臨床皮膚科 71巻4号 (2017年4月)

連載 Clinical Exercise・116

Q考えられる疾患は何か? 北見 由季
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症例

患 者:68歳,男性

主 訴:両陰股部の淡褐色斑

家族歴:特記すべきことなし.

既往歴:高血圧,アレルギー性鼻炎,足白癬

現病歴:約5年前より両陰股部に自覚症状のない紅斑の出没を繰り返していた.1年前より近医皮膚科で加療したが軽快せず,当科を紹介され受診した.

現症と経過:両陰股部に褐色斑の散在を認めた.直接鏡検陰性であったためステロイド外用を開始したが軽快しなかった.いったん外用を中止し2週後再診した.両陰股部に粃糠様鱗屑を付す示指頭大までの暗紅褐色斑が融合していた(図1a,b).自覚症状はなかった.

マイオピニオン

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 1. 疾患のトータルマネージメント

 近年,さまざまな疾患の治療と管理について「トータルマネージメント」という言葉が用いられる.この意味は,①生物製剤など薬物療法にも幅が広がり,疾患によっては手術療法や放射線療法など,その患者の重症度や場合によっては患者の希望により治療薬剤や治療法を選択すること,②薬物療法には薬剤師,食事には管理栄養士,リハビリテーションが必要なときは理学あるいは作業療法士など医療現場において医師や看護師だけでなく,パラメディカルのさまざまな職種が連携したチーム医療で患者の治療にあたること,③治療手段だけではなく,基礎療法といわれる疾患とその治療を患者に正しく受け入れてもらうための教育と指導,さらには退院後の日常生活のケアを含んだ多面的なアプローチをもって治療継続と疾患の再発あるいは増悪を防ぐことである.退院後も患者が安心して治療を継続し,生活の質を向上できるように,訪問診療や訪問看護,在宅指導などを行い,地域医療機関やケアマネージャー,そして市町村さらには患者の家族との連携が欠かせないことも意味する.

 例えば関節リウマチでは薬物療法や手術療法,リハビリテーション医師,看護師にとどまらず,訪問看護師,薬剤師,理学療法士,作業療法士などと協調して患者の治療にあたる.また,関節リウマチは全身性疾患であり,また病態が多様であるため,感染症や合併症の悪化,薬剤の副作用発症など,入院設備の整った医療機関との連携も必要で,同時に,整形外科や呼吸器科,皮膚科,消化器科との連携も重要である.治療や日常生活の援助だけでなく,個人の能力に合わせた装具など,患者の生活の質の改善を目指す集学的治療が必要になる.

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要約 46歳,男性.中学生時より項部に炎症性腫脹と排膿を繰り返し,徐々に局面を形成した.4か月程前より潰瘍形成と局面の急速な増大を認め,当院を紹介され受診した.初診時,項部から左側頸部にかけ7×8cmの潰瘍を伴う15×8cmの脳回転状皮膚を呈する褐色局面がみられた.潰瘍部からの皮膚生検では,HE染色にて瘻孔形成と,表層・瘻孔表皮から真皮全層にかけての異型有棘細胞様細胞の胞巣形成と浸潤がみられた.以上より項部慢性膿皮症に続発した高分化型有棘細胞癌と診断した.画像検査と病理組織所見より,T3N0M0 Stage Ⅲと病期診断し,外科的切除と術後にイリノテカン/シスプラチン療法を1クール行った.術後6か月経過したが,局所再発,遠隔転移はみられていない.慢性膿皮症は有棘細胞癌の発生母地となることが知られているが,頭頸部領域からの発生は稀である.

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要約 77歳,女性.左大腿ヘルニア修復術後24日目頃より創部に紅斑が出現した.接触皮膚炎の可能性を考えステロイド外用を5日間行ったが変化を認めず,蜂窩織炎や丹毒の可能性を考え抗菌薬を1週間内服したが,改善しなかった.手術で使用した材料の貼布試験を行ったところ,吸収糸(ポリジオキサノン縫合糸,PDS Ⅱ®)に陽性反応を認めた.ポリジオキサノン縫合糸は約6か月から8か月で加水分解により吸収するとされる.吸収による反応の消退を期待し無治療で経過をみたところ,徐々に紅斑は消失傾向を示し,術後6か月半で完全に消退した.臨床経過および貼布試験からポリジオキサノン縫合糸による接触皮膚炎と考えた.術後創部に発赤を生じた場合,縫合糸による接触皮膚炎も念頭に置き,疑わしい例には貼布試験が必要と考えられた.

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要約 77歳,男性.慢性腎疾患のため内科通院中であった.初診の2週間前から口囲・陰部に皮疹が出現し当科を受診した.亜鉛華軟膏の外用を行いいったん改善するも再燃し,血液検査にて血清亜鉛値が低値であったため亜鉛欠乏性皮膚炎と診断した.しかし,ポラプレジンク内服を開始したものの皮疹は改善せず,内服開始から2か月後にはびらんのため経口摂取不良となり,全身状態の悪化を認めたため当院内科入院となった.入院後,亜鉛を含む微量元素製剤の経静脈投与を行い皮疹は速やかに改善した.近年,慢性腎疾患患者の多くに亜鉛欠乏を認めるとの報告がある.自験例のように特徴的な皮疹をみた場合には積極的に亜鉛欠乏性皮膚炎を疑うべきであるとともに,血清亜鉛値が低値にもかかわらず亜鉛の経口投与に反応不良であった場合には吸収障害を考え,投与量もしくは投与方法の変更を検討すべきである.

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要約 41歳,女性.10年前から眉・アイラインのアートメイクを繰り返していた.初診の2か月前よりアートメイク部の皮膚が硬結を伴って隆起し,2週前より交通事故による左上口唇の瘢痕部および両下肢に4か所結節が生じた.左上口唇および大腿の結節は病理組織学的にどちらも非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の像を呈していた.胸部CTで両側肺門リンパ節腫脹があったが,他の臓器病変は伴わず,サルコイドーシスの診断基準は満たさなかった.眉毛部にはステロイド,アイライン部にはタクロリムス軟膏を外用し,4か月後には皮膚病変および両側肺門リンパ節腫脹ともに改善した.アートメイク部に限らず,他の部位にも皮疹が多発した場合は,全身の評価をしておく必要がある.自験例ではアートメイクにより,何らかのサルコイドーシス類似の反応が一過性に引き起こされたことが推測された.

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要約 77歳,男性.初診2か月前より38℃台の発熱と倦怠感を自覚し,体幹・四肢に鱗屑を伴う紅斑が出現した.四肢近位筋の筋力低下,末梢神経障害を生じ,18FDG-PET/CTにて両上肢・大腿部の骨格筋に集積像を認め,ガリウムシンチグラフィーで両側肺門部に強い集積を認めた.また血中アンギオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)値は64.4U/lと高く,皮膚・筋いずれの生検でも多核巨細胞を含む非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫の病理組織像が得られ,神経伝導検査にて左右上・下肢で末梢神経障害を認めたことより,神経・筋・皮膚サルコイドーシスと診断した.本症の臨床的特徴ならびに生検部位の特定に加えサルコイド病変の全身的な分布を評価する上における画像検査の有用性に関して文献的考察を交えて報告する.

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要約 10か月女児.生後8か月で大陰唇右側に皮膚腫瘤が出現した.初診時,12mm大の柔らかい紡錘形の皮膚結節があった.色調は淡黄色調,表面平滑だった.ダーモスコピー所見では黄色調の均一な背景がみられ,その上に背景と比較して暗黄色調の沈着物が雲状に散在し,繊細な線状血管,分岐状血管が腫瘍表面全体にびまん性に多発していた.病理組織学的所見では真皮から脂肪織にかけてびまん性に腫瘍細胞が浸潤し,腫瘍細胞は胞体の明るい大型の核を有する組織球様,単核球様の細胞であり,CD68陽性,S100蛋白,CD1a陰性だった.Touton型巨細胞を認めた.臨床所見,組織学的所見,免疫組織学的所見より若年性黄色肉芽腫と診断した.近年,本症は“setting sun appearance”と呼ばれる特徴的なダーモスコピー所見を呈すると指摘されており,典型的なダーモスコピー像を呈する症例では皮膚生検なしに経過観察できる可能性が示唆された.

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要約 症例1:49歳,女性.2年前より体幹,四肢に紅斑がみられた.初診時,四肢および体幹部に紅褐色の結節が多発し,両側耳前部のみに水疱を伴っていた.症例2:80歳,女性.1年前より全身に瘙痒を伴う紅斑と結節がみられた.初診時,全身に8mm大までの,孤立性結節が多発していた.初診から3か月後に,水疱の新生をみた.症例3:71歳,男性.2年前より全身に瘙痒を伴う紅色丘疹がみられた.初診時,体幹に紅色丘疹結節が多発していた.その後,水疱が出現した.3症例ともに,抗BP180NC16a抗体の上昇と病理組織学的に表皮下水疱と好酸球の浸潤があり,蛍光抗体直接法で表皮基底膜部にIgG,C3の沈着を認め,結節性類天疱瘡と診断した.本邦では1982年以降36例の結節性類天疱瘡の報告があり,そのうち痒疹結節が先行するものは26例であった.全身に多発する痒疹結節を見た場合は類天疱瘡の可能性も考慮する必要がある.

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要約 71歳,女性.初診の2年半前,他院呼吸器外科で肺癌を疑われ右上葉切除術を施行され,病理組織学的に肺膿瘍と診断された.術後創部が哆開,潰瘍化し,半年後当院形成外科を受診した.右腰部より分層植皮術を施行されたが,植皮部,採皮部ともに潰瘍化し拡大したため当科を紹介され受診した.右前胸部,右側胸部から背部,右腰部に類円形ないし帯状の潰瘍局面があり,辺縁部に膿疱が散在していた.病理組織学的所見では真皮浅層から深層にかけて,密な好中球浸潤と炎症細胞浸潤を伴う肉芽組織を形成していた.無菌性肺膿瘍が先行した壊疽性膿皮症と診断した.プレドニゾロン30mg/日内服開始し,改善傾向を呈したため漸減し,シクロスポリン2mg/kg/日内服を追加し略治した.無菌性肺膿瘍が先行した壊疽性膿皮症は稀である.また肺病変の外科的治療と採皮術という,侵襲の大きな部位のみに皮膚病変が生じた症例は自験例のみである.

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要約 74歳,女性.初診約5年前より金属義歯ブリッジを装着.約3年前より気管支喘息のためステロイド吸入剤を使用していた.2013年1月,下顎左側の瘙痒を伴う紅斑を主訴に受診した.紅斑の真菌学的検査により顔面カンジダ症(起因菌:Candida albicans)と診断した.ルリコナゾールクリーム外用で治癒したが,その後3回再発を繰り返した.皮疹の治療と同時にアンホテリシンBシロップによる口腔内のカンジダの除菌を行ったのち,再発は認めていない.下顎,金属義歯ブリッジ部,金属義歯部,舌表面,唾液から検出した5株について25s-ribosomal RNA遺伝子(rDNA)のタイプ分析とITS領域の塩基配列の決定を行ったところ,株間に遺伝子型の差異は認めなかった.以上より,金属義歯部に付着していたカンジダが,ステロイド吸入剤により口腔内で局所的に増殖し,これが下顎に広がったと考えた.

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要約 71歳,男性.嚥下困難を主訴に来院した.初診時,左耳甲介に痂皮が付着し,体幹には痂皮化した丘疹が散在していた.上部消化管内視鏡検査にて,咽頭,喉頭,食道壁に白苔を付着し線状に配列するびらんを認め,血清中の水痘帯状疱疹ウイルスIgGは128 index以上であった.神経麻痺を伴う舌咽,迷走神経領域帯状疱疹と診断し,アシクロビル,ステロイド点滴投与を行い,嚥下障害は改善した.耳甲介は耳介の後面から前面に向かう顔面神経支配として知られるが,迷走神経の唯一の体性知覚枝である耳介枝による知覚神経支配も受けている.したがって,耳甲介に皮疹を認める帯状疱疹では,顔面神経麻痺のみならず,嚥下困難や味覚障害,嗄声などの症状を生じうる舌咽・迷走神経麻痺に留意すべきと考えた.

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要約 52歳,女性.初診1年前より左大陰唇に皮下腫瘤が出現し,増大したため当院を受診した.初診時,4×3cm大の弾性硬の皮下腫瘤を認めた.病理組織像では明らかな被膜はないものの周囲と明瞭な境界があった.腫瘍細胞は類円形ないし短紡錘形の細胞で,間質に壁の薄い小血管が増生していた.臨床所見,病理組織学的所見からangiomyofibroblastoma of the vulvaと診断した.本症はaggressive angiomyxomaとの鑑別が特に重要だが,近年新たにestrogen receptor,progesterone receptorの免疫組織学的染色で両疾患を検討した報告がみられる.Progesterone receptorがangiomyofibroblastoma of the vulvaで陽性,aggressive angiomyxomaで陰性で鑑別に有用とする報告もあったが,aggressive angiomyxomaでも陽性とする報告がより多い.現時点では両疾患の免疫組織学的特徴での明瞭な鑑別は困難であり,臨床像や病理組織学的特徴をあわせて診断をつける必要がある.

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要約 68歳,女性.64歳時に右耳介後部に易出血性の母指頭大の皮膚腫瘍を自覚し,徐々に増大傾向を認めた.当科受診時には6.0×4.5cm大の巨大な皮膚腫瘍を認めており,病理組織学的検査で基底細胞癌と診断した.ほかにも頭部・体幹に結節型1個,表在型36個の基底細胞癌が多発していた.脊椎の異常,前額の突出,大脳鎌の石灰化,歯原性角化囊胞,卵巣腫瘍を合併しており,遺伝子検査でPTCH1遺伝子に変異を認めていた.以上の所見からGorlin症候群と診断した.治療は可能な限り手術療法を行い,残存する病変に対してはイミキモド外用で加療を行った.基底細胞癌に対する治療方法は手術療法が一般的だが,自験例のような病変が多発する症例において手術療法のみで治療することは患者の負担が大きい.そのためイミキモド外用療法を含む非侵襲的な治療方法を選択することが患者の負担の軽減につながると考えた.

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要約 65歳,女性.初診1年2か月前に胆囊癌の診断で当院外科にて手術,術後補助療法が施行された.術後退院時より右下腹部のドレーン留置部に自覚されていた硬結部位が,1か月前より痂皮形成,排膿を認め当科を紹介され受診した.初診時,右下腹部に潰瘍を伴う境界明瞭な紅色局面と皮下硬結を認め,病理組織像により胆囊癌の皮膚転移と診断した.内臓悪性腫瘍の皮膚転移の頻度は低いが,担癌患者の生存率の向上に伴い増加傾向であり,その中には医学的な手技による医原性皮膚転移がある.自験例同様に,術後ドレナージ部位に皮膚転移した例は,論文報告で調べえた限り自験例併せて9例であった.術後ドレーン挿入部の皮膚転移発症について慎重に術後経過観察することの重要性を再認識した.

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要約 75歳,女性.生下時より身体各所に色素斑があり2013年10月に左手関節部に腫瘤が出現した.2014年3月より腫瘤部から出血が続くため前医を受診し腫瘤を切除した.病理組織像より悪性黒色腫が疑われ当科を紹介され受診した.5月に手術瘢痕より中枢側2cm,末梢側1.5cmで切除し分層植皮術と腋窩センチネルリンパ節生検を施行した.病理検査や画像検査で転移を疑う所見はなく悪性黒色腫(Stage Ⅱb)と診断した.患者が一切の後療法を拒否したため定期通院による経過観察のみ行っていたが10月に小脳出血を発症し永眠した.出血巣や頭蓋内に転移所見はなかった.先天性色素性母斑のうち大型の先天性色素性母斑では,その多くが幼少時に悪性黒色腫を発生することが知られているが,自験例では74歳時発症と調べえた限り本邦最高齢であった.

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要約 症例1:82歳,女性.熱湯の入った浴槽内に転落し熱傷を受傷.受傷5日目に転院し,同日たこつぼ型心筋症を発症.症例2:82歳,男性.野焼き中に熱傷を受傷.受傷から1.5時間後にドクターヘリで搬送,入院時の心エコーでたこつぼ型心筋症と診断.経過中にたこつぼ型心筋症を契機とする心源性と考えられる出血性脳梗塞を発症した.本症の診断には冠動脈造影が推奨されているが,自験例では侵襲性の低い心エコーを行い診断に有用であった.治療は輸液の調整と人工呼吸器による呼吸管理を行った.出血性脳梗塞を合併した症例はヘパリンカルシウムで加療した.誘因として入院による環境の変化のほか,熱傷や,疼痛を伴う治療処置などの侵襲ストレスの関与が疑われた.急性期には致死的な合併症の報告もあり,広範囲熱傷患者では本症を念頭に置く必要があると考えた.

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欧文目次

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 Systemic lupus erythematosus(SLE)は非常に多彩な臨床症状を呈す自己免疫疾患であり,個々の症例の治療への反応性および予後予測は困難である.SLEの分子レベルの不均一性を検討するために,小児SLE患者158人を最長4年間にわたり経時的にフォローし,症状や治療内容などの臨床情報,血液転写因子情報を収集し,解析を行った.

 SLE群全体と健常人コントロール群サンプルにおいて転写因子を階層クラスター解析したところ,SLE群ではIFN関連転写因子群の発現が上昇していた.また,SLE患者群を病勢,人種,治療内容,ループス腎炎発症の有無,腎炎サブクラスごとの治療に対する反応性別に分け,それぞれに発現の異なる転写因子群を解析し,その機能を同定した.その結果,病勢にはplasmablastに関連する転写因子群が,活動性腎炎発症には活性化好中球に関連する転写因子群が,それぞれ最も相関しており,膜性ループス腎炎と増殖性ループス腎炎ではMMFを用いた治療においても転写因子群発現パターンの違いが認められた.次に,SLE患者80人について個々の患者ごとに経過を通じてSLE Disease Activity Index(SLEDAI)に最も相関する転写因子群を同定し,患者層別化を行ったところ,7つの患者サブグループに分けられた.サブグループ間で患者の遺伝子型を解析したところ,各グループを特徴付けるのに重要な転写因子群と,一塩基多型の間に関連がみられた.また,サブグループごとに発現の異なる転写因子を5つの機能別転写因子群に落とし込み,患者階層化を行うことで,より安価で簡便な患者層別化が実現できる可能性が示された.

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 化膿性汗腺炎は有効な治療選択肢のほとんどない有痛性の慢性炎症性疾患として知られている.化膿性汗腺炎に対するアダリムマブの多施設共同第3相試験であるPIONEER Ⅰ,PIONEER Ⅱは二重盲検プラセボ対称比較試験である.101施設,633人の中等症〜重症の化膿性汗腺炎患者で,原則として抗TNF-α阻害薬の治療を受けていない患者が対象となっている.第1期は12週間の試験で,1:1にプラセボ群とアダリムマブ40mg/週投与群に無作為に割り付けが行われた.第2期は24週間の試験であり,患者はアダリムマブ40mg/週投与群,アダリムマブ40mg/隔週投与群,プラセボ投与群に無作為に割り付けられた.主要評価項目は12週の時点での臨床反応とし,膿瘍と炎症性小結節の総数がベースラインから50%以上減少し,膿瘍または排膿性瘻孔の数の増加がない状態と定義した.

 PIONEER Ⅰ試験には307例が,PIONEER Ⅱ試験には326例が登録された.12週の時点での主要評価項目の達成率は,アダリムマブ週1回投与群のほうがプラセボ群より有意に高く,PIONEER Ⅰ試験では41.8%対26.0%(p=0.003),PIONEER Ⅱ試験では58.9%対27.6%(p<0.001)であった.重篤な副作用の発現率はPIONEER Ⅰ試験ではアダリムマブ投与例では1.3%,プラセボ投与群でも1.3%であり,PIONEER Ⅱ試験ではそれぞれ1.8%,3.7%であった.第2期においては両試験において4.6%以下であり有意差は認められなかった.

次号予告

あとがき 戸倉 新樹
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 困ったと思った.昨年の暮れのことである.困ることは日常的にしばしばあり,落胆と溜め息はガス抜きみたいなものであるが,かなり困った.仕事が溜まっているのである.昨年は8月の終わりから,いろいろな行事があり,3か月に5回の海外出張もこなしたため,余裕がなかった.年末年始に仕事を片付ける方も多いと思うが,ご他聞に漏れず私も年末年始は書き入れ時であり,もし余裕があれば大きな執筆をしたりもする.今回の年末年始は6日しかなかった.すでに締め切りが過ぎてしまっているものも含め,まずやらなければならない全貌を明らかにしようと思い,数え出した.どんどん出てくる.しかも重々しいものばかりであり,やすやすとは片付けられない.その内容は書けないものもあり,伝えられないもどかしさを感ずるが,全部で12個あった.もう少し若いときなら,1日2個やれば済む,と立ち向かうところであるが,還暦も過ぎると気力と体力がなくなり,物理的に夜は見えが悪くなり,眠くなり,能率が上がらない.息抜きにアルコールを入れればイチコロである.また年末年始は多少の家事やら世事やらの用事があり,家庭を円満に保つためには,他の家庭の構成員から見れば道楽としかうつらない仕事ばかりしているわけにもいかない.でもやった.正確に言うと11個片付けた.1月4日の爽快感はここを通り抜けたものしかわからないであろう.

 昨今,「めりはりのある働き方」とか「仕事の効率性」とか「業務の洗い出し」とか,巷では言う.「能率性」「業務の洗い出し」を号令とともにやり出すと,また会議が増え,仕事が増える.どうすればいいかは,こうした所作や仕事が多い米国が,われわれのちょっと先の姿を示しているかもしれない.米国には秘書あるいはそれに準ずる仕事をしているヒトが一杯いる.「秘書の日」も毎年ある.今,仕事のあり方を書いているのは,サンディエゴからの飛行機の中で,昨晩,そうした秘書のヒトたちの話をワインとともにたっぷり聞き,仕事を処することに長けている米国人の気質を少々見習わなければ,と殊勝に思ったからである.

基本情報

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臨床皮膚科
71巻4号 (2017年4月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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