特集 医療における“物語”―Narrative-Based Medicine(NBM)
[Narrative-Based Medicineの実践例]
カウンセラーの立場から―Narrative-Based Counseling
信田 さよ子
1
1原宿カウンセリングセンター
キーワード:
社会構成主義
,
グループカウンセリング
,
ドミナントストーリー
,
オルタナティブストーリー
Keyword:
社会構成主義
,
グループカウンセリング
,
ドミナントストーリー
,
オルタナティブストーリー
pp.864-867
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100716
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ここ2,3年,家族療法の世界を中心としてナラティブセラピーが大きく注目されている.ナラティブとは「お話」「物語」「語り」と訳すことができ,よくある理解としては,「クライエントの『語り』をじっくり聞いてあげるセラピーでしょう」とか,「昔話に代表される『物語』の大切さを認識するセラピーでしょう」といったものがある.しかし,いずれもナラティブセラピーのもつ先進的なラジカルさを表しているとは思えない.
本稿では「精神療法」という言葉の代わりに「カウンセリング」を用いることにする.何故なら私たちのセンターは医療機関ではなく,したがって保険も利かず,有料のカウンセリングのみによって運営(経営)される機関であるからだ.そして実践を貫いている方針,姿勢は非医療モデルに立脚している.医療機関においては,「診断・治療」「患者」「カルテ」といった言葉が日常的であるが,私たちのセンターではそれに代わり,「問題」「解決」「クライエント」「援助」といった言葉を用いる.
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