--------------------
あとがき
大山 学
pp.92
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204980
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
このところ続けてニボルマブで治療していたメラノーマの患者さんが旅立たれました.お二方とも安らかな最期を迎えられました.進行期の患者さん方でしたが,ほぼ1年の間,とても穏やかに日々を過ごされていました.自分の研修医時代を思い起こしますと,同じような症状の患者さん方は余命2〜3か月といったところだったでしょうか.ご家族のご無念はお察しいたしますし,今後さらなる治療法の開発が必要なのでしょうが,こうした患者さん方を拝見しますと,確実に医療技術が進歩していることを実感します.
同時に医療者として考えてしまうのは昨今話題となっているこの種の薬剤のコストの問題です.一説によれば1人のニボルマブ治療を受ける患者に対する国民の負担は年間3,000万円を超えるとのこと.今,保育園の保育料は高く見積もっても年間100万円程度でしょうから,単純計算すると30人の将来の日本を担う子供たちを保育園に行かせることができる金額と同額になります.当然,特効薬を使いたいと思う気持ちは理解できますし,もし,自分がその状況になればぜひ…となるには違いないのですが,冷静に日本の行く末を考えるとこのままで良いのだろうかと疑問も感じてしまいます.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.