JIM 2巻2号 (1992年2月)

特集 外来で見逃されやすい疾患II―症状からのアプローチ

うつ状態 佐藤 武
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■要注意の症状!

身体的愁訴(頭重感・食欲不振・睡眠障害など)

生命機能の全低下

対人関係における喪失と挫折

・発病初期には,精神的な問題との関連が稀薄な身体的愁訴(頭重感・食欲不振・睡眠障害など)により表現されることが多い.

・中核症状は身体的および精神的にみた生命機能の全低下にある.

・診断は詳細な生活歴聴取の中でのうつ状態(→1)に先立つ出来事(日常性における秩序の変化など)の意義と既往歴における類似の病相の存在.

・対人関係における喪失(→2)と挫折への理解.

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■要注意の症状!

 摂食障害→診断の確定にはむしろ周囲からの十分な情報や行動の観察が重要.食行動の異常,肥満嫌悪,身体像の障害などの心理的特徴.下剤の乱用や嘔吐のある例では低カリウム血症.

 神経性食欲不振症→体重の高度減少,活動性の亢進,無月経,病態に対する認識の欠如,低血糖,低蛋白血症.

 神経性過食症→ひきこもり,抑うつ,いらいらなどの精神症状,短期間での体重の極端な変動など.

・性差および年齢的特徴:90%は10~20歳代の若い女性に集中している.男性例は数%とまれである.食行動の異常だけでなく,いくつかの際立った特徴をもつ独特の疾患である.アメリカ精神医学会による診断基準(DSM-III-R)がよく用いられている(表1).

・食行動の異常:しばしば本人の意志による節食が行われ,摂食量は極端に減少する.従来より,本症の経過中に過食の時期が見られることはよく知られていたが,最近では過食症状が突出して,神経性過食症,あるいは両者をあわせた上位概念である摂食障害と呼ぶのが適当な例のほうが増えている.

・体重の高度減少:標準体重と比較して,15~20%の体重減少を診断基準のひとつとすることが多い.

・心理的特徴:高度のやせにもかかわらず危機感が乏しいため,発病後,受診するまで数カ月から数年を経過しているものが多い.便秘にこだわり,下剤を乱用するものもいる.肥満嫌悪,身体像の障害(実際にはやせているのに,本人は太っていると思い込んでいることなど)が強い.

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■要注意の症状!

難治性吃逆

中高年男性

脳幹症状

複数要因の共存

・あらゆる頭蓋内神経疾患,中毒,薬物,全身麻酔,代謝障害は中枢性吃逆を起こし得る.

・耳鼻咽喉科領域,頸部,胸・腹部のいかなる病変も末梢性吃逆を起こし得る.

・難治性吃逆を呈する患者の9割は男で,その9割以上に背景の器質的疾患が見いだされる.

・女の場合9割以上は心因性で,比較的若年者に多く,睡眠中は消失する特徴がある.

・男の場合,脳血管障害を主とする70歳代のピークと,多発性硬化症や脳髄膜炎などを主とする30歳代のピークとの二峰性分布を示すが,前者が大半を占める.

・同一患者で複数の要因が関与している場合も少なくなく,吃逆はさらに難治となる.

筋疾患―肝疾患との混同 岡安 裕之
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■要注意の症状!

軽微な筋力低下

近位筋と遠位筋の筋力の解離ミオトニア

・筋疾患の内には筋力低下や筋痛といった症状が病初期明らかでないものが存在する.

・全身倦怠感や易疲労性を訴える患者の中には,原因が筋力低下によるものがある.正しい診断に到達するためには,階段の昇り,しゃがみ立ちといった動作に特に支障がないかを尋ねることが必要.

・正常筋力がどの程度か日頃から正常と思われる患者で筋力検査に慣れておく.

・血圧測定と同じくらい握力計による筋力検査は重要(握力と肩首あるいは下肢近位筋筋力の間に大きな解離はないか,すぐに握力計から手をひらいて離せるか観察).

・GOT,GPTの軽度上昇等にはGOT/GPT比をみること.比が1以上であればCK,LDH検査を.

・γ―GTP単独上昇はアルコール性肝障害に特有ではない.

多発性骨髄腫 松野 一彦
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■要注意の症状!

血清総蛋白増加

膠質反応異常

γ-glob増加

どのようなとき,多発性骨髄腫を疑うか?

・中~高年齢者で正球性貧血が持続する場合.

・血清総蛋白が増加し,特にγ-globが増えており,膠質反応の異常が見られる場合

・特に原因なく腰背部痛が持続する場合

・病的骨折を起こした場合

・特に上記の2つ以上が重なった場合に強く疑われる.

頸椎症 西澤 茂
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■要注意の症状!

四肢先端(glove and stocking type)のしびれ

深部腱反射の亢進

下肢クローヌス

・myelopathyの症状を見逃さない.

・myelopathyの初期症状として,左右対称性に四肢先端にglove and stocking typeのしびれ感,知覚低下を認めることが多い.病巣が左右どちらかに偏在している場合は,一方の症状が先行する.

・glove and stocking typeの知覚異常は多発性末梢神経障害(polyneuropathy,→1)に特徴的であり,それとの鑑別が必要である.

・深部腱反射の亢進,下肢クローヌスなどの症状を伴っていればmyelopathyがあることは間違いなく,MRIによる精査が必要である.

40歳代前半の妊娠 伊藤 博之
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■要注意の症状!

性器出血

吐気

胃部不快感

・40歳代前半の女性で妊娠を見逃すことはそれほどまれでない.とくに性器出血で来院する場合や吐気,胃部不快感などで他科(内科,外科)を受診する場合に多い.

・高齢化社会の今日,40歳代女性の妊娠は増加の傾向にあり,日常診療においては常に妊娠の可能性を考慮しつつ対処するよう心がけたい.

急性中耳炎 武田 伸二
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■要注意の症状!

先行する上気道感染

耳痛,耳閉感,聴力低下

微熱,耳漏

・小児に多く,1歳と5歳にピークがある.

・上気道感染,扁桃腺肥大,アレルギー性鼻炎などが多くの場合先行する.

・耳痛は最も多い症状で,夜間,痛みで覚醒することが多い.乳幼児では,耳痛以外の不機嫌,消化器症状などが中心となる.

・耳漏により痛みは軽減する.

・発熱は38℃台までのことが多く,高熱がある場合は他の疾患も考慮.

副鼻腔炎 飯島 美千穂
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■要注意の症状!

頬部の鈍痛

後鼻漏

 次のような症状があるとき,副鼻腔炎を疑う.

・黄色で多量の膿性鼻汁と後鼻漏

・鼻閉感

・頭重感または頭痛.鼻根部や頬部の鈍痛

・嗅覚異常(自分の鼻がくさいと感じたり嗅覚が低下する)

・咳(小児の副鼻腔炎に多い)

・X線検査による副鼻腔の陰影

緑内障 塚原 玲子
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■要注意の症状!

頭痛

眼痛

虹輪視

・発作は圧倒的に夜間から明け方に多く,一過性の前駆的な小発作がみられることがある.また,中年以降の女性の遠視眼に発症しやすく両眼同時の発作はまれである.

・患者は頭痛に気をとられ眼症状を自覚しないこともあるが,注意深く問診すると頭痛だけでなく眼痛を必ず伴っている.

・患側眼球結膜の充血があり,虹輪視を伴った視力の低下を認める.また,角膜は浮腫状に混濁し,前房は浅く,瞳孔は散大,対光反射は欠如している.

・触診すると眼圧亢進のため健眼に比し患眼は堅い.

・治療のポイントは瞳孔ブロックの解除および眼圧の降下である.

疥癬 日野 由和夫
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■要注意の症状!

激しい痒みを伴う小丘疹

陰部の結節

疥癬トンネル

STD

院内感染

・激しい痒みを伴う全身の紅色小丘疹,陰嚢や陰茎の赤褐色の結節,指間,手関節部などの疥癬トンネルと呼ばれる線状の皮疹を示す.

・性行為感染症(STD:sexually transmitted diseases),院内,家族内感染による.

・ステロイド外用剤誤用により増悪する.

・皮疹部材料の直接検鏡により疥癬虫が証明できる.

・治療薬は硫黄剤,安息香酸ベンジル,crotamiton (オイラックス)など.

・二次感染防止の対策を要す.

ほくろとメラノーマ 井上 勝平
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■要注意の症状!

メラノーマ早期発見のABCDE方略

Asymmetry/不整形態

Border irregularity/境界不明瞭

Color variegation/色調多彩

Diameter enlargement/病巣の拡大

Elevation of surface/表面隆起

・最も悪性度の高い皮膚原発悪性腫瘍はメラノーマ(悪性黒色腫malignant melanoma)である.しかしメラノーマの大多数は長年月にわたってほくろ(黒子,色素性母斑)に類似した早期病変の病期を経過することが明らかになり,この時期に適切な手術を行えば完治させることのできる疾患であることが実証されてきた.

・米国癌協会が提唱したメラノーマを肉眼的に疑うべき"five ABCDEs of melanoma"は極めて有用性の高い方略である(図1).

異型白癬 富澤 尊儀
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■要注意の症状!

 副腎皮質ステロイド外用剤を現在使用中かまたはその使用歴があり,しかも使用当初は有効であるように見えても,それが有効であるべき皮膚疾患であるのに,やがて全く無効となるか,またはむしろ増悪傾向を示す時,異型白癬を疑わなければならない.

・毳毛(ゼイモウ)部(→1),とくに顔面に多くみられる.

・体部白癬の定型的な臨床像と大いに異なる.

・他の多くの皮膚疾患と誤診しやすい.

・しかし,視診上,辺縁の一部において体部白癬の定型的皮疹の排列をみることがあるので,皮疹の注意深い観察が必要である.

・副腎皮質ステロイド(以下「ス」)外用剤(時に長期間内服)の使用歴がある.「ス」外用剤を体部白癬へ誤用して異型白癬へ移行した場合と,他疾患への「ス」外用剤の外用中に白癬が併発して異型白癬となった場合との2つがある.従って欧米ではsteroid induced tineaとも言う.

・真菌が毛嚢に入り,毳毛部深在性白癬に移行しやすい.

・時に糖尿病,免疫不全,悪性新生物などの基礎疾患を伴うことがある.

・診断の確定には,病巣から検鏡で真菌の菌要素を見いだし,培養で皮膚糸状菌を分離することが必要である.

・原因菌はTrichophyton rubrum(以下T.rubrum)であることが非常に多い.

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 外来ではその場を逃すと二度と真実を知る,つまり正確な診断を得ることはできないかもしれないと常々心しておかなければならない.したがって気になることや心配な点はできるだけその場で明らかにするよう努力する必要がある.そのためには問診および身体所見,その場でできる簡単な検査が重要である.

Key Articles 松井 征男
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 "外来で見逃されやすい疾患"という今回の特集に関連して,内容的にも,また日常診療上の使いやすさという意味からも,

 Manual of Clinical Problems in Adult Ambulatory Care with Annotated Key References. Dornbrand L, et al. Ed. Little, Brown & Co.,1985をすすめたい.

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 2号にわたる特集「外来で見逃されやすい疾患―症状からのアプローチ」の締めくくりとして,第一線の一般臨床に携わっておられる先生方に,特に外来診療で見逃されやすい疾患とその対策について経験や失敗談を交えながら話し合っていただきました.

General and Specialist

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 "generalist"この言葉の日本語訳,適切に要約をされた日本語を見いだすことは困難である."一定集団の人々の健康管理と病気の管理・治療に公的責任をもって対応しうる責任感と責任のある医師"ということである."specialist",特定の臓器あるいは病気について高度な知識と技能を有する専門医師である.

 "人々の日常の健康管理,病人の日常の管理・治療はgeneralistが担当し,患者は定期的に,あるいは必要時に,specialist (consultant physician)を受診し,generalistとspecialistの緊密な連携のもとに,無駄なく人々の健康管理・病気の治療が行われる"という体制は,英国・北欧など社会保障として医療保障が行われている国々における医療の基本である.私自身,社会保障下での医療のあるべき姿として高く評価している.わが国で,このようなgeneralist,specialist体制を実現するためには,解決されなければならない,解決できそうもない,いくつかの大きな障壁がある.

General Medicine 総合外来

慢性肝疾患患者とQOL 高見 茂人
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 慢性肝疾患を完治させ得る薬剤は,いまだわれわれ臨床家の手許にはなく,合併症対策に終始しているのが現代医療の現実である.こうした"限界"をわきまえる時,外来診療において,慢性肝疾患患者に対しては,そのQOLを尊重した「インフォームド・コンセント」が強調されねばならないだろう.

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 カルシウムの異常は分かりにくい.理由は単純だ.特徴的な症状に乏しいことと,臨床現場で測らないことが多いからだ.ナトリウムやカリウムがほぼルーチンに測られているのとは対象的である.今回はカルシウム異常,特に日常まれではない高カルシウム血症の発見と評価について考えてみたい.

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 日常診療でfocusのはっきりしない10日から2週間の発熱は,不明熱として扱い入院の対象となることが多い.比較的経験する見逃しやすい疾患についてふれる.

当直医読本

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トピックス 突然の激しい胸背部痛,あるいは腹痛で発症する疾患のうち,解離性大動脈瘤は,予後不良でありながら,同時に見逃されることも多い.また,胸部単純X線検査などでも,特有の所見が得られるとは限らず,病歴や身体所見から,積極的にこの疾患を疑うことが,見逃さないための,最も重要なポイントである.

こどものsocial medicine 病気とともに積極的に生きる

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 ビデオ脳波などの診断技術の進歩や抗てんかん剤の血中濃度測定により,8割近くの小児のてんかんが完全にコントロールできるようになっている.しかし,治療がてんかん児の日常生活に与える影響は大きいため,診療に当たって,薬物治療,臨床検査のみならず,生活全般に対する細かい配慮が必要である.とりわけ本人と周囲の人々のてんかんに対する正しい理解が長期管理の鍵となる.

 診断と治療へのアプローチを述べ,どのようにすれば副作用を少なく,てんかんをコントロールしていけるかを考える.

和漢診療ケース・スタディ

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症例

患者:61歳,女性

主訴:不眠,動悸

既往歴:55歳 右乳癌手術

 家族歴:1989年5月夫胃癌で死亡.子供2人.

JIM Lecture

皮膚科のプライマリケア 宮地 良樹
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一般医に求められる皮膚科プライマリケア

 皮膚科専門医が不足し,大都市や大病院に偏在するわが国では,皮膚科疾患の約50%を一般医あるいは他科医が診察している計算になる.したがって,一般医に求められるプライマリケアとしては,①ありふれた皮膚疾患(湿疹・皮膚炎群(☞1),白癬症,痤瘡など)の治療,②皮膚科専門医にゆだねるべき疾患の判断,③皮膚科emergencyへの対処の3点となる.

 皮膚疾患は多彩で,難解と思われがちであるが,本態が炎症か腫瘍か,病変が表皮か真皮か付属器か,と単純化して考えると理解しやすい.本稿では,一般医が必ず遭遇する皮膚疾患のプライマリケアについて,最もわかりやすいと思われる発疹別の分類で解説する.

Clinical Training 基本的臨床能力を見直す

尿検査・検便 畑 直成
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尿検査で注意すること

Q 蓄尿するとき防腐剤は必要ですか?

A 尿には体内外の種々の物質が含まれており,採取後の変化はすぐにあらわれます.このため尿は変性しやすいので防腐の必要があります.防腐の手段は検査の目的によって違うので,入院患者の尿を蓄尿するとき検査にあった防腐方法を指示しなければなりません.蛋白,糖,クレアチニン,アンモニア,ステロイド代謝産物を測定するときは,トルエンまたは,キシロールを2~3ml/24時間尿加えます.カテコールアミン,VMA,Ca (アルカリ尿ではリン酸Caの沈澱が生じる),P(アルカリ尿ではリン酸塩が生じる),17―KS,コーチゾールなどは濃塩酸を10ml/24時間尿加えます.ポルフィリンなどはNa2CO3を5g/24時間尿加えます.もちろん測定する前に沈澱が残らないように攪拌します.

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 黄帝内經素問―The Yellow Emperor's Classic of Internal Medicine1)―には脈診を中心とする古代中国の診断学が記載されている.この医学書は紀元前2500年頃の古代中国の皇帝―黄帝と彼の侍医である岐伯との問答として記載されている(図1).これがいつ書かれたかは不明であるが,おそらく紀元前500年から1000年頃であろうと思われる.Veith Iは黄帝内經素問の81章の最初の34章を英語に翻訳しているが,その中で彼女はこれらの章がこの本のほとんどすべての基本的な考え方を表現していると述べている.

 黄帝はまず岐伯に対して次のような4つの質問をしている.「大昔の人々はどうして動作が衰えることなく長寿を全うできたのか」,「年を取るにつれ生殖能力が衰えるのはなぜか」,「例外的に老人でも子供を生むのはなぜか」,「道教を信ずる者は100歳まで生殖能力があるだろうか」.これに対して岐伯は「大昔の人々は道教の教え,すなわち自己修養の道を理解し100歳を越えるまで元気に生きた.また昔の人々は陰陽の法則にのっとり,生命力を保持し生殖能力を保つことができた.しかし今の人々は情欲のままにその精力を消耗し生気を失っている.」と答えている.すなわち黄帝内經素問は生活,健康および疾病に関する哲学書ということができる.

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事例:198○年2月8日司法解剖

 慢性肝炎で数年前から総合病院内科に毎週1回通院治療に来ていた42歳の女性患者が,夫の転勤で他県に行くことになり,同系列病院への紹介のため,現在の病状を明確にする必要からインドシアニングリーン(ICG)による肝機能検査を行うことになった.約6カ月前の前回検査を含め,すでにこれまで3回の同薬による肝機能検査を経験していることでもあり,特に予備検査などは行わず,内科医師が自ら注射用溶液を作成して型どおりに静注を済ませ,5分毎に3回の採血を終えた頃から,不快を訴え始め,続いて嘔吐,顔面蒼白,冷汗,呼吸促迫,意識消失となってショック状態に陥り,数分後には心停止した.しかし同時に外科からも医師がかけつけて気道を確保し,心拍動,自発呼吸もほぼ平常に復して一時はもち直したかに見えたが,意識はついに回復せず,約4時間後に死亡が確認された.

歯~とぴあ―臨床医のための歯の話・1

8020 鈴木 俊夫
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 わが国の平均寿命は年々延び,1989年には男75.9歳,女81.8歳に達している.しかし,健康の維持増進に深くかかわっている"口腔"の機能についてみると,"歯の寿命"は平均寿命とは大きくかけ離れ,1987年の調査によると,50.4歳となっている.このことは,最後の歯を失ってから,男25年,女30年もの長期間,言い換えれば人生の1/3,歯がない時を過ごすことになる.

 口腔内の状態は,症例によりさまざまな状況を呈しており,その大きな要因として,患者・家族の過去に受けてきた健康・保健などに関する教育・経験や経済力,また口腔に対する関心度や理解力,食生活など日常生活習慣がなど考えられる.

基本情報

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JIM
2巻2号 (1992年2月)
電子版ISSN:1882-1197 印刷版ISSN:0917-138X 医学書院

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