書評
―編:酒井成身―美容外科基本手術─適応と術式
渡辺 晋一
1
1帝京大学医学部皮膚科
pp.574
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102053
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日本では何科のレジデントになるのも自由であるし,専門医とそうでない医師との区別は実質的にはない.そのため産科や小児科の医師は減少し続け,逆に皮膚科およびその標榜医は増加している.このような状況になると,従来の皮膚科診療では生き残れない皮膚科医が,美容皮膚科をめざすようになる可能性が高い.そして現実には,すでに非皮膚科医が美容皮膚科に参入し,非皮膚科専門医による美容皮膚科が急増している.美容皮膚科をめざす医師は,当然のことながら美容外科の手術手技やその適応を知らなければ,美容目的で受診する患者さんに適切な指導やアドバイスをすることができないし,その内容を理解していなければ,美容皮膚科の分野で生き残ることは難しい.
このたび南江堂から出版された本書は,美容外科における基本手術が網羅されており,美容外科をめざす人はもちろん,美容皮膚科に関心がある人にも必見の本である.とにかく皮膚の解剖から,解剖所見に基づいた手術手技がきれいな写真とともに示されており,外科手術の経験が少ない医師にも非常にわかりやすく記載されている.そのため美容外科手術の種類や難易度,その結果を誰でも知ることができる.今後,美容目的で来院する患者や美容外科に関心がある患者を診察する機会は,増えることはあっても減ることはない.このような患者に適切なアドバイスや指導ができるようになることは,これからの皮膚科医の責務であると同時に,重要なセールスポイントにもなる.
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