Japanese
English
症例報告
亜鉛経口投与に反応しなかった亜鉛欠乏症の1例
A case of zinc deficiency without response to oral administration of zinc
浅井 裕子
1
,
辻 あすか
1
,
小口 真司
1
,
斉木 実
1
Yuko ASAI
1
,
Asuka TSUJI
1
,
Shinji OGUCHI
1
,
Minoru SAIKI
1
1JA長野厚生連佐久総合病院皮膚科
1Division of Dermatology, Saku Central Hospital, Saku, Japan
キーワード:
亜鉛欠乏症
,
慢性腎疾患
Keyword:
亜鉛欠乏症
,
慢性腎疾患
pp.301-305
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205032
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要約 77歳,男性.慢性腎疾患のため内科通院中であった.初診の2週間前から口囲・陰部に皮疹が出現し当科を受診した.亜鉛華軟膏の外用を行いいったん改善するも再燃し,血液検査にて血清亜鉛値が低値であったため亜鉛欠乏性皮膚炎と診断した.しかし,ポラプレジンク内服を開始したものの皮疹は改善せず,内服開始から2か月後にはびらんのため経口摂取不良となり,全身状態の悪化を認めたため当院内科入院となった.入院後,亜鉛を含む微量元素製剤の経静脈投与を行い皮疹は速やかに改善した.近年,慢性腎疾患患者の多くに亜鉛欠乏を認めるとの報告がある.自験例のように特徴的な皮疹をみた場合には積極的に亜鉛欠乏性皮膚炎を疑うべきであるとともに,血清亜鉛値が低値にもかかわらず亜鉛の経口投与に反応不良であった場合には吸収障害を考え,投与量もしくは投与方法の変更を検討すべきである.
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