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特集 外来で見逃されやすい疾患II―症状からのアプローチ
神経性食欲不振症,神経性週食症,摂食障害
Anorexia Nervosa, Bulimia Nervosa and Eating Disorder
高木 洲一郎
1
Shuichiro Takagi
1
1国立東京第二病院精神科
pp.106-108
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900337
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■要注意の症状!
摂食障害→診断の確定にはむしろ周囲からの十分な情報や行動の観察が重要.食行動の異常,肥満嫌悪,身体像の障害などの心理的特徴.下剤の乱用や嘔吐のある例では低カリウム血症.
神経性食欲不振症→体重の高度減少,活動性の亢進,無月経,病態に対する認識の欠如,低血糖,低蛋白血症.
神経性過食症→ひきこもり,抑うつ,いらいらなどの精神症状,短期間での体重の極端な変動など.
・性差および年齢的特徴:90%は10~20歳代の若い女性に集中している.男性例は数%とまれである.食行動の異常だけでなく,いくつかの際立った特徴をもつ独特の疾患である.アメリカ精神医学会による診断基準(DSM-III-R)がよく用いられている(表1).
・食行動の異常:しばしば本人の意志による節食が行われ,摂食量は極端に減少する.従来より,本症の経過中に過食の時期が見られることはよく知られていたが,最近では過食症状が突出して,神経性過食症,あるいは両者をあわせた上位概念である摂食障害と呼ぶのが適当な例のほうが増えている.
・体重の高度減少:標準体重と比較して,15~20%の体重減少を診断基準のひとつとすることが多い.
・心理的特徴:高度のやせにもかかわらず危機感が乏しいため,発病後,受診するまで数カ月から数年を経過しているものが多い.便秘にこだわり,下剤を乱用するものもいる.肥満嫌悪,身体像の障害(実際にはやせているのに,本人は太っていると思い込んでいることなど)が強い.
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