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最近の動向
Guillain-Barré症候群(GBS)は急性に四肢筋力低下をきたす疾患であり,障害臓器は末梢神経である.発症率は10万人年あたり0.89~1.89人(中央値1.11人)で,ポリオの自然界での根絶により,急性の弛緩性麻痺のなかでは最も頻度が高い疾患となった1).高齢になるほど罹患率は増加し,また,男女比は1.78でやや男性に多い.
GBSは電気生理検査で末梢神経伝導速度の遅延をしばしば認めることから,末梢神経の髄鞘が傷害される脱髄性疾患と長年とらえられてきた.しかし近年では一次的に軸索が傷害されるものも認識されるようになり,脱髄型(acute inflammatory demyelinating polyneuropathy:AIDP)と軸索型(acute motor axonal neuropathy:AMAN)とに大別される.AIDPは,電気生理検査で脱髄所見を認め,病理学的には末梢神経へのリンパ球浸潤ならびにミエリン鞘とシュワン細胞へのマクロファージ浸潤を認めるもので,ヨーロッパや北米ではこちらが多い.一方でわが国や中国など東アジアではAMANが半数を占め,AMANでは末梢神経に存在するガングリオシドに対する抗体が陽性である.このAMANにおいて,患者から分離されたCampylobacter jejuniを中心とした病原体を用いた研究が進み,感染に続発して起こる自己免疫疾患の原因として,病原体とヒト組織との分子相同性による発症機序が完全証明された最初の疾患と位置付けられている2).本稿では,最新のレビュー1)から臨床的な問題点を中心に,すなわち臨床経過・診断・治療を概説し,続いて臨床上の最近の知見について触れる.
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