臨床皮膚科 71巻1号 (2017年1月)

連載 Clinical Exercise・113

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症例

患 者:60歳,女性

主 訴:両下肢の多発する紫斑,水疱および両足内果の手掌大までの皮膚壊死.

既往歴:57歳から高血圧で内服加療中.

家族歴:特記すべき事項なし.

現病歴:初診の1か月前から,37〜38℃台の発熱と両下腿の浮腫および両膝関節痛を自覚していた.その後両側の耳漏・聴力低下・両側球結膜の充血が出現し,両下肢を中心に紫斑が散在するようになった.その後も全身に浮腫が拡大したため,初診の数日前に当院膠原病内科に入院した.入院後,両下肢を中心に紫斑が急速に増大,血疱化し,両足内果の広範囲な皮膚壊死を認めたため,皮膚症状に関して当科を受診した.

入院時現症:両足内果を中心に手掌大までの周囲に紫紅色の紫斑および紅暈を伴う褐色の皮膚壊死がみられ,その周囲には爪甲大までの大小さまざまな血疱を伴う紫斑が散在していた(図1).

マイオピニオン

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 琉球大学は,University of the Ryukyusと標記されるように,琉球諸島の大学という意味合いがあります.沖縄の島々は,東西1,000km,南北400kmに及び,50ほどの有人島と110ほどの無人島よりなりますが,約123万人の住む本島の次に大きな宮古島や石垣島以外には,皮膚科医はおりません.東京までは2時間以上かかりますが,隣国の台北までは70分ほどと,東アジアというよりは,東南アジアに地理的にも文化的にも近く位置します.この琉球大学の環境のおかげか,医局の医師のほぼ半数を占める女性医師の中にも,3人以上のお子さんを育てつつ,立派に大学での研究や診療を続けているお母さん女医さんたちも多数おります.

 沖縄県や近隣の諸島の地理的,歴史的,人類学的な特徴を背景として,当地には特徴的で独自の皮膚疾患が存在します.7年ほど前に沖縄へ赴任して以来,県外の皮膚科診療と比べたときの差異など感じたことを,簡単にご紹介いたします.

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要約 88歳,女性.初診の数年前より左手背に皮疹が出現し,増加した.近医で液体窒素療法を繰り返し施行されたが局面が残存したため受診した.初診時,前腕や手背,指関節,指腹部に疣状の角化性紅色局面を認めた.Sabouraudブドウ糖寒天培地にて中央が褐色で周囲は白色の放射状皺襞を有するコロニーが形成され,スライド培養で円形の分生子が花弁状に付着した有隔菌糸を認めた.病理組織所見,培養結果よりスポロトリコーシスと診断し,テルビナフィン内服と温熱療法の併用により約5か月で略治した.難治性の疣状局面を認めた際はスポロトリコーシスも鑑別に挙げ,生検および培養を施行すべきと考えた.

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要約 34歳,女性.初診2週間前に鼠径部毛包炎に対して近医よりミノサイクリン塩酸塩の投薬を受けた後,項部に比較的境界明瞭な連圏状の有痛性浮腫性紫紅色斑が出現した.ステロイド外用,抗ヒスタミン薬内服治療したが増悪したために前医より当科に紹介された.皮疹と経過より固定薬疹を疑いプレドニゾロン20mg/日内服し軽快したが,内服中止後皮疹が再燃した.病理組織学的には表皮にメラニン色素の増生以外著変なく,真皮上層にメラノファージと好酸球主体の炎症細胞浸潤およびflame figureを認めたためWells症候群と診断し,プレドニゾロンを再投与した後,漸減しながら経過観察している.Wells症候群の一誘因として薬剤が報告されているが,薬剤中止後も再燃を繰り返すことからアレルゲンとして作用するよりは発症の引き金としての役割を担っている可能性が考えられた.

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要約 66歳,男性.約2か月前から左第5趾に発赤,灼熱感が出現し,徐々に潰瘍を形成したため当科を紹介され受診した.初診時,同部位に約8mm大の皮膚潰瘍があり,周辺皮膚は紫紅色調を呈していた.血液検査にて白血球上昇と著明な血小板高値を認めた.骨髄所見およびJAK2 V617F遺伝子変異陽性であったことにより,本態性血小板血症(essential thrombocythemia:ET)と診断した.皮膚潰瘍はETに伴うものと考え,ハイドロキシウレア(HU)とアスピリンの内服を開始したところ,血小板数の正常化に伴い足趾の潰瘍も完全に上皮化した.ETは出血症状や潰瘍など多彩な皮膚症状を合併するほか,頭痛やめまい,胸痛,指先の知覚異常などの症状がみられるが,無症状であることも多く,診断が遅れる場合もある.しかし,重篤な出血症状や血栓塞栓症を合併することがあり,早期診断と高リスク群においては,HUなどによる早期治療が重要である.

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要約 65歳,男性.元来花粉症がある.ウマやウマの餌との接触により蕁麻疹や夜間の咳嗽が出現した.皮疹は生じず咳嗽のみ生じるときもあった.ウマ皮屑の特異的IgEと,皮屑,毛,餌のプリックテストは陽性であり,ウマ皮屑と毛のプリックテスト中,眼球結膜充血と咳嗽,軽度の呼吸困難感が出現した.以上より,ウマとウマの餌による即時型アレルギーと診断した.ウマの餌による接触蕁麻疹とウマによる呼吸器症状を伴う接触蕁麻疹症候群,気管支喘息も合併した多彩な症状を呈した症例と考えた.ウマを避けることはもちろん,近縁関係にある大型四足動物との接触でも同様の症状を生じる可能性があり,避けるほうが望ましいと指導した.ウマ血清はウマの皮屑と共通抗原性があると報告されており,ウマアレルギー患者においてはウマ血清を用いた抗毒素血清の使用は注意が必要である.

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要約 70歳,男性.右上顎洞悪性黒色腫術後に全身の紅斑が出現した.皮疹出現より4日目に発熱と皮疹が急速に増悪し,Stevens-Johnson症候群と診断した.被疑薬はすべて中止し,ベタメタゾン8mg/日の点滴を開始し,翌日よりステロイドパルス療法を施行したが病勢が進行し,表皮剝離が進行したため,中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)と診断した.集中治療室に転棟し,全身処置を行いながら血漿交換療法,大量免疫グロブリン静注療法を併用した.最大表皮剝離面積は80%に及んだが,16日目より皮疹の改善がみられ,32日目には完全に上皮化し,後遺症を残さず治癒した.TENの急速進行期では,各種の免疫調整効果を組み合わせた治療が有効であると考えた.

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要約 65歳,男性.初診4日前から発熱および顔面の緊満性水疱と口腔内のびらんが出現し,全身に水疱が拡大したため,当科を受診した.血液検査で抗デスモグレイン1抗体,抗デスモグレイン3抗体,抗BP180抗体は陰性.病理組織学的所見では表皮下水疱があり,表皮真皮境界部に好中球主体の浸潤があった.蛍光抗体直接法で真皮表皮境界部にIgGとC3が沈着し,蛍光抗体間接法でIgG抗表皮基底膜部抗体が陽性,1M食塩水剝離皮膚を基質とした蛍光抗体間接法で真皮側に反応した.真皮抽出液を用いた免疫ブロット法では患者血清のIgGは200kDaラミニンγ1に反応した.以上より抗ラミニンγ1類天疱瘡と診断した.ステロイド全身投与を行い,速やかに皮疹が消失し再燃を認めなかった.本疾患では自験例のように重篤な粘膜疹を合併する場合があることに留意する必要がある.

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要約 43歳,男性.2年前に左後頭部に皮下腫瘤を自覚し徐々に増大したため当院を受診した.左側頭部にかけて,70×45×25mm,正常皮膚で覆われた弾性硬の皮下腫瘤を認めた.頭部CT像,MRI像,超音波像より脂肪腫を疑い,外科的に切除した.病理組織学的には囊腫構造を呈し,囊腫壁は角化を伴う重層扁平上皮で被覆され,毛包,脂腺,汗腺を認め内腔に角化物と毛髪が貯留したことからsubcutaneous dermoid cystと診断した.比較的巨大であったため報告する.

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要約 38歳,女性.2006年に全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)と診断され,2007年よりプレドニゾロン20mg/日内服が開始された.2008年頃より臀部に褐色ドーム状小結節が出現し,以後徐々に四肢体幹と顔面に多発してきた.初診時,鼻右側と大腿,臀部などの四肢体幹に5〜10mm大の計18個の紅褐色から褐色のドーム状小結節が散在していた.3か所の病変部の病理組織像では皮膚線維腫であり,SLEに伴った多発性皮膚線維腫と診断した.過去の報告では,多発性皮膚線維腫報告67例中46例に種々の基礎疾患を伴っており,多発する皮膚線維腫を見た場合,基礎疾患を有している可能性を念頭に置く必要がある.

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要約 82歳,男性.10年前に背部に小豆大の自覚症状のない皮疹が出現し,5年前より徐々に増大した.1か月前より擦れて出血することがあった.左中背部に12.5×9.6mm大の境界明瞭な黒褐色結節を認めた.結節は上2/3下1/3で境され,上方はドーム状に隆起し,それと連続して下方は扁平に隆起していた.上方の中央は蝋様光沢を有し,辺縁は不規則に突出していた.下方の扁平隆起部は角化性でわずかに鱗屑を有し蝋様光沢はなく,辺縁も平滑であった.ダーモスコピーではドーム状結節部に樹枝状血管,葉状構造に類似した突起,扁平隆起部にmillia-like cysts,comedo-like openingsを認め,超音波エラストグラフィーでは緑色〜青色を呈し扁平隆起部のほうがやや硬かった.病理組織学的には表皮と連続した左右非対称性に隆起した結節を認めた.扁平隆起部は小型の類円形の細胞で構成され,一部にメラニン顆粒を有し,角質囊腫や角栓が散在していた.ドーム状隆起部は基底細胞様細胞で構成され,辺縁は柵状配列を呈していた.2つの病変部の境界は比較的明瞭で,連続していた.また脂漏性角化症が基底細胞癌の中に島状に存在する部位もあり,脂漏性角化症が基底細胞癌に飲み込まれたと考えられた.

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要約 45歳,男性.喫煙歴あり,Brinkman Index 500.6か月前から左上背部の疼痛を自覚し,3〜4か月前に同部位の腫瘤に気づいた.その後疼痛がさらに増強し,当科を受診した.初診時,左上背部に手拳大の皮下腫瘤を認め,弾性やや硬,下床との可動性は不良であった.CTで,両肺に巨大気腫性肺囊胞と骨破壊を伴う皮下腫瘤を認めた.デスモイド腫瘍や脂肪肉腫を疑い経皮的生検を施行した.病理組織学的に,大小不同の核異型を伴う腫瘍細胞が胞巣を形成し,一部に腺管様構造がみられた.免疫染色では,CK7陽性,CK20陰性,TTF1陽性であった.肺腺癌T4N0M0,Stage ⅢAと診断し,放射線・化学療法を併用した.自験例は,上背部の皮下腫瘤という原発性肺癌の胸壁浸潤としては比較的稀な臨床像を呈し,診断に苦慮した.男性の気腫性肺囊胞患者に肺癌が発生する頻度は高く,肺癌発生の危険因子の1つと考えられている.経皮的な生検による病理組織学的検査で肺腺癌と判明した点が特異であった.

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要約 35歳,女性.初診数日前より,両上肢および胸腹部に長径4mmまでの瘙痒性紅色丘疹が多発した.皮膚生検病理組織像では,真皮浅層から深層にかけて血管周囲および膠原線維間に細胞浸潤を認めた.浸潤細胞の多くは大型の異型リンパ球と小型のリンパ球から成り,好中球と好酸球も少数混じていた.大型細胞は胞体が豊かで核小体が顕著であり,一部では核分裂像を認めた.大型細胞はCD3,CD4,CD30陽性であった.全身の画像検査で異常所見はなかった.丘疹の出没を繰り返すという病歴はなく,初回の皮疹出現ではあるが,リンパ腫様丘疹症と診断した.外用PUVA療法を開始し,速やかに皮疹の新生は止まり消退した.以後7か月を経過しているが皮疹の再発はない.近年,光線療法の主流はナローバンドUVBであるが,深層の浸潤を有するリンパ腫様丘疹症ではPUVA療法が有効であることを示すとともに,同症での初期治療としてのPUVA療法の有効性が示唆された.

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要約 72歳,女性.初診の2か月前より右前腕に自覚症状のない膿疱,紅斑が出現し徐々に増大し,皮下結節が多発,潰瘍を形成し,さらに左前腕にも紅色皮下結節が出現した.右前腕の尺骨側に潰瘍を伴う手拳大の淡紅色局面と,その周囲と右手関節部に母指頭大前後の紅色皮下結節を複数認めた.左前腕屈側にも母指頭大の淡紅色皮下結節が1個みられた.病理組織学的所見,Ziehl-Neelsen染色所見,PCR所見よりブルーリ潰瘍と診断した.リファンピシン,クラリスロマイシン,レボフロキサシンを開始したうえで,病変を切除した.一般的に病変を切除する際は病変より2〜5cm離して切除することが推奨されているが,自験例のように病変が多発している場合,広範囲に切除すると侵襲が大きくなるため,切除範囲は個々の症例によって検討すべきと思われた.

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要約 75歳,男性.1か月前から右鼻背基部に自覚症状を伴わない結節が出現し,増大した.右鼻背基部に径18×12mmで表面に一部びらんの紅色結節があった.皮膚生検にて肉芽組織もしくは血管拡張性肉芽腫を考え,液体窒素療法を2回施行したところ,結節中央に右側上顎側切歯歯肉部まで交通する瘻孔が露出した.デンタルX線像では右側上顎の側切歯根尖部に埋伏過剰歯があり,含歯性囊胞による外歯瘻と診断した.患者は無歯顎であった.一般に外歯瘻の原因歯疾患は,根尖性歯周囲炎が51%と最多であり,皮膚開孔部は頰部が26%で最も多い.自験例では無歯顎であったため,診断に至るまで時間を要した.たとえ無歯顎であっても生じうるということを知る必要がある.

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要約 17歳,女性.生理不順なし.約3年前から仙骨部に結節を認め,時々排膿を伴っていた.症状が改善しないため手術目的で当科を紹介され受診した.初診時,仙骨部に47×25mmの結節を認めた.弾性硬で下床との可動性は良好だった.上方には紅色肉芽組織があり,全摘術を施行した.術中に瘻孔とその中に毛塊を認めた.病理組織学的に,表皮と連続性に真皮中層から深層に瘻孔があり,瘻孔周囲に毛細血管の増生と組織球を混じた好中球,形質細胞主体の炎症細胞浸潤を伴っていた.瘻孔内部には毛塊や角化物が認められた.Pilonidal sinus(毛巣洞)に合致する所見であった.性ホルモン異常などの基礎疾患や肥満がなくとも,多毛がある場合,または多毛がなくとも何らかの毛と接触し,かつ外的刺激を受ける環境により,女性においても本症を発症することが再認識された.

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要約 76歳,男性.初診の30年前より腹部に炎症と潰瘍を繰り返していた.前医での抗菌薬やステロイド外用・内服による治療で難治であったため当科を受診した.下腹部から側腹部に潰瘍と周囲に発赤が認められ,臨床所見と病理組織所見より壊疽性膿皮症と診断した.シクロスポリン(4.3mg/kg/日)の投与により軽快したが,減量後(2.9mg/kg/日)に増悪を繰り返した.ステロイド外用やシクロスポリンによる治療に抵抗を示すためにインフリキシマブ5.0mg/kgを開始した.治療開始2週間目には皮疹の縮小が認められ,治療開始約3か月目には潰瘍はすべて上皮化した.治療開始後30か月が経過した時点で,二次無効や副作用などを認めず治療を継続している.既存の治療法に抵抗性を示す壊疽性膿皮症にインフリキマブは治療選択の1つになりうると考えた.

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欧文目次

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 悪性黒色腫に対する抗PD-1(programmed death 1)抗体療法では,一度得られた腫瘍縮小効果を維持し続ける症例がある一方で,当初得られた腫瘍縮小効果が治療継続にもかかわらず維持されず,数か月〜数年後に再発をきたす症例がある.腫瘍免疫におけるPD-1阻害に対する獲得耐性の機序を調べるために,筆者らは転移性悪性黒色腫に対して抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)療法を行った78例のうち,客観的腫瘍縮小を得た後に病勢進行した4例を対象とした後ろ向き解析を行った.ベースライン時と再発時に採取した生検検体より全エクソーム解析を行ったところ,再発時の耐性獲得腫瘍検体では腫瘍細胞の増殖とともに腫瘍を構成する突然変異クローンが検出された.4例中2例で,各々,インターフェロン受容体関連ヤヌスキナーゼ1,ヤヌスキナーゼ2をコードする遺伝子(JAK1, JAK2)の耐性関連機能喪失型変異が,野生型アレルの欠失と同時に生じていることが明らかとなった.別の1例では,抗原提示蛋白β2ミクログロブリンをコードする遺伝子(B2M)の短縮型変異が同定された.JAK1, JAK2の変異は,インターフェロンγに対する反応を喪失させ,癌細胞増殖抑制作用に対する非感受性が認められた.B2Mの変異では,主要組織適合複合体クラスⅠの表面発現の喪失がみられた.残りの1例においてはT細胞への獲得耐性に関連する遺伝子変異は同定されなかったが,他の3例と比してベースラインにおける腫瘍細胞のPD-L1発現が低かった.

 本研究により,悪性黒色腫患者での抗PD-1抗体療法に対する耐性獲得の機序の1つに,インターフェロン受容体シグナル伝達と抗原提示が関与する経路の欠損が関連する可能性が示された.

次号予告

あとがき 大山 学
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 このところ続けてニボルマブで治療していたメラノーマの患者さんが旅立たれました.お二方とも安らかな最期を迎えられました.進行期の患者さん方でしたが,ほぼ1年の間,とても穏やかに日々を過ごされていました.自分の研修医時代を思い起こしますと,同じような症状の患者さん方は余命2〜3か月といったところだったでしょうか.ご家族のご無念はお察しいたしますし,今後さらなる治療法の開発が必要なのでしょうが,こうした患者さん方を拝見しますと,確実に医療技術が進歩していることを実感します.

 同時に医療者として考えてしまうのは昨今話題となっているこの種の薬剤のコストの問題です.一説によれば1人のニボルマブ治療を受ける患者に対する国民の負担は年間3,000万円を超えるとのこと.今,保育園の保育料は高く見積もっても年間100万円程度でしょうから,単純計算すると30人の将来の日本を担う子供たちを保育園に行かせることができる金額と同額になります.当然,特効薬を使いたいと思う気持ちは理解できますし,もし,自分がその状況になればぜひ…となるには違いないのですが,冷静に日本の行く末を考えるとこのままで良いのだろうかと疑問も感じてしまいます.

基本情報

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臨床皮膚科
71巻1号 (2017年1月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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