訪問看護と介護 16巻4号 (2011年4月)

特集 私を変えた!認定看護師教育課程

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訪問看護認定看護師教育課程がスタートしてから6年が過ぎ、現在、日本全国で198人の訪問看護認定看護師が活躍しています。

「認定看護師教育課程を受講して、何か変わりましたか?」

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2年前、認定教育課程修了直後に、本誌の座談会で「認定看護師教育課程で学んだこと」を語ってくださった方々に再度お集まりいただき、認定看護師資格取得後の変化・新たな挑戦についてうかがいました。

半年間の認定教育課程の学びから得たものは?

訪問看護の魅力を体現する、4人の語りをお届けします。

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「家に帰る。家には本当の看護師さんが来てくれる」

 この言葉は、私が訪問看護の魅力を再認識し、自分の力不足を痛感させられた、利用者さんからの忘れられない一言です。がんのターミナルでしたが、強い信念をもって自宅で療養され、家族に見守られて亡くなられました。亡くなる1か月ほど前に、短期間ではありましたが入院を余儀なくされた際、褥瘡をつくってしまった病棟看護師へ向けた怒りの言葉でした。

 当時の私は、この利用者さん宅を訪問している看護師の1人でした。亡くなられたあと、ご家族の手記でこの言葉を知った私たちは、自分たちの看護が間違っていなかったとうれしく思う反面、本当に十分なケアが行なえていたのだろうかと、自問自答する日々を送りました。

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住み慣れた地域で最期まで暮らすには?

 私は、2009年に訪問看護認定看護師となり、その後認定教育機関で教育に携わってきました。しかし現場への思いは強く、昨年7月、大分県別府市の温泉地に「一般社団法人 湯のまち訪問看護ステーション」を開設したところです。

 当ステーションの理念は、「住み慣れた地域で、安全安心な療養生活とその人らしさを支えること」。この理念は、地域で暮らす利用者・ご家族に生起している問題やニーズを、どのように解決していくかを考えていくことにつながります。私たち訪問看護師がコーディネーターの役割を務め、他機関多職種とチームワークを組み、住み慣れた地域で最期まで暮らせるための1つの選択肢として、「泊まりのサービス」をいずれは制度に新設できるよう取り組んでいきたいと考えています。

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 認定看護師になってから務めている大阪府看護協会のステップ1やターミナルケア研修の講義終了後、「大橋さんのステーションに就職したいと思いますが、募集していますか?」と尋ねられることがよくあります。

 「なぜ、私の施設に来たいと思うの?」と聞くと、「まだ子どもが小さいので、研修に行くのはちょっと難しい。だから、仕事しながら学べる大橋さんのところがいいなと思って」などと答えます。もっと看護を学びたいという意識が高いことが伝わってきます。

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 私は1995年(平成7)年に前法人でステーションを立ち上げたものの、その後2000年(平成12)に介護保険がスタートしてからは4か所のステーション、2か所の居宅介護支援事業所、老人保健施設2施設を統括し、療養通所介護事業所の創設と開設に携わり、訪問看護の現場から離れて仕事をしてきました。

 その間、多くのスタッフを育ててきましたが、自分自身は不完全燃焼で、もう一度勉強したくなり、聖路加看護大学の認定教育課程であれば週末開講なので通えるのではないかと思って、願書を提出しました。

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在宅ケアにおける複雑性に対応できる実践家が求められる

 訪問看護師には、①フィジカルアセスメントの力(生命を維持する力を見極め、危険を回避できること)、②ケアマネジメントの力(対象の状況をアセスメントしてケア方針を決定する)、すなわち本人の生活習慣や価値観を尊重した生活過程を整えること、③コミュニケーションの力(本人や家族のケア方針について合意形成していくこと、さらには在宅ケアチームの専門職との合意形成をしていく力)が求められる。そして、訪問看護における対象者は、さまざまな慢性疾患を有し、さまざまな成長発達過程にいる療養者とその家族である。訪問看護師には、彼らが生活している場に出向き、彼らが経験している種々の健康問題に対して看護の専門性を発揮しながら、柔軟に対応していくことが求められる。

 価値観が多様化する現代において、在宅療養者が抱える健康問題は、ますます複雑性を増し、また、医療者を取り巻く現状も多様化している。そのような現状の中で、特に訪問看護認定看護師には、これらの複雑性に対応可能な実践家としての役割が期待されている。

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 大分県立看護科学大学看護研究交流センターは、2008(平成20)年、西日本で初めて訪問看護認定看護師教育課程を開講し、今年で4年目を迎える。

 修了生のうち、現在21名が訪問看護認定看護師の資格を取得し、各地で活動中である。さらに、2011(平成23)年2月末には新たに3期生が課程を修了し、5月に行なわれる認定審査を受けるための学習を深めているところである。

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 聖路加看護大学認定看護師教育課程は、大学の附置機関である看護実践開発研究センターの「キャリア開発支援」事業に位置づけられています。「不妊症看護コース」「がん化学療法看護コース」「訪問看護コース」の3コースがあり、2008年度の開講から今年で3年目を迎えました。

 訪問看護コースの定員数は30名、研修期間は6月から翌年2月までの9か月間です。2010年度の研修生の平均年齢は43歳(34~55歳)、平均訪問看護経験月数は107か月(40~215か月)で、東北から九州まで全国各地から受講に訪れています。

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 日本訪問看護振興財団訪問看護認定看護師教育課程は「地域で暮らす人々が疾病や障がいがあってもQOLを満たした生活が主体的に継続できることをめざし、地域で支える看護実践の専門家・指導者を育成して、訪問看護等在宅ケアの質向上および推進を図る」という教育理念のもとに2005年10月に開講され、今年の秋には7年目を迎える。

 2011年3月現在、全国には訪問看護認定看護師が約200名いるが、そのうち113名は当教育課程の修了生である。

認定看護師教育基準カリキュラム改正がめざすこと

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訪問看護認定看護師教育課程の経緯

 日本看護協会で「訪問看護」が分野特定をされたのは1998年であるが、それから数年間は認定看護教育の実施機関の申請がなく、訪問看護分野は開講されなかった。

 日本訪問看護振興財団では、2004年に認定看護師育成は訪問看護を推進するために大変重要な事業であると判断し、教育カリキュラム作成などの準備を進めた。その結果、2005年1月、日本看護協会から「日本訪問看護振興財団認定看護師教育課程」の機関認定を受け、2005年10月に第1期生を迎えることができた。

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 今、在宅療養者の置かれている状況、そして訪問看護の内容が様変わりしているように感じます。そのようななか、昨年3月、勤務先のステーションが病院併設となったことを機に、管理者および訪問看護認定看護師として、院内の訪問看護推進に向けた“営業活動”を行なってきました。とくに、褥瘡保持者やターミナルの事例をもとに訪問看護の早期介入の必要性を伝えています。

 本稿では、褥瘡管理における急性期病院と在宅の連携のあり方を考え、あわせて訪問看護推進に向けての取り組みについて報告したいと思います。

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 本研究の目的は、訪問看護師が抱えている職業性ストレスとニーズを把握し、今後の勤務継続支援に関する方略を探索することである。社会福祉法人S訪問看護事業部の7か所のステーションの看護師7人に半構造的個別インタビューを行ない、録音データから逐語録を作成し、コード化、分類しカテゴリーを抽出した。

 その結果、【責任の重さを感じる】【無力感がある】【不足感がある】【24時間体制による拘束感がある】【ターミナルは葛藤と苦悩のくり返しである】【つねに緊張感がある】【衝撃を受けた】【職場の対人関係での葛藤】【心身のストレス状態を感じている】【説明と同意で利用者との信頼関係をつくる】【訪問看護が好き】【学びたい、成長したい】【相手を尊重するようにしている】【上司やスタッフに会話・指導を求めている】の14カテゴリーが抽出された。そのカテゴリーの関連性を検討し、図式化した。

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高齢者・認知症の方のケアに臨むとき、相手が思うように動いてくれず、戸惑うことがあります。介護現場のコミュニケーションは一筋縄ではいきません。でも、あるときうまくいく瞬間があります。その状況が転がりだしたきっかけは何なのでしょうか。

こうした介護現場でのコミュニケーションのあり方を記述しようと、動物行動学をベースに研究を続ける人がいます。トンボから始めた研究が、どうしてヒトへ、さらにケアの現場へと向かっていったのか。その興味と関心の先をお聞きしました。

連載 看護師が家族として経験した在宅緩和ケア・1【新連載】

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 父が肺がんと告知を受けてから在宅で看取るまでの1年間、私の勤務先である山田赤十字病院が提供する医療を“患者家族の立場”で受けてきた。当院は、がん診療連携拠点病院であり、がん治療の場が外来中心に移行している)。急性期病院としての機能を維持するために平均在院日数の短縮化にも必死の努力をしていることを、私が家族に説明したためもあってか、父自身が入院を望まず、1年のほとんどを自宅で過ごした。

 日頃、病院のバックオフィスに身を置く私には、在宅ケアの現場で、誰が、どのようなケアを提供しているかが見えていなかった。しかし、父の療養を通し、複数組織の医療・介護スタッフの1人ひとりが、ケアの専門職としてのプライドと自信をもって仕事をしていることを知った。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第1回【新連載】

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杏里 はじめまして、岡崎杏里です。23歳のときに53歳で若年認知症になってしまった父さんの在宅介護と、その最中に卵巣ガンになってしまった母さんの看病をなんとか乗り越えた一人娘です(その介護と看病の日々は『笑う介護。』『みんなの認知症』をどうぞ)。今回から卵巣ガンから復活した母さんと父さんを介護する日々について「あーだ、こーだ」と私の部屋で語り合っているようなノリ(親子漫談!?)で、連載をさせていただくことになりました。時にはゲストを迎えたり、読者のみなさんからいただいたお題について話し合ったりできればと思っています。母娘が暴走してハチャメチャを言うかもしれませんが、「この人たちはこうなんだ!」といった広~いココロでお付き合いいただけますと幸いです。まずは私のアシスタントとなる母さん、自己紹介をお願いします!

母 えっ、私がメインであんたがアシスタントじゃないの? はじめまして、杏里の母です。こう見えて、って、誌面だから見えないかぁ……、私は卵巣ガンを克服した元ガン患者です。

連載 訪問看護 時事刻々・145

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 今年も介護サービス施設・事業所調査の結果が発表された。訪問看護ステーションの場合、利用者数は、月20~39人が27.2%で最も多く、次いで40~59人が24.1%、60~79人が15.7%、1~19人が12.3%。160人以上のところも2.7%あるが、あいかわらず概して小規模だ。

 介護予防サービスと介護サービスを比較してみると、訪問看護ステーションの場合、介護予防サービスが1事業所あたり平均5.0人で介護サービスは56.4人。一方、訪問介護の場合は17.6人と36.0人。訪問看護ステーションは介護予防にあまり使われていないことがよくわかる。

連載 在宅ケア もっとやさしく,もっと自由に!・19

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 10か月前にはご夫婦でオーストラリア旅行をしたという、70代後半のSさん。半年前から浮腫みが強くなり、労作時の息切れが目立ち始めました。利尿剤でも軽快せず、精密検査で希少難病の原発性アミロイドーシスと診断されています。

 心筋肥厚、虚血性心筋症、腎機能低下、甲状腺機能低下と心不全症状があり、薬物治療にも反応が悪く、進行が速い。医療者にも予測ができないほどの加速がついた状態でした。

連載 在宅ホスピスの現場から ターミナルケア実践からの12の学び・4

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 暮れも押し迫る冬、当時私が勤めていた訪問看護ステーションに、大学病院のソーシャルワーカーから電話がありました。在宅療養を希望しているがん終末期の守さんに、在宅ホスピスの説明とケアを依頼する内容でした。

 私は、その翌日には、入院している守さんを訪ねました。在宅ホスピスケアは、スタートが肝心です。迅速な対応が鍵を握ります。病態ががん終末期であるからというだけでなく、患者さん・ご家族の安心と信頼、そして病院との連携にもつながるからです。

連載 “ケースメソッド”でステーション経営の頭を鍛える!・8

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 今回のケースは、災害時などに地域の訪問看護ステーションがネットワークを組んで、医療依存度の高い在宅療養者に「緊急時でも継続的な訪問看護を保証する」システムづくりに取り組んだケースである。

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 「女性が鏡に向かうときは脳が喜んでいる」と脳科学者の茂木健一郎氏は語る。多くの女性にとって化粧はなじみのある行為であり、心理的な違和感や抵抗感は少ない。数年間にわたり行なってきた認知症高齢者の方・知的障害のある方等への化粧療法の効果について報告したい。「化粧をする機会」をもってもらうことは、一期一会であれ継続した長期の時間軸であれ、予想外の副次的効果が得られ、皮膚の上だけの行為や美の追求だけでなく、“生きる”を支えるケアであると私は考える。

ほっとらいん ふろむ ほんごう

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 さる1月28日(金)、全国訪問看護事業協会主催による「第1回訪問看護支援事業報告会」が東京にて行なわれました。

 「訪問看護支援事業」は、平成21年度から、厚生労働省により「訪問看護サービスの安定的な供給を維持し、在宅療養環境の充実を図ること」を目的に実施され、本年度も2億円の予算が計上されています。平成21年度からの2年間で、11道県が「請求事務等支援事業」「コールセンター支援事業」「医療材料等供給支援事業」「その他(パンフレット、マニュアル、ホームページの共同作成)」などに取り組みました。さらに、平成22年度からは富山県・大阪府・岐阜県・沖縄県が新たに参入しています。

読者の声

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「精神科訪問看護で不正請求」について

匿名 大阪府・精神科訪問看護師

 

今すぐ資格を活かせる訪問看護認定看護師

匿名 愛知県・訪問看護認定看護師

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ニュース―看護と介護のこのひと月

INFORMATION お知らせ

今月の5冊

バックナンバーのご案内

投稿規定

次号予告・編集後記 杉本 , 伊藤
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若年性認知症の父上の介護、がんを患う母上の看病、さらには愛犬の看取りに若くして直面。その日々の悲喜こもごもを綴った『笑う介護。』には笑いながらも涙。その著者・岡崎杏里さんの“親子漫談”新連載が今月から始まります。涙といえば、別れの4月。この1年間、共に仕事をしてきた伊藤が、当編集室を去ります。編集者としても、女性としても大先輩で、デスクで話し合いながら過ごした日々は、心底貴重なものでした。いよいよ独り立ち?のときを迎え、1人で訪問看護に臨む不安が少しわかるような気がします。5月号はそんな不安に応えるスタッフ教育特集。本号の認定看護師特集に続き、春はステップアップの季節でもあり。認定編集者教育課程もあればいいのに!?…杉本

 

月刊『フォアミセス』3月号掲載の「金色のプロポーズ」(横谷順子作)! 横谷さんといえば、本誌3月号までの連載も好評でした。「金色の…」では、一般女性を読者対象として、高齢者ケアの実状・ケアする専門職の姿を描いています。本誌の服部祥子さんの連載をヒントにしたラストに涙しつつ、訪問看護はなんとすばらしい応援団を得たことかとうれしくなりました。本号特集にも、「家に帰る。家には本当の看護師さんが来てくれる」という患者さんの言葉があり、訪問看護の仕事が地域に根付きはじめたことを感じます。なお本号をもって担当を離れることになりました。さまざまにご支援・ご厚情いただきました皆さまに心から感謝申し上げます。…伊藤

基本情報

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訪問看護と介護
16巻4号 (2011年4月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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