.

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 がんサバイバー,日本ではまだ聞き慣れない言葉である.本書では,このなじみのない言葉を明確に定義し,その概念を記述するに留まらず,心身の急性期・晩期障害を詳細に記載している.そればかりか医療の現場では語られない,むしろ避けて通ってきた性や子育て,家族・介護者の問題を正面から取り上げている.編者のMiller医師自身,がんサバイバーの妻をもち,自らの体験が本書に取り上げたがんサバイバーの問題・課題をリアルなものにしている.また,本書の意を伝えるため,わかりやすく日本語訳された金容壱,大山万容両氏ならびに監訳者である勝俣範之氏に敬意を表したい.

 本書は,がんと診断されたすべてのステージの患者,すなわちがんと診断されて治療を受けている患者ばかりでなく,治療終了者ならびに患者家族や介護者をすべて包含して話を進めている.日本では毎年70万人を超える人ががんに罹患し,35万人ががんによって死亡している.単純に計算すれば,毎年35万人のがんサバイバーが出現することになる.もちろん複数のがんをもっている例や他の疾患で亡くなる患者もいるので,この数がそのまま実数にはならないが,それぞれの患者に家族や介護者がいるわけで,それにしても想像を絶するがんサバイバー数となる.

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 この書は,これまでのCT,MRIの解説書とは異なる全く新しいタイプの実践書である.最大の特徴は,主眼を“目的疾患ごとに最適な画像所見を引き出すための検査プロトコール”を組み立てることに置いていることである.放射線科医はもちろん検査をオーダーする他科の医師,検査オーダーを受ける診療放射線技師にとっても重宝する1冊である.

 MRやCTの機器の進歩に伴い検査内容が多彩となり,どのような検査プロトコールにすればもっとも効率よく診断に適する画像を提供できるのか,困惑することがしばしばである.臨床現場では追加スキャンなどについて検査依頼医師や担当放射線技師は放射線科専門医のアドバイスを待っている時間的余裕もない.また,放射線科専門医が不足している昨今,検査時にそもそも放射線科医が不在の状況も多々あると思われる.そのような状況を打開してくれるのがこの書である.あらかじめ,症状や疾患ごとに理想的な検査プロトコールを決めておけば,診断に最適な画像情報を迷うことなく手にすることができる.

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 北里大学で中毒・心身総合救急医学講座を主宰されている上條吉人先生は,大学で化学を学んだ後,医学部に進学.精神科医としての人生を歩み始めた矢先に,受け持ちの患者さんが自殺されたことをきっかけにして,一大決心をして救急医学の道に進まれた熱意ある医師です.診療の傍ら,主に中毒に関してのたくさんの論文を書いてこられましたし,臨床医の視点から中毒診療を体系化した名著『臨床中毒学』(医学書院,2009年)をはじめ,中毒に関するご著書も多数上梓されています.

 今回ご紹介する『急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版』は,その上條先生の最新作.急性中毒診療の入門書として定評のあった『イラスト&チャートでみる急性中毒診療ハンドブック』(医学書院,2005年)を,「レジデントマニュアル」シリーズの一冊として改訂したものです.サイズがほかの「レジデントマニュアル」シリーズと同じマニュアル判(B6変形判)と,ずいぶんコンパクトになっただけではなく,内容も全面的に見直され,『臨床中毒学』と連携できるように工夫されています.

information

第5回日本不安障害学会学術大会
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テーマ●現在(いま)を生き抜くための知恵

会期●平成25(2013)年2月2日(土)・3日(日)

会場●札幌コンベンションセンター(〠003-0006 札幌市白石区東札幌6条1丁目1-1)

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基本情報

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medicina
50巻1号 (2013年1月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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