Japanese
English
症例報告
脂漏性角化症に併存した基底細胞癌の1例
A case of basal cell carcinoma arising adjacent to seborrheic keratosis
生野 由起
1
,
田中 隆光
1
,
石川 武子
1
,
多田 弥生
1
,
大西 誉光
1
,
渡辺 晋一
1
Yuki SHONO
1
,
Takamitsu TANAKA
1
,
Takeko ISHIKAWA
1
,
Yayoi TADA
1
,
Takamitsu OHNISHI
1
,
Shinichi WATANABE
1
1帝京大学医学部皮膚科学講座
1Department of Dermatology, Teikyo University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
脂漏性角化症
,
基底細胞癌
,
ダーモスコピー
,
超音波検査
,
エラストグラフィー
Keyword:
脂漏性角化症
,
基底細胞癌
,
ダーモスコピー
,
超音波検査
,
エラストグラフィー
pp.54-58
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204972
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要約 82歳,男性.10年前に背部に小豆大の自覚症状のない皮疹が出現し,5年前より徐々に増大した.1か月前より擦れて出血することがあった.左中背部に12.5×9.6mm大の境界明瞭な黒褐色結節を認めた.結節は上2/3下1/3で境され,上方はドーム状に隆起し,それと連続して下方は扁平に隆起していた.上方の中央は蝋様光沢を有し,辺縁は不規則に突出していた.下方の扁平隆起部は角化性でわずかに鱗屑を有し蝋様光沢はなく,辺縁も平滑であった.ダーモスコピーではドーム状結節部に樹枝状血管,葉状構造に類似した突起,扁平隆起部にmillia-like cysts,comedo-like openingsを認め,超音波エラストグラフィーでは緑色〜青色を呈し扁平隆起部のほうがやや硬かった.病理組織学的には表皮と連続した左右非対称性に隆起した結節を認めた.扁平隆起部は小型の類円形の細胞で構成され,一部にメラニン顆粒を有し,角質囊腫や角栓が散在していた.ドーム状隆起部は基底細胞様細胞で構成され,辺縁は柵状配列を呈していた.2つの病変部の境界は比較的明瞭で,連続していた.また脂漏性角化症が基底細胞癌の中に島状に存在する部位もあり,脂漏性角化症が基底細胞癌に飲み込まれたと考えられた.
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