神経研究の進歩 25巻2号 (1981年4月)

特集 感覚器

高木 貞敬
  • 文献概要を表示

 感覚器は,外部環境の情況やそれとのかかわりを個体に知らせる視覚,聴覚,嗅覚,味覚,皮膚感覚,平衡感覚と,内部環境の情況を知らせる深部感覚や内臓感覚などに大別され,それぞれ異なった受容器を持っている。本特集号は,それらの受容器について最新の研究成果を示すために計画されたものである。そこで,序文として,まず感覚全体を展望してみたい。

 感覚の分類として普通に用いられるのは次の二大別法である。

嗅粘膜上皮

嗅粘膜上皮の形態 岡野 真臣
  • 文献概要を表示

I.はじめに

 嗅粘膜上皮(または単に嗅上皮)は,化学的性質の刺激に応答する感覚器で,味蕾とともに代表的な化学受容器である。陸生動物は空気とともに飛来するニオイ分子を,また水生動物は水の中に溶けたニオイ分子を,嗅粘膜上皮をおおう粘液を介して,嗅細胞の受容サイトで受容する。

 今回のテーマである嗅粘膜上皮を,広く嗅覚器としての見地から眺めると,ヤコブソン鋤鼻器やマゼラ中隔器などが,この上皮の延長線上に浮かび上がってくる。

嗅粘膜上皮の機能 高木 貞敬
  • 文献概要を表示

I.嗅上皮の構造

 これについては前項ですでに詳しく述べられているので,ここではその働らきの理解を助けるために関連したことをのみ記述する。

 鼻腔に飛びこんで来たニオイ分子をまず受容するところはヒトでは鼻腔の天井部分にある嗅粘膜olfactoryepithelium(または嗅上皮olfactory mucosa)で,ここには嗅細胞olfactory cellという名で呼ばれる感覚細胞が密集している(図1)。嗅細胞はきわめて小さい細胞で,核のある部分がわずかにふくれていて約5μの直径を持っているが,そこから粘膜の表面に向かってのびている部分は嗅樹状突起という名で呼ばれきわめて細く(直径0.1〜0.2μ)粘膜表面に達すると少しふくれて終っている。この部分は嗅小胞olfactory vesicleと呼ばれ,ここから自発的にいつも動いている嗅線毛olfactoryciliaが数本または十数本生えてのびている(図2)。

嗅粘膜の病態 浅賀 英世
  • 文献概要を表示

I.はじめに

 図1は嗅覚機構を模式化して示したものである。この系列のどの部分に障害が起こっても嗅覚障害は起こる。とくに嗅覚の受容器である嗅粘膜は障害が起こりやすく,しかもこの部に障害が起こると嗅力の低下ははなはだしく,多くは嗅覚脱失の状態となる。

 嗅粘膜は嗅覚障害の臨床にとって最も大切な部分ということができる。またこの部の病態を知ることが治療法決定上にも大切なのである。しかし耳鼻咽喉科医が一般外来で行なっている前鼻鏡検査で嗅粘膜を見ることはできない。このため嗅粘膜の病態については長らく論ぜられることはなかった。数年前,われわれが針状硬性鏡(後述)を用いて嗅粘膜を直接観察することに成功,これによって肉眼的(内視鏡的)所見ではあるが嗅粘膜の病的状態について論ずることが可能となった。

  • 文献概要を表示

I.発展する概念と変わらない発生学的問題

 最近の視覚をめぐる生命科学の急速な学際的進歩は,従来の網膜の組織学的イメージをはるかに越えて,網膜が三つの主な細胞機構の総合の場であることを教える(Fig. 1)。

 1)可視光のエネルギーが,11-cis型レチナールをall-trans型に異性化するとき,オプシンの分子形態を変化させ,それを引金として膜のイオン透過性を高め,Ca++イオンの移動を起こさせる。ロドプシン分子全体がCa++イオンの膜貫通路になっている可能性もある。この光受容膜(円板膜)の膜興奮が第1ニューロンのインパルスとして送り出される。―この機能を担う光受溶細胞は,高度に分化した上衣細胞であり,光受容膜装置(杆体と錐体の外節)(Fig. 2),光受容膜の合成とエネルギー発生装置(結合繊毛および内節)(Figs. 2, 3),細胞体,軸索線維および終末装置(杆体小足および錐体小球)などの部分に分けられる。

網膜の機能 豊田 順一 , 藤本 正昭
  • 文献概要を表示

 網膜の機能は外部から受けた光を電気信号に変換し,物体の色,位置,形などに対応した神経のインパルスに符号化して中枢へ情報を送ることにある。図1は網膜内の種々の神経細胞の連絡を模式的に示したものであるが,光から電気信号への変換は視細胞のレベルで行なわれ,アナログ的な電気信号をパルス頻度に変換するのは主として神経節細胞の役割である。この視細胞と神経節細胞との間には2次ニューロンである水平細胞と双極細胞,3次ニューロンであるアマクリン細胞が介在する。視細胞からの主な信号の流れは,双極細胞,ついで神経節細胞に伝えられるが,それを水平細胞とアマクリン細胞がいろいろ修飾することにより網膜での情報処理の複雑な特徴が形づくられる。網膜にはこれらのニューロンとは別に,ミューラー細胞などグリア系の細胞が存在する。これらの細胞は情報伝達には直接関係しないが,網膜活動電位(ERG)などのtransretinal potentialの発生には重要な役割を演じている。

 これら網膜機能について詳細に述べることは紙面の許すところでなく,ここでは視細胞電位,視細胞と2次ニューロン間の情報伝達,transretinal potentialに対するグリア細胞の役割を中心に最近の研究の一端を述べることとしたい。

  • 文献概要を表示

I.はじめに

 網膜疾患の病態の特徴はいくつかあるが,それは解剖学的特徴に負うところが多い。胎生期前脳となるべき神経溝の両側の浅いくぼみから始まった眼杯は内層の綱膜と外層の網膜色素上皮となる。その網膜は図1に示すような層状構造をしているが,大きく,内層の脳層と外層の感覚上皮細胞である視細胞層に分けられる。脳層は名前の示す通り,脳と類似し,神経細胞,神経膠細胞および血管組織よりなり,血液網膜関門を持っている。そのため中枢神経系の代謝異常に伴なって網膜に症状が出現してくるのは当然のことであろう。ムコポリサッカリドーシスの網膜変化などはよく知られていることである。また逆に網膜色素変性症のような網膜疾患の患者に精査すると神経症状が検出されることがあることもよく知られている1,2)。しかし脳層といっても,実質臓器である脳と異なり,硝子体腔という中空な組織と接しているため出血や血管の変化,組織の増殖など特有な変化を示すこととなる。いっぽう視細胞層は血管を欠き網膜色素上皮を通して脈絡膜血管より栄養される。この場合,網膜色素上皮が血液網膜関門の役割を果たしている。視細胞には錐体および杆体の2種類があり,網膜の後極中心部は前者が主体となり,明るい場所での視力,色覚にあずかり,後者は周辺部に多く,暗い場所の弱い光の感覚に関与している.この視細胞には視物質が含まれており,光により分解合成が行なわれ,光化学反応の場となっている。

味蕾

味蕾の微細構造 武田 正子
  • 文献概要を表示

 哺乳類の味蕾は,舌の有郭乳頭,葉状乳頭および茸状乳頭,さらに口蓋,咽頭,喉頭,喉頭蓋などの粘膜上皮内に分布しており,形は卵形で,狭い味孔が舌表面あるいは乳頭の溝の中に開口している。味蕾細胞の大部分は,基底膜から上皮表層まで伸びる細長い紡錘形で,一般に周囲上皮細胞に比べ,核,胞体ともに明調である。哺乳類以外では,魚やカエルで詳しい研究がなされている。魚では,味覚器は,口腔や咽喉部ばかりでなく体表面にも存在し,これらは哺乳類の味孔の形とは若干異なり,味蕾細胞の頂上部が舌表面に比較的広く露出している(Reutter,1978)。カエルの舌茸状乳頭,あるいは口腔の他の領域にある味蕾は,味孔の形をとらず,頂上部が円盤状である(Graziadei and De Han,1971;Düringand Andres,1976)。

 哺乳類の味蕾を初めて記載したのは,Schwalbe(1867)およびLovén(1868)であり,その後多数の光学顕微鏡による研究がなされたが,味蕾細胞の種類とそれぞれの役割については,種々の考え方がなされ,一致を見なかった(Kolmer,1927;Heidenhain,1914)。

味蕾の機能 佐藤 俊英 , 岡田 幸雄
  • 文献概要を表示

I.はじめに

 味物質が味蕾に達すると,味細胞の受容膜表面に存在する受容サイトに結合する。その後,味細胞の静止電位に変化が生じ,受容器電位と呼ばれる応答が発生する。これが引金となり,味細胞の周囲にのびている味神経線維の末端にインパルスが誘発される。この過程が味細胞の機能である。このインパルスが種々のレベルの味覚中枢に伝達され,終点の大脳皮質の味覚野に至り,味の感覚が生起される。

 本論文では,味蕾内の味細胞で起こる電気的現象に関する最近の知見を述べる。

  • 文献概要を表示

 味蕾の病理に関する研究はきわめて少ない。味覚神経の切断による味蕾の変性と再生に関してはVintschgauとHonigschmied(1876)以来動物による数編の研究が見られるが,ヒトの味覚障害における味蕾の病理に関しては,寡聞にしてHenkinらの報告を知るのみである。

 筆者らの経験も,まだ充分ではないが,ヒトの味覚障害の二,三の病態における味蕾の病理,ならびに味覚障害の主要な原因である亜鉛欠乏状態にしたラットの味蕾について,電顕ならびに酵素組織化学的に調べているので,その経験と先人の報告から,現時点における味蕾の病理学を展望してみよう。

  • 文献概要を表示

 内耳の形態学の進歩は他の分野でと同じく使用する機器の発達,新しい手法の導入,試料作成法の改良などによりなお新しい知見が次々に紹介されつつある。機能と結びついた形態学をめざして生化学的あるいは免疫学的方法の導入など進歩はめざましい。

 本稿では近年報告されている内耳の形態についての研究のいくつかを概説するが,筆者がとくに興味を持っている蝸牛感覚細胞の感覚毛と蓋膜(tectorial membrane)との接続についてはくわしく述べる、Engstrom, Wersallその他の先駆者による報告は記していないが,これらはもちろん今日の進歩の基礎になっている。系統立った記述は,蝸牛ではKimura(1975),前庭ではLindeman(1969),側線器では浜(1975)のものにくわしい。

聴覚・平衡覚器官の機能 田中 康夫
  • 文献概要を表示

はじめに

 蝸牛における音波情報変換の機構に関して,Davisが可変抵抗マイクロホン説9)を提唱してからすでに20数年が経過した。その間,多くの受容器モデルが考案されてきたが,Davisの説を根底からくつがえすような新しい知見や理論の確立はほとんどなかった。最近,毛細胞内電位を同定することが可能となり,受容のメカニズムを細胞内はもちろんのこと,分子のレベルで考えることのできるような資料が得られつつある。したがってここではDavis説の詳しい解説の繰り返しはできるだけ避けて,次のような数項目のトピックスを中心として考察を行いたいと思う。そしてこの記述が本特集の趣旨にいくらかでも添うものとなるならば幸いである。それらは,毛細胞受容器膜の高濃度K微量Ca2+イオン環境,毛細胞内電位の同定と細胞外記録との対応,受容器膜の整流化作用とCa2+感受性,受容過程における第2フィルターの存在,周波数検知器としての感覚毛と毛細胞などである。各項目において,下等動物の側線器や蝸牛管の毛細胞からの研究成果を紹介しつつ哺乳類蝸牛毛細胞の受容機構について論及する。なお,毛細胞下端における求心性シナプス,遠心性抑制,化学伝達物質,中央階正電位の成因,血管条細胞の電位,蝸牛機能の好気性代謝依存性などは解明されるべき重要な課題であるけれども,ここではすべてを網羅することができず割愛させていただくことをはじめにお断りしておく。

耳石器の機能と病態 徳増 厚二
  • 文献概要を表示

I.耳石器の機能

 1.耳石器の構造と機能の関係

 ヒトを念め哺乳動物には側頭骨の骨迷路内に,ほぼ似た形の膜迷路がある。膜迷路は蝸牛,耳石器と半規管の3部分に分かれ内耳を形成している(図1)。

 蝸牛は音を,耳石器は頭部の位置や頭部に加わる直線加速度を,半規管は頭部に加わる回転加速度を検知し,有毛細胞,支持細胞,神経終末のほか物理的刺激を有毛細胞に有効に伝達する装置を有し,機械的刺激受容器mechanoreceptorとして似た構造となっている。

  • 文献概要を表示

はじめに

 ヒトの内耳感覚器の病理を調べるにはいくつもの困難がある。その一つは内耳病変は必らずしも致死的病変でないので組織を取る機会が少ないことが挙げられる。またたとえ採取しても側頭骨という硬組織の中に膜性の繊細な感覚器が内耳液に浮かんでいる状態では通常のパラフィン切片法は適用できない。そこでわれわれの研究室では次の二つの方式を採用している。

  • 文献概要を表示

はじめに

 筋紡錘は筋の長さと張力を感知する機械受容器であり,腱紡錘とともに筋運動の調節や姿勢反射に重要な役割を果たしている。

 筋紡錘を支配する神経終末を初めて詳細に記載したRuffini(1898)1)が,「目耳などの特殊感覚器を別とすれば,神経線維とその終末の豊富さにおいて,筋紡錘に匹敵する末梢受容器は存在しない」と指摘したように,筋紡錘は高度に分化した感覚器であり,多くの生理学者や形態学者の注目を集めて来たものである。

  • 文献概要を表示

 Katz27)がカエル第4長趾伸筋内の筋紡錘から初めて紡錘電位(spindle potential)を記録して以来,力学受容器の神経末端で発生する脱分極電位(受容器電位)によって求心性放電が起こされると考えるのが一般的である33,41)。しかし最近のわれわれの研究で,受容変換機構がそんなに簡単なものでなく,いくつかの段階を経て取り行なわれており,そこに関与するイオン機構も複雑なことがわかって来た。いまだ全容が充分に解明されたわけではないが,ここでは力学受容変換機構を次の3段階に分けて問題点を明確にし,われわれが考えている仮説についての実験的根拠などを述べることにする。1)神経末端の力学的変形を受容器電位に変える変換機構。2)受容器電位によって求心性放電を起こすまでの間にある増幅機構または引金機構。3)求心性放電を起こす符号化機構(図1A参照)。

  • 文献概要を表示

はじめに

 Weismann(1861)が筋紡錘(蛙)を初めて形態学的に記載し,Kuhne(1864)が"Muskelspindel"の術語を用いて以来,筋紡錘の形態と神経支配は哺乳類動物を中心に明らかにされてきている。筋紡錘の複雑な構造と神経支配を理解するために,Cooper(1960)・Matthews(1972)・Barker(1974)の綜説は有用である。これら綜説の出版後(1975年以降),錘内筋線維の分類ならびにその神経支配の研究は目覚しく,その内容は時代遅れになりつつある。また,その病理形態についての記載もきわめて少ないのが現状である。本稿では,最近の進歩を含めた筋紡錘の形態と神経支配,第二に,筋紡錘の病理形態について可能な限り触れてみたい。

筋紡錘の病態生理 間野 忠明
  • 文献概要を表示

はじめに

 筋紡錘の活動は伸張反射の求心性入力などとして骨格筋収縮の制御にきわめて重要な役割を担っている。従来,筋紡錘の活動性はネコなどの実験動物で分析されてきたが,最近,微小神経電図法(microneurography)の開発により,ヒトの筋紡錘活動の詳細な解析が可能となってきている。その結果,ヒトの骨格筋の随意収縮時にも錘外筋を支配するα運動ニューロンと筋紡錘を支配するγ運動ニューロンの共同活動(α-γ連合)の機序の作動することなどが明らかにされている(Hagbarth etal.,1968,1975 a;Vallbo,1971 a,b,1972,1973;Vallbo et al.,1979;Mano et al.,1976,1977 b;間野ら,1975,1976a,b)。

 いっぽう,ヒトの中枢性運動障害時の筋紡錘活動とそれを支配するγ運動ニューロンの活動性については従来,充分な検索がなされていなかったが,微小神経電図法の応用により,これらの問題の解明も試みられ始めている(Burke et al.,1977 b;Hagbarth et al.,1973,1975b,c;Mano et al.,1978 b,1979 a,b;間野,1977b,1978,a,b,1979a;1980b,c,d,e;間野ら,1978a)。

皮膚感覚器

皮膚感覚器の微細構造 黒住 一昌
  • 文献概要を表示

 皮膚感覚には生理学的に触覚,痛覚,温覚,冷覚が区別され,そのほかに皮膚の深部知覚として圧覚があり,また複合感覚として掻痒感や灼熱感があるというように複雑多岐にわたっている。これに対応するかのように,皮膚の神経終末も種々の異なった形態のものが記載されているが,神経終末のタイプと皮膚感覚の種類とは1対1に対応できるまでには,解明されてはいない。現在のところ,自由神経終末が痛覚,メルケル細胞とマイスネル小体が触覚,ファーター・パチニ小体が圧覚という可能性はかなり信頼性があると思われているが,温度感覚に関連する皮膚神経終末はよくわかっていないし,上記以外の神経終末はその微細構造もまだ不明のものが多い。

 このように微細形態学的にも感覚生理学的にも,皮膚感覚は最も解明が遅れており,今後の研究に俟つところが大きいが,今のところでは比較的よく研究されている触覚器官,すなわちメルケル細胞とマイスネル小体の微細構造を中心にして記載するほかには方法がない。

皮膚感覚器の機能 小川 尚
  • 文献概要を表示

 皮膚に存在する感覚受容器は,適刺激により機械受容器,温度受容器および侵害受容器に大別できるし,組織学的に見ると神経終末部が特殊化した第一次感覚受容細胞primary receptor cellと上皮細胞から変化した第二次感覚受容細胞secondary receptor cellがあり,皮膚では前者が大部分を占め後者はメルケル細胞だけしかない。このように多数の受容器が存在するにもかかわらず受容器レベルで研究が行なわれているのは機械受容器の一つであるパチニー小体だけである。しかも機械受容器の刺激受容機構は本質的には筋紡錘と同じと考えられているので,ここではネコのパチニー小体と遅順応受容器のモデルとしての下等動物張力受容器stretch receptorにおける刺激受容機構を概説するのにとどめる。最近,高等動物の皮膚感覚ユニットの生理学的性質がほぼ完全に明らかにされ,また支配神経と受容器の栄養的相関についての実験が盛んになりつつあるのでこれらについて述べることにする。いっぽう,ヒトの皮膚感覚ユニットの研究が近年盛んであるが,ここではいっさい触れない。

  • 文献概要を表示

 皮膚の感覚受容器としては,真皮乳頭層に存在するマイスネル小体,表皮基底にみられるメルケル細胞,真皮の中—下層に位置するパチニ小体などが有名である1,2)。そのほかにも毛包周囲を取り巻く柵状神経終末とか,表皮内または真皮内自由神経終末などがある1,2)。少なくとも形態学的には上述の諸構造物は古くから皮膚感覚受容器といわれている。しかしながら,それらの受容器の機能的裏づけ,すなわち感覚生理学的対応はいまだ不十分である。端的にいえば,どのような受容器がいかなる感覚の受容に働いているのかという点である。そこで,本稿では皮膚感覚受容器のうちのマイスネル小体,とメルケル細胞とを取り上げ,まずそれらの正常構造について述べ,ついでなるべく本特集号の意図に沿いつつそれらの微細構造から見た病態につき述べてみたい。編者の意図にいくぶんなりとも合致すれば幸いである。

基本情報

00018724.25.2.jpg
神経研究の進歩
25巻2号 (1981年4月)
電子版ISSN:1882-1243 印刷版ISSN:0001-8724 医学書院

継続誌

文献閲覧数ランキング(
9月13日~9月19日
)