事例報告
ある認知症高齢者の看取りにおける宅老所スタッフの関わり
田中 梢
1
,
井伊 暢美
2
1がん研究会有明病院
2大分県立看護科学大学成人・老年看護学研究室
pp.506-510
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102220
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近年、高齢化が進むなか、在宅で看取ることの困難さや入退所に伴う生活環境の変化が与える高齢者への影響、介護度の高さが、グループホームや宅老所などのグループリビングへの入居期間の長期化を招き、それらが終の棲家となる傾向にある*1。グループリビングでの看取りでは、その人らしさを大切にした関わりがなされているが、1人の看取りに対して、その人らしい最期を迎えるための複数のスタッフや家族の関わりを明らかにした文献は、検索しえた範囲では見当たらなかった。
野島*2は事例研究によってその全体を記述することで、誰もが認める客観的真理を探究することができるとしている。そこで本報告では、看取りを「亡くなったときを含む前後の期間に提供されるケア」とし、グループリビングのスタッフ・家族(遺族)ともに「よい看取りだった」と認識している事例について情報を集めた。そのなかで得られた、ある宅老所における1事例を対象として、看取りにおける複数人の関わりを記述することを目的とした。
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