特集 進化し続ける内科診療―世界が認めたブレイクスルー
血液
白血病―CML治療に革命をもたらしたTKI(イマチニブ)
朝長 万左男
1
1日本赤十字社長崎原爆病院
pp.102-108
発行日 2013年1月10日
Published Date 2013/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106613
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白血病薬物療法の歴史(図1)
白血病は血液細胞のがんであり,1個の細胞ががん化し,クローンを形成,骨髄を占拠する.その結果,正常造血は危機に瀕して患者を死に至らしめる.がん化の標的は通常造血幹細胞である.遺伝子変異がステップを踏んで複数生じる(多段階)ことによって,白血病幹細胞が生まれ,クローンが拡大すると考えられている.
白血病は発症時から全身をめぐり,薬物以外には治療の術がないため,早くから薬の探索が試みられた.古くはヒ素のような天然物が試された.本稿で取り上げる慢性骨髄性白血病(CML)の場合,1940年代はヒ素がフォーレル水として処方され,白血球と脾腫(図2)のコントロールがなされた.
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