Japanese
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特集 外来で見逃されやすい疾患II―症状からのアプローチ
異型白癬
Tinea Incognito
富澤 尊儀
1
Takanori Tomizawa
1
1関東労災病院皮膚科
pp.134-136
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900348
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■要注意の症状!
副腎皮質ステロイド外用剤を現在使用中かまたはその使用歴があり,しかも使用当初は有効であるように見えても,それが有効であるべき皮膚疾患であるのに,やがて全く無効となるか,またはむしろ増悪傾向を示す時,異型白癬を疑わなければならない.
・毳毛(ゼイモウ)部(→1),とくに顔面に多くみられる.
・体部白癬の定型的な臨床像と大いに異なる.
・他の多くの皮膚疾患と誤診しやすい.
・しかし,視診上,辺縁の一部において体部白癬の定型的皮疹の排列をみることがあるので,皮疹の注意深い観察が必要である.
・副腎皮質ステロイド(以下「ス」)外用剤(時に長期間内服)の使用歴がある.「ス」外用剤を体部白癬へ誤用して異型白癬へ移行した場合と,他疾患への「ス」外用剤の外用中に白癬が併発して異型白癬となった場合との2つがある.従って欧米ではsteroid induced tineaとも言う.
・真菌が毛嚢に入り,毳毛部深在性白癬に移行しやすい.
・時に糖尿病,免疫不全,悪性新生物などの基礎疾患を伴うことがある.
・診断の確定には,病巣から検鏡で真菌の菌要素を見いだし,培養で皮膚糸状菌を分離することが必要である.
・原因菌はTrichophyton rubrum(以下T.rubrum)であることが非常に多い.
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