法医学からみえる"臨床"・11
検査用薬の注射でショック死―医師の責任はどう判断されるのか?
高濱 桂一
1
Keiichi Takahama
1
1宮崎医科大学法医学教室
pp.173
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900361
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事例:198○年2月8日司法解剖
慢性肝炎で数年前から総合病院内科に毎週1回通院治療に来ていた42歳の女性患者が,夫の転勤で他県に行くことになり,同系列病院への紹介のため,現在の病状を明確にする必要からインドシアニングリーン(ICG)による肝機能検査を行うことになった.約6カ月前の前回検査を含め,すでにこれまで3回の同薬による肝機能検査を経験していることでもあり,特に予備検査などは行わず,内科医師が自ら注射用溶液を作成して型どおりに静注を済ませ,5分毎に3回の採血を終えた頃から,不快を訴え始め,続いて嘔吐,顔面蒼白,冷汗,呼吸促迫,意識消失となってショック状態に陥り,数分後には心停止した.しかし同時に外科からも医師がかけつけて気道を確保し,心拍動,自発呼吸もほぼ平常に復して一時はもち直したかに見えたが,意識はついに回復せず,約4時間後に死亡が確認された.
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