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I.はじめに
網膜疾患の病態の特徴はいくつかあるが,それは解剖学的特徴に負うところが多い。胎生期前脳となるべき神経溝の両側の浅いくぼみから始まった眼杯は内層の綱膜と外層の網膜色素上皮となる。その網膜は図1に示すような層状構造をしているが,大きく,内層の脳層と外層の感覚上皮細胞である視細胞層に分けられる。脳層は名前の示す通り,脳と類似し,神経細胞,神経膠細胞および血管組織よりなり,血液網膜関門を持っている。そのため中枢神経系の代謝異常に伴なって網膜に症状が出現してくるのは当然のことであろう。ムコポリサッカリドーシスの網膜変化などはよく知られていることである。また逆に網膜色素変性症のような網膜疾患の患者に精査すると神経症状が検出されることがあることもよく知られている1,2)。しかし脳層といっても,実質臓器である脳と異なり,硝子体腔という中空な組織と接しているため出血や血管の変化,組織の増殖など特有な変化を示すこととなる。いっぽう視細胞層は血管を欠き網膜色素上皮を通して脈絡膜血管より栄養される。この場合,網膜色素上皮が血液網膜関門の役割を果たしている。視細胞には錐体および杆体の2種類があり,網膜の後極中心部は前者が主体となり,明るい場所での視力,色覚にあずかり,後者は周辺部に多く,暗い場所の弱い光の感覚に関与している.この視細胞には視物質が含まれており,光により分解合成が行なわれ,光化学反応の場となっている。
Abstract
Retinal disease has two features; One is com-mon to general nervous system diseases and the other is peculiar to the place of photochemistry. The former is mainly observed in the inner layer of the retina and the latter is in the outer layer of the retina, namely, in the photoreceptor cells and the pigment epithelium cells. From this view, point, side effects of phenothiazine derivatives and oral contraceptives on the retina were described.
Phenothiazine derivatives have been extensively used mainly for the treatment of schizophrenic patients.
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