Japanese
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診察術の歴史
「黄帝内經素問」にみる古代中国の診断学
The Evolution of Physical Diagnosis : Ancient China 2500 B.C.
James K. Gude
1,2
,
吉原 幸治郎
1
1佐賀医科大学総合診療部
2University of California-San Francisco
pp.172
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900360
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黄帝内經素問―The Yellow Emperor's Classic of Internal Medicine1)―には脈診を中心とする古代中国の診断学が記載されている.この医学書は紀元前2500年頃の古代中国の皇帝―黄帝と彼の侍医である岐伯との問答として記載されている(図1).これがいつ書かれたかは不明であるが,おそらく紀元前500年から1000年頃であろうと思われる.Veith Iは黄帝内經素問の81章の最初の34章を英語に翻訳しているが,その中で彼女はこれらの章がこの本のほとんどすべての基本的な考え方を表現していると述べている.
黄帝はまず岐伯に対して次のような4つの質問をしている.「大昔の人々はどうして動作が衰えることなく長寿を全うできたのか」,「年を取るにつれ生殖能力が衰えるのはなぜか」,「例外的に老人でも子供を生むのはなぜか」,「道教を信ずる者は100歳まで生殖能力があるだろうか」.これに対して岐伯は「大昔の人々は道教の教え,すなわち自己修養の道を理解し100歳を越えるまで元気に生きた.また昔の人々は陰陽の法則にのっとり,生命力を保持し生殖能力を保つことができた.しかし今の人々は情欲のままにその精力を消耗し生気を失っている.」と答えている.すなわち黄帝内經素問は生活,健康および疾病に関する哲学書ということができる.
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