Japanese
English
症例報告
上背部の皮下腫瘤を契機に診断された原発性肺癌の胸壁浸潤の1例
A case of chest wall invasion of primary lung cancer that was diagnosed by subcutaneous tumors on the upper back
小野 蘭
1
,
宇野 裕和
1
,
今泉 牧子
1
,
金 永学
2
,
末木 博彦
1
Ran ONO
1
,
Hirokazu UNO
1
,
Makiko IMAIZUMI
1
,
Eigaku KIN
2
,
Hirohiko SUEKI
1
1昭和大学医学部皮膚科学講座
2京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学
1Department of Dermatology, Showa University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Department of Respiratory Medicine, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan
キーワード:
皮下腫瘤
,
原発性肺癌
,
胸壁浸潤
Keyword:
皮下腫瘤
,
原発性肺癌
,
胸壁浸潤
pp.59-64
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204973
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 45歳,男性.喫煙歴あり,Brinkman Index 500.6か月前から左上背部の疼痛を自覚し,3〜4か月前に同部位の腫瘤に気づいた.その後疼痛がさらに増強し,当科を受診した.初診時,左上背部に手拳大の皮下腫瘤を認め,弾性やや硬,下床との可動性は不良であった.CTで,両肺に巨大気腫性肺囊胞と骨破壊を伴う皮下腫瘤を認めた.デスモイド腫瘍や脂肪肉腫を疑い経皮的生検を施行した.病理組織学的に,大小不同の核異型を伴う腫瘍細胞が胞巣を形成し,一部に腺管様構造がみられた.免疫染色では,CK7陽性,CK20陰性,TTF1陽性であった.肺腺癌T4N0M0,Stage ⅢAと診断し,放射線・化学療法を併用した.自験例は,上背部の皮下腫瘤という原発性肺癌の胸壁浸潤としては比較的稀な臨床像を呈し,診断に苦慮した.男性の気腫性肺囊胞患者に肺癌が発生する頻度は高く,肺癌発生の危険因子の1つと考えられている.経皮的な生検による病理組織学的検査で肺腺癌と判明した点が特異であった.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.