訪問看護と介護 16巻6号 (2011年6月)

特集 訪問歯科と連携しよう!高齢者の歯と口腔をケアする

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高齢者の「齢」という漢字に、「歯」という部首が入っているのは、歯の状態が年齢を如実に物語るからだそう。

歯は、加齢に伴い、ただでさえ衰え、食べられなくなっていきます。

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 在宅訪問口腔ケアで、多くの患者さんとその家族との出会いと別れがあり、数々の貴重な体験をし、現場で学んできました。そんななか、多くの方が最後まで生きている喜びを感じることの1つが、「食事」であることを実感しています。

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被災地にも明らかな歯・口腔と全身状態の関係

 この原稿の依頼を受けたあと、東北から関東の広域を大地震と大津波が襲いました。基礎疾患をもつ多くの高齢者の方々が自宅を失い、不衛生な避難所での生活を今も余儀なくされています。被災地へと私も支援に向かいました。

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 在宅で療養中の患者さんの歯科治療の中心は「口腔ケア」と言っても過言ではありません。在宅医療では、キュアよりも“ケア”が中心になることが多くあります。

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 歯科衛生士による口腔ケアを、私たちは「専門的口腔ケア」と呼んでいます。本稿では、そのいくつかの技術のなかから、明日の訪問看護・介護に役立つエッセンスをQ&A形式でご紹介します。

【実践報告】

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 訪問看護師となって8年が経過した。以前は、総合病院の外科に勤務していた。当時は、患者さん自身が歯磨きができることが多く、また、脳血管障害などで嚥下障害がある患者さんは、状態が安定するとすぐにリハビリ病院へと転院してしまうため、病棟内で積極的に「口腔ケア」を行なうことはなかった。また、院内に口腔外科はあったが、歯科衛生士はおらず、私自身、歯科医院に行くのが苦手だったこともあり、「歯科衛生士の役割」については、歯科医の補助というくらいの認識であった。

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 現在、訪問歯科診療が各地で取り組まれているが、診療報酬の改定のたびに翻弄されているというのが現実だ。筆者(俊夫)自身も、父の跡を継ぎ、1977年に開業したときから、当たり前に訪問診療を実施していた。しかし、「訪問診療」という言葉が、診療報酬に設けられた時点で、なぜか歯科から往診がなくなり、とても不便になってきた。

 現実に同じようなことをしているのに、さらにはよりよい取り組みをしていても、報酬が少なくなることがあるのは理不尽だ。しかし、いくら不採算ではあっても、訪問診療をやめるわけにはいかない。このようななか、地域で開業している筆者は、「要介護者が、少しでも好きな物を食べられるようにしたい」との思いから、35年間、訪問診療に取り組んできた。

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 筆者は歯科医であり、また、協力歯科医師として特別養護老人ホーム(以下、当施設)に関与している。当施設は、設計段階から要介護高齢者の口腔管理の必要性を重視し、専門的口腔ケアを含めた歯科診療が提供できる歯科室を設けている。介護業務における歯科衛生士の役割についても初期から注目し、歯科衛生士が常時勤務するわが国では数少ない施設である。また、口腔ケアをはじめとする日々の介護業務において、歯科専門職、看護師・介護職らとの、より質の高い多職種連携を模索しているので、その概要を紹介する。

巻頭インタビュー ケアする人々・5

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ナイチンゲール没後100年であり、『看護覚え書』刊行から150周年でもあった昨年の11月、映画「病気は回復過程である ALL DISEASE IS A REPARATIVE PROCESS ナイチンゲール『看護覚え書』より」(ハイビジョン45分)が完成しました。この作品の監督である今泉さんは、「『看護覚え書』を映画にしたい」という思いを、20年来、温めてきたと言います。なぜ、ナイチンゲールであり、『看護覚え書』に、それほど魅了されたのか? 本作のきっかけとなった2人の看護師にもコメントを寄せていただきました。

この映画もインタビューも、東日本大震災以前のものです。被災地では、ナイチンゲールがクリミア戦争で体験したことに近い状況が起こっているようにも思えます。今こそ、ナイチンゲールに改めて学ぶときかもしれません。

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 私にとって看護の原点回帰への指針である『看護覚え書』。19世紀に書かれたものが、なぜ、こんなに胸に響くのだろうと思いながら、読むたびに新たなメッセージをくみ取る喜びを幾度味わったことだろう。

 一方、高等教育の広がりのもとで、古典としての『看護覚え書』であり、研究対象としてのナイチンゲールであっても、学生たちの真の教材として活用されていないことを感じていた。本書に流れている奥深い理念を、何とか若い看護学徒を始め臨床の看護師たちに伝えたい思いが強くあった。だが、今泉文子監督に出会うまで、これを映像化するなどという発想はなかった。しかし、20年来の彼女の執念を聞いて、直観的に「きっとできる」と思い、そのチャレンジに意義を感じた。

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 今泉さんに出会って20年にもなるのですね。今も私にとって『看護覚え書』(以下、『覚え書』)は座右の書です。戸惑ったり迷ったりしたとき、いつもこの本を紐解いてきました。そうすると必ず、その問題を考えるためのヒントがあった。『覚え書』は、150年経ってなお、看護に限らない「人間が生きていくということ」の本質を突いていると感じます。

 看護師として、看護管理者として、私が『覚え書』のなかで最も大切にしてきたことは、ナイチンゲールのいう「看護の視点」です。それは看護を行なうときに大事にする価値観、つまり、『覚え書』の副題にもある「何が看護で、何が看護ではないか」です。看護観は、それぞれの看護師が育むもので、看護師の数だけあるという考え方もありますが、私はそれは共通のものであると考えています。自らに問うべきは、「私の看護観は?」ではなく、「看護とは何をすることなのか?」だと思うのです。

東日本大震災の被災地から

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 私は、母と2人で、ALSで人工呼吸器装着の父を在宅介護しています。3月11日の東日本大震災では、本当に想定外のことがいろいろ起こりました。今も大きな余震が続いています。

連載 訪問看護 時事刻々・147

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 前回5月号で、街にナースステーションが必要と書いた。東日本大震災の被災地では多くの看護ボランティアが活躍しているが、なかにはこれからの新しい仕組みにつながりそうなやり方で被災者を支えようとしている人たちがいる。被災地の全戸巡回、仮設住宅への訪問看護ステーションの併設、さらにケア付きのセカンドハウスをつくろうという試みなどだ。これらをきっかけに、看護職がその主体性を発揮し、地域住民のいのちと暮らしを支える仕組みができたらうれしい。復旧や復興などを超えて、高齢少子社会にフィットする新しい街をつくるには、そこで生き生きと看護が提供されていることが必要だ。

 さて、偶然だろうか、時を同じくして来年度の介護報酬改定に向け、厚生労働省の審議会に日本看護協会から要望書が提出された。そこに、「訪問看護を基盤とした小規模多機能型居宅介護の創設」「『看護職員による居宅療養管理指導』の機能強化」「24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスの実効性ある仕組みづくり」などが提案されている。行政用語をつかった独特の言い回しのため一見わかりにくいが、街の中にケアの拠点を置く、予防的な関わりをしやすくする、街の中をラウンドする、などと言えばよいだろう。

連載 一器多用・第1回【新連載】

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 現在4か月の双子の男児を子育て中です。最近では、表情も豊かになり、声もあげるようになりました。手を組んだり、寝返りをしたりと、どんどんできる動きも多くなり、日々の成長が楽しみでなりません。自宅にいる限りは妻だけに任せず、昼も夜中もおむつ交換、ミルク、入浴……と、最近で言う「イクメン」を実践中です。

 当初は、翌日の仕事を考えると、夜中の育児は無理かと思っていましたが、子育て参加2日目から、介護施設で10年間培ってきた“夜勤の体内時計”が再起動。おかげで、夜ごとの世話も行なえるようになりました。全国各地の病院・施設・自治体などへ、身体介助技術や健康増進、介護予防などの講演・講習の出張で家を空けることが多いので、ここで妻のポイントを稼いでおかないと(笑)。

連載 在宅ケア もっとやさしく,もっと自由に!・21

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 4月2日、日本赤十字秋田看護大学で教育(地域域護)に携わる中村順子さん(もと訪問看護師)が岩手県陸前高田市に支援に入ると聞き、私は最終便で秋田に飛びました。現地で中村さんと落ち合い、翌早朝、佐々木亮平さん(もと陸前高田市の保健師・現 同大助教)とともに大学の車に同乗させてもらい陸前高田市に入り、今後の方向を決める支援会議を傍聴させてほしいとお願いしたのです。交通網が寸断されていますから、このような形でないと現地入りは難しい。その夜には秋田に戻り、翌朝一番の飛行機で東京戻りというスケジュールです。

 支援会議には現地の訪問看護師も出席するというので、私は在宅ですぐ役立つであろうゴム手袋やアルコール綿、軟膏類、トロミ剤など、さらにシャワーボトル用に、穴を開けたペットボトルのキャップも10個ほど持参しました。

連載 在宅ホスピスの現場から ターミナルケア実践からの12の学び・6

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 しとしとと雨がふる初夏に、美咲さんから「相談外来を受診予定だったけれど、体が動かなくなってしまい、クリニックに行けない」と電話がかかってきました。美咲さんは、治療病院を退院後、自宅で療養していましたが、急激に日常生活動作(以下、ADL)が低下し、そのことに強い不安を覚えての連絡でした。

 在宅ホスピスでは迅速な関わりが患者さんとの信頼関係を築いていきます。さっそく医師とともに訪問しました。そこから美咲さんへのホスピスケアが始まりました。

連載 看護師が家族として経験した在宅緩和ケア・3【最終回】

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父の居室が「病室兼ナースステーション」に

 2010年5月13日午前。オキシコンチン®の内服が困難になってきたので、訪問看護ステーションに電話し、「緩和ケア科医師に連絡をとり、プレペノン®を持続皮下注射できるように手配して、訪問に来てほしい」と伝えた。緩和ケア認定看護師も同行してくれ、導入指導を受けた(写真1・2)。気づいたら、父の居室はいつの間にか病室兼ナースステーションになっていた。

 プレペノン®開始後は、それまでとはうって変わって穏やかな表情で過ごすことができた。こんなことならもう少しはやく、内服から持続皮下注射に切り替えればよかったと思った。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第3回

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杏里 今回は、介護サービスを受けるまでの道のりをお話しします。いろいろあったなぁ……。

母 それについて、私はとても反省しています。

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はじめに

 近年のがん罹患数増加に伴い、在宅医療や通院治療を選択する患者に対しては、病院という枠組みを超えた支援環境の構築が必要である。たとえば、外来化学療法を続けるがん患者は、身体的苦痛の緩和や生活の安定、自分のあり方に関する支援を求めており、それには患者や家族の潜在回復力に働きかけることが重要であると言及されている*1。がん対策基本法施行後、療養環境の整備が推進されているが、こうした総合的な患者や家族へのサポート体制は十分だとは言えない*2。がん治療の高度化や長期化に伴い長期的にがん体験者を支援していくシステムの確立が重要である。

 本稿では、さまざまな療養環境にあるがん患者とその家族が長期的に主体性を発揮できる環境での支援を考えると同時に、がん患者やその家族が主体となるサポート環境とはどのようなものであるかを、相談サロンでの活動事例を通して検討した。

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はじめに

 2011(平成23)年4月5日、第177回国会に、政府(厚生労働省所掌)から「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(以下、「本法律案」という*1)が提出された。本法律案は、「高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される『地域包括ケアシステム』の実現に向けた取組を進める」ものとして位置づけられている*2。その具体的内容として、6つの柱、①医療と介護の連携の強化等、②介護人材の確保とサービスの質の向上、③高齢者の住まいの整備等、④認知症対策の推進、⑤保険者による主体的な取組の推進、⑥保険料の上昇の緩和が掲げられている。

 本稿では、2つめの柱(介護人材の確保とサービスの質の向上)の一項目である「介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員等によるたんの吸引等の実施を可能とする」点に着目し、本法律案によって介護概念がどのように転換されようとしているのかについて問題を提起したい。なお、この項目に関する規定は、本法律案5条に示されている。

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動物行動学者による介護現場の観察が実に刺激的

匿名 介護福祉士

この雑誌を病棟看護師にもぜひ読んでほしい

小林美香子 三重県在住

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ニュース―看護と介護のこのひと月

INFORMATION お知らせ

今月の5冊

投稿規定

バックナンバーのご案内

次号予告・編集後記 杉本 , 青木
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被災地からの声は、在宅療養中のALS患者さんのご家族から。地域のケア専門職に支えられて、大きな不安のなかでも希望を語る内容に、私のほうが励まされてしまいました。災害時には、地域の医療と福祉がまさに命綱。秋山さんの連載でも触れられています。特集は、被災地での口腔ケア支援の合間に執筆いただいたものも少なくありません。飲み水にも事欠き、うがいや歯みがきは後回しにされがちな避難生活の結果に起こっていることは、いかに口腔ケアが重要なのかを物語っています。巻頭インタビューは映画「看護覚え書」監督。クリミア戦争でのナイチンゲールの体験に似た状況が被災地にある今、看護の原点の意義深さを感じました。…杉本

“病人の食事を決めるのは、化学(机上の学問)じゃなく看護者の観察でなくては(Observation, not chemistry, must decide sick diet)”とは、『看護覚え書』第7章の言葉。ナイチンゲールは本書13章構成のうち中盤2章を「食事」の記載に割いています。歯が弱った患者のためにゼリーやスープといった流動食にも細かな気遣いを示した彼女。世界的なセレブでありながら、ひきこもり在宅生活を選んだ人でした。自虐的で他罰的で、落ち込んでは傷つき、逃げてはやっとまた回復して目覚しい業績を残し続けたその人生は、知れば知るほど現代人として親しみぶかい、愛すべきやっかいさに満ちています。まんが『ナイチンゲール伝』は、月刊『看護教育』で7月号から連載開始します。…青木

基本情報

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訪問看護と介護
16巻6号 (2011年6月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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