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カラードプラ法の発明・開発は滑川孝六氏(第1回日本超音波医学会特別学会賞受賞者,東京物理大学応用物理学部卒)が一人の頭脳で行ったものである.彼に3年間好きなように研究,開発をさせたのは小谷野明氏(当時日本無線医理学研究所技術部長)であった.小谷野氏は超音波信号に色を付けて血流を見たいと考えており,日本無線本社からレーダーの開発を行っていた滑川氏を招いた.そして,滑川氏の両手となって働いたのが寺島昌夫氏と近藤裕司氏である.そのほかの人は関与していない.私は,毎週土曜日に三鷹の日本無線医理学研究所に通って,小谷野氏ら技術者と勉強会や情報交換をしていたので,3年の間滑川氏らがカラードプラ法の研究開発を行っているのを見ていた.装置が出来上がると,英国のブライトン市で1982年に開催された第3回WFUMB大会において「リアルタイム二次元血流映像法」と題して発表された.その後,大勢の医師達がこの装置を使い臨床上の多くの研究や診療を行うことが出来た.滑川氏は日循からの帰りの新幹線で「このシステムの内容をよく理解できる人たちに使ってもらいたいのです」と私に語った.カラードプラ法は当初メカニカルセクター装置を用いて開発された.これは滑川氏たちがメカニカルセクター装置を用いてMモードドプラソナグラム装置を開発していたために,これを直ちに利用できたことと,少ない人員で研究開発ができたことによる.その後,電子セクター装置によるカラードプラ法へと進み,多くの技術者が投入された.
カラードプラ法は欧米に先んじて開発された日本発の技術である.現在,リアルタイム断層像とカラードプラ法を複合した装置を用いた診断法はあらゆる分野,あらゆる臓器において日常的に臨床の現場で利用されるようになっている.
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