訪問看護と介護 16巻5号 (2011年5月)

特集 自律しながら支え合う!私たちのスタッフ教育

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1人で訪問し、まず1人で判断し、必要に応じてつなぐ―。

でも、「1人」に不安はつきもの。

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 1人で利用者宅を訪問し、1人で判断しながらケアを行なう訪問看護師には、「自律性」が求められる。同時に“連携”も求められる職場であるが、実は、連携するにも「自律性」は重要である。

 では、自律した訪問看護師となっていくには、どう学び、いかに育て合っていけばいいのか? 訪問看護師の自律性を育むスタッフ教育とは、どのようなものなのだろうか?

【訪問看護クリニカルラダー】

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 超高齢社会を迎え、訪問看護の需要は高まっている。しかし、訪問看護ステーション運営の課題は山積しており、なかでも人材確保や職員教育は、つねに管理者の悩みの種になっている。

 当事業でも同様の悩みから、さまざまな試行錯誤のうえ、多くの取り組みを行なってきた。本稿では、そのなかから「クリニカルラダー」(以下、ラダー)に焦点を当てる。ラダーは、病院では当たり前の教育手法となっているツールだが、訪問看護における導入は未だ少ない。そこで、2007年から、“訪問看護独自”のクリニカルラダーの開発に取り組んだ。ラダー作成の背景と経緯を振り返り、完成したラダーを紹介するとともに、実践の評価と今後の課題までを報告する。

【新卒訪問看護師研修プログラム】

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 「訪問看護をするためには、数年の病院での勤務経験が必要だ」という定説がある。しかし、その定説も少しずつ変化してきているように感じる。

 セコム訪問看護ステーションでは、2006年から「新卒看護師」を訪問看護師として採用し、育成を始めてから5年が経過した。人数にばらつきはあるものの、「訪問看護をやりたい」という強い志をもった新卒看護師を毎年採用してきた。2006・2007年に入職した新卒看護師は、今では、訪問看護師としてひとり立ちし、訪問看護ステーションの一員としての役割を果たしている。

【訪問看護アセスメント・プロトコル】

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「訪問看護師になりたいと思う?」

 看護師を目指している学生さんによく聞いてみます。すると、概ね返事はこう。

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 このたび、非常に有意義なプロジェクトに携わらせていただきました。暗黙の経験知を「見える化(可視化)」する作業は、非常に難儀なものでした。それは、いつも散策している所を地図化するようなことです。無意識に正しく散策している者にとっては、この作業はかえって面倒なことです。しかしこの作業によって、だれでも安心して正しく進むことができるようになったのです。

 病院のようにいつも誰かが近くにいる場合は、ガイドさんと一緒に歩くようなものでしょう。しかし訪問看護という活動はたいていが独りで実践に出かけます。そのような場面でこそ正しくわかりやすい“地図”が必要なのです。

【うちのステーションではこうしています!】

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 1995年に開設して以来、はや17年が経過しようとしています。当初は5人のスタッフで、誰も訪問看護の経験のないなかでのスタートでした。今から思うと無謀な行動にも思えるのですが、逆に何も知らなかったからよかったのかもしれません。最初から依頼が多く、看護師を2度目に募集したときには多くの応募があり、そのときのスタッフが今も6名残っていてステーションを築いてきてくれました。入ってすぐ辞める人はなく、定着率はかなりよいほうだと思います。

 現在は、常勤10名・非常勤5名、利用者150名、月の延べ訪問回数は800回前後です。訪問看護は、日常の情報交換が欠かせません。また、毎週水曜日の午後は、訪問業務は極力入れず、勉強会や実習の受け入れなど、必ず学びの機会に当てています。

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 当事業所は、作業療法士8名・理学療法士1名で、月平均640件の訪問リハビリを行なっています。毎朝15分(8時30分~)のミーティングは、1日のなかで唯一全スタッフが“場を共にする”貴重な時間であり、さまざまなことを「共有」できるよう工夫しています。スタッフ全員または複数で把握・検討する必要がある内容に集中して確認・議論し、そのほかの時間も有効活用できるようにしています。

 ミーティングの内容は次のとおりです(❶は毎日、❷以降は随時)。

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 当ステーションは、1999年に開所しました。今年開業50周年を迎える第二次救急指定の有床診療所を母体とし、居宅支援事業所を併設しています。ステーションの職員は、管理者1名、看護師は常勤4名・非常勤1名(常勤換算4.9名)と事務員1名です。神経難病、がん末期や在宅ハイテク医療処置を必要とする利用者が3割強を占めています。

 訪問は午前2件・午後2件の1日4件を標準に予定を組んでいますが、管理者は、通常の訪問予定には組み込んでいません。管理者は、「初回」「看取り」「休みのスタッフの代行」として訪問することを基本としています。管理者を訪問予定に組み込まないことで、困難事例や高度な医療処置を要するケースへの「同行訪問」が可能となりました。

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 どんな職業でも、つねに問題になるのは“人と人の関係”である。とくに看護の仕事は、まさに「人間関係の仕事」であり、人を育てる視点から、悩みながら施行錯誤している。

 人を育てるうえで最も大事なのは、「環境」と「教育」であると考えている。そこで、当ステーション(常勤21名・非常勤2名、利用者230名、月の延べ訪問回数1600回くらい)の取り組みを行なっている。

【特別寄稿】

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 私の専門は経営学であり、なかでも“ヒト”の問題を扱う「人材マネジメント(人事管理)」の分野を専攻している。この数年は、医学部や医療系の大学院で、医療機関のマネジメントを教えてもいる。その関係で声がかかり、訪問看護の研究会に1年間ファシリテーターとして参加してきた。組織におけるヒトの問題を考えるともに、「職業」というものを考えるよいきっかけになった。

 その矢先に、東日本大震災が起こった。被災地や原子力発電所などで、自衛隊員・消防団・警官・役所などの行政や、医療関係者、ボランティアの人たちや民間企業マンの必死の活動を見るにつけ、「この人たちを動かしているものは何なのか?」、また「職業とは何なのか?」と考えさせられている。

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昨今、日本でも医療の機能分化が進められ、急性期病院での治療後はすぐに退院し、在宅生活へ移行することが望まれるようになりました。しかし、退院後の患者さんの在宅での受け入れ体制はまだ十分とはいえません。そこで、在宅医療モデルとして実績のある「尾道方式」の地域医療体制、多職種連携による在宅生活支援について、尾道市医師会訪問看護ステーションの三藤所長にお話をうかがいました。

連載 訪問看護 時事刻々・146

地域にケアの拠点を 石田 昌宏
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 3月11日に起きた大地震・大津波の発生から約1週間後、被災地に物資の支援に行った。行政機関や避難所だけでなく一般家庭も巡回し、物資を届けた。1日あけて同じ地域に2度入ったが、たった2日の差なのに街の雰囲気はずいぶん違い、日々現地が動いていることを感じた。災害支援は一日一日が勝負。数日先をみて手を打たねばならない。先手の対応が勝負を決める。

 さて、そこで痛感したのは、この連載でも何度か言ってきたような、街の中のナースステーションを創るべきだということ。もし実現していたら、多くの人の命が救え、多くの不安を解消できたと思う。

連載 在宅ケア もっとやさしく,もっと自由に!・20

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 「この町で健やかに暮らし、安心して逝くために」というテーマの市民公開シンポジウムを、2007年から開催してきました。在宅療養の普及や、在宅での看取りの実現をめざして、1回目は新しいステーションを東久留米市に開設する準備段階でもありましたからそのPRも兼ねて、2~4回目は新宿区内にある地域区民ホールでの開催で、略して「この町シンポ」。これまでに静岡や秋田、仙台などにも飛び火して開催されています。

連載 在宅ホスピスの現場から ターミナルケア実践からの12の学び・5

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 ある日、治療病院から電話がありました。

 「明美さんを家に帰らせてあげたいのだけれど、相談にのってもらえませんか?」

連載 “ケースメソッド”でステーション経営の頭を鍛える!・9【最終回】

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 今回で本連載は最終回である。これまで7つのケースを素材に、訪問看護ステーションの経営体力を高めるためにはどうすればいいのかを、それぞれのケースの当事者になりきって考えていただいた。いずれのケースも、ステーションの大模化や、ステーション同士のネットワーク化などによって訪問看護ステーションの経営基盤の強化に取り組んだものである。自分が経営者ならば何を問題だと判断し、どのような解決を意志決定するのか、さまざまな可能性に考えをめぐらし、知的シミュレーションを展開してきた。

 さて、これまでディスカッションしてきた経営基盤の強化の方策には、個々のステーションレベルの経営努力によるもの、ステーション同士の連携など、訪問看護ステーション連絡協議会等の組織レベルの努力が必要なもの、そして地域や行政レベルの努力が不可欠なものがあった。

連載 看護師が家族として経験した在宅緩和ケア・2

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在宅療養の現実

 2010年4月1日。早朝、父は血餅を喀出し、少し息苦しそうだった。新年度の初日であり、私は出勤するつもりでいたが、父と母が不安そうにしているので、急遽、有休をとることにした。

 『退院後のがん患者と家族の支援ガイド』(プリメド社)に、「在宅療養というと、脳血管障害や老衰などを対象とするイメージが強いが、がんの在宅療養の場合は、①通常は経過が短い、②苦痛の緩和や症状コントロールを重要視する、③家族全員の介護参加が望ましい、④『一日でも長生きする』を第一の目標としない」とあり、わが家の置かれている状況について理解ができた。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第2回

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杏里 前回は母さんの病歴の話で終わってしまったような気がするので、今回は連載サブタイトルにもある、私の“「介護」「看病」は泣き笑い”な話を紹介させていただきます!

母 はい、どーぞ。

東日本大震災の被災地から

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 3月11日14時46分、私のステーションのある北上市も震度5以上の地震に見舞われました。それでも、津波に襲われた岩手県沿岸部に比べれば建物や人的被害はそれほど多くはありません。今、沿岸部では、支援物資は届かず(海岸までは届いても、それを輸送するガソリンがないためです)、雪積もる寒さのなかで灯油もない避難生活を余儀なくされています。被災地にいる友人看護師によれば、高齢の方々は体調を崩したり、亡くなる方も出てきたとのこと。避難所以外でも、無事だった家に何人か集まって避難してはいるものの、食料が尽きてきていると言います。同じ県内にいるのに、これに応えることができない。ガソリンも灯油も届けることができない現状に苦しい思いが募ります。

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―今朝、被災地支援物資を届けるべく那須塩原まで往復されてきたとか。

秋山 NPO法人ゆいの里の飯島惠子さんがトラックを調達して―アジア学院から借りることができて、石巻に向かうというメールを昨夕もらったので、まずは被災地の支援者のために必要な物資―長靴などを持てるだけ持って今朝一番で届けてきました。

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 身体面の健康状態に関する、在宅サービスに関わる専門職が持つアセスメント能力の自己評価の特徴の明確化を目的に、老人保健施設、訪問看護および訪問介護提供事業所の54施設の看護・リハビリテーション・介護職413人へ、アセスメント能力の「自己評価」「苦手意識」について質問紙調査を行なった。その結果、回答のあった380人中、有効回答の345人(有効回答率90.8%)を分析した。

 自己評価は看護職は全項目で高く、介護職は全体的に低いがアセスメント項目の【観察】では看護職と差が小さく、リハ職は項目(「尿」等)によって自己評価が低かった。苦手意識は、介護職は「記憶」「感情」以外の項目で看護職より苦手意識をもち、リハ職は看護職より苦手意識が小さい項目(「麻痺」)をもっていた。ある職種で低い自己評価、高い苦手意識であっても、他の職種ではそうではないことが示され、アセスメントにおいて多職種で補い合う必要性が明らかになった。

書評

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 この原稿をそろそろ書こうと思っていた矢先、東日本大震災が起こった。私の病院も震度6強で、壁や床に亀裂が入り、パソコンや医療機器が散乱。直後から非常用以外のライフラインは止まり、廊下にも会議室にも患者が横たわった。それから約10日、私は病院に泊まり込む生活。看護局長兼寮母さん(?)になった。

 TVのニュースでは宮城・岩手などの津波、福島の原発の厳しい状況が繰り返し放送され、そのたびに、それらの県で出会った訪問看護師や看護協会の人たちの顔が思い出された。「みんな無事で」と心のなかで祈ることしかできなかった。私は私の病院の患者さんと看護師のことで精一杯だったからだ。

読者の声

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被災地の生活支援はヘルパーの笑顔から

篠崎良勝 青森県・教員,介護福祉士

地域や施設でもっと看護と介護が連携するために

磯和勅子 三重県・大学教員

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ニュース―看護と介護のこのひと月

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 東日本大震災で、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

新メンバーでの進行に切り替わろうという頃、耳目を疑うような災害に東日本は見舞われました。緊急掲載の現地からの声は、被災地の苦難と、素早く支援に動いた医療職らの思いを伝えています。日頃から支援を志せばこその行動力と、日頃培えばこそのつながる力の強さを感じました。連載「時事刻々」、書評などでもこの震災に寄せてメッセージをいただいています。今こそ、自律しながら支え合っていけますように。…杉本

保育園と似てる…というのが初めて訪問看護ステーションにお邪魔した私(父業2か月め)の第一印象。グループ別に担当表が貼り出してあり、卓を囲むスタッフの活気が部屋を満たしていて。大きく違うのはケアの当事者がその場に集うか、ケア者がみずから現場に赴くのか。その楽屋裏であり学び舎でもある、つながる力が感じられたこの場の空気が、東北にもつながっていることを、私たちに届けさせて下さい。…青木

このたび編集室に加わった伊藤です。この春まで担当していた伊藤とは同姓の別人ですが(紛らわしくてすみません)、数年前に2年間ほど、一緒に弊誌を担当していました。当時とは訪問看護を取り巻く状況がさまざまに変化している一方、変わらない強さもあると感じています。今月号で震災関連の記事を緊急掲載しましたが、在宅ケアに関わる方々の機敏な動きはさすがです。これからどうぞよろしくお願いします。…伊藤

基本情報

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訪問看護と介護
16巻5号 (2011年5月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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