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文献紹介 化膿性汗腺炎に対するアダリムマブの2件の第3相試験
種本 紗枝
1
1慶應義塾大学
pp.347
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205042
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化膿性汗腺炎は有効な治療選択肢のほとんどない有痛性の慢性炎症性疾患として知られている.化膿性汗腺炎に対するアダリムマブの多施設共同第3相試験であるPIONEER Ⅰ,PIONEER Ⅱは二重盲検プラセボ対称比較試験である.101施設,633人の中等症〜重症の化膿性汗腺炎患者で,原則として抗TNF-α阻害薬の治療を受けていない患者が対象となっている.第1期は12週間の試験で,1:1にプラセボ群とアダリムマブ40mg/週投与群に無作為に割り付けが行われた.第2期は24週間の試験であり,患者はアダリムマブ40mg/週投与群,アダリムマブ40mg/隔週投与群,プラセボ投与群に無作為に割り付けられた.主要評価項目は12週の時点での臨床反応とし,膿瘍と炎症性小結節の総数がベースラインから50%以上減少し,膿瘍または排膿性瘻孔の数の増加がない状態と定義した.
PIONEER Ⅰ試験には307例が,PIONEER Ⅱ試験には326例が登録された.12週の時点での主要評価項目の達成率は,アダリムマブ週1回投与群のほうがプラセボ群より有意に高く,PIONEER Ⅰ試験では41.8%対26.0%(p=0.003),PIONEER Ⅱ試験では58.9%対27.6%(p<0.001)であった.重篤な副作用の発現率はPIONEER Ⅰ試験ではアダリムマブ投与例では1.3%,プラセボ投与群でも1.3%であり,PIONEER Ⅱ試験ではそれぞれ1.8%,3.7%であった.第2期においては両試験において4.6%以下であり有意差は認められなかった.
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