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待ちに待った本が刊行された.大腸内視鏡の世界のトップリーダーである著者による,質の高い大腸内視鏡診療をめざすすべての消化器内視鏡医のための教科書である.序文に書かれているように,“初版時の時代背景と異なる内視鏡の世界が到来しており,診断・治療面でのドラスティックな変化のなかで,大腸内視鏡挿入法が万古不易のままではありえない”というコンセプトでまとめられた本書は,まさに軸保持短縮法を軸とし,安全で確実な大腸内視鏡挿入法について,豊富なイラストや内視鏡像を用いてわかりやすく解説している.また本書は『大腸内視鏡挿入法』と題しているが,内容としては大腸内視鏡に関する基礎のみならず,大腸内視鏡の診断,治療に関する最新の情報もコンパクトに掲載されている.
さて,初版の発刊以来15年が経過し,この間に蓄積された豊富な経験に基づき,そして機器の改良,進歩により挿入法も進化しているが,その基本はone man methodであることに変わりがない.そして,挿入技術とともに変わらないのが心構えである.確かに以前に比べると,新しい機器の登場,適切な上級医による指導,シミュレーターやコロンモデルによる修練などにより挿入が比較的容易になったことは事実である.しかしながら,上部消化管内視鏡に比し大腸内視鏡検査は難しい手技であり,また,ベテランであっても挿入困難例に遭遇することは稀ではない.そこで重要なのは著者が強調している“熱意と忍耐”である.すなわち,“急がば廻れ”であり,基本に立ち返る心構えである.その難しさを安全,確実に乗り越えていくための解説が具体的に,わかりやすく書かれている.そのわかりやすさは,“現場のみが教える珠宝の言葉・真実(序文より)”に裏打ちされているためである.これに加えて,もう1つの本書の特色は,豊富なCOLUMNとして記載されたコメントである.基本は外科医であり,またスポーツマンである著者ならではのコメントであり,スポーツになぞらえた含蓄のある内容であり,大変楽しく読める.
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