看護管理 29巻12号 (2019年12月)

特集 会議記録が変わる! 思考の整理ができる! 対話が活性化する! グラフィック・レコーディング

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従来の会議記録,いわゆる議事録は文字ばかりで,わくわくした気持ちになることは多くありませんでした。結論を記録することが目的なので,そこでどのような話が出たのか,合意形成をどう進めていったのか,など話し合いのプロセスや,そのときの話し手の気持ちや熱量が記載されることが少ないからかもしれません。

そんな堅苦しい記録をわくわくしたものに変える方法があります。記号やイラストを使って図解化,可視化していく「グラフィック・レコーディング」という手法です。手描きの文字の温かさが,無機質な記録やノートのイメージを変えます。その場で起きていることを受け止め,とにかく書いて・描いて記録に残すことがグラフィック・レコーディングの醍醐味です。対話の活性化や多様性を認め合う風土づくりにも寄与します。

本特集では,ワークショップデザイナーの岸智子氏による監修・執筆のもと,伝えたい相手に,伝えたいことが,伝わるように,「グラフィック・レコーディング」の手法を用いて,ご自身のノートや会議の記録,板書研修などに活用できる記録の方法を学びます。

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「グラフィック・レコーディング(グラレコ)」をさまざまな場で実践し,研修などを通じて普及している岸智子氏。岸氏によれば,グラレコとは「新しいかたちの議事録,ノートの取り方」。会議や研修の場で話された内容を,その時の気持ちや感情,やり取りやプロセスも含めて,文字だけではなく図や絵を使って自由に記録していく。本稿では,岸氏の経験と実践を基に,グラレコとは何かとその価値を紹介する。

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ここからは,岸智子氏の執筆により,病院看護部でグラフィック・レコーディングを活用するための4つの実践事例を紹介する。グラレコ実践1では,自分のためのメモを作り,それを共有するプロセスを。グラレコ実践2では,議論のプロセスを記録する方法を。グラレコ実践3では,「KP法」という手法を使って手描きでプレゼンテーションをする方法を。最後のグラレコ実践4では,研修やワークショップのコンテンツとプロセス,参加者間の相互作用を記録し共有する方法を,それぞれ紹介する。ぜひさまざまな場面でご活用いただきたい。

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本特集の前稿までを読んで,記録としての「グラフィック・レコーディング(グラレコ)」に興味を持ったものの,「何から始めればよいの?」「絵や字が下手なんだけど…」などと思われた方も少なくないのでは。でも,大丈夫。「グラレコはあくまでも“記録”なので,キレイにまとめる必要も,上手に絵を描く必要はない」「紙とペンさえあればどこでもできる」と岸氏は言い切る。本稿では,気軽に取り組むための基本スキルとコツやいろはを,実際のグラレコを交えながら分かりやすくお伝えする。

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私の著書『居るのはつらいよ』は,「ケアとセラピーについての覚書」というサブタイトルにもあるように,沖縄の精神科デイケアで働いた経験から得た,僕の「ケア論」として展開したものです。終盤では「ケアを展開する場のありよう」を大きなテーマにして,組織や集団というコミュニティの中で「居る」ことの考察に焦点を当てました。

この対談では,人材開発・組織開発研究の第一人者である中原淳先生と,臨床心理学との接点や,今の社会における「居る」ことの意味を,お話しさせていただきたいと思います。 (東畑開人)

巻頭 あしたのマネジメントを考えるヒント, このひとに聞く・11

中村和彦氏 中村 和彦
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対話を通じて協働関係を構築する「組織開発」について教えてください

チームワークや協働性を高め,いきいきと働ける職場づくり,組織づくりのためのアプローチとして「組織開発」が再び注目されています。メンバー同士がお互いに信頼し,助け合い,いきいきと働ける看護職場をつくるために,看護管理者は何ができるのでしょうか。『入門 組織開発—活き活きと働ける職場をつくる』(光文社新書)や『マンガでやさしくわかる組織開発』(日本能率協会マネジメントセンター)の著者であり,組織開発研究の第一人者である中村和彦氏にお話を伺いました。

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はじめに

 脳神経外科領域の特性として,意識障害や四肢麻痺,嚥下障害などにより日常生活動作に介助を要する重症患者が多いという点が挙げられる。そのため,多職種で構成された医療チームが,いかにして迅速かつ安全に検査・急性期治療を行い,自宅への退院もしくは回復期病院への転院に導いて行くかが極めて重要である。

 長崎県は全国一の離島県である。そのため,国立病院機構長崎医療センター(以下,当院)は,離島診療における基幹病院としての役割を担っており,離島で発症した脳外科救急患者は,ヘリコプター(以下,ヘリ)にて当院へ搬送される。しかし,急性期治療を終えた離島患者の帰島へ向けた転院調整は,近隣地域への陸路搬送とは異なり難航する場合が多い。脳神経外科領域における諸問題に対して種々の対策が必要となってくるが,その1つとして当院では大学院NP(診療看護師)教育課程修了者(以下,NP)注)の介入がある。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・23

クリニカルラダー・4 秋山 智弥
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前回は,京都大学医学部附属病院(以下,京大病院)クリニカルラダーのラダーレベルごとの看護師の発達段階やチーム内での役割,学ぶべき事柄などを解説しながら,クリニカルラダーの認定と申請のルールについて紹介しました。今回は,マングローブモデルと名付けた京大病院のキャリアパス支援について解説していきます。

連載 「看護」の意味を見つめる 訪問看護の実践から・8

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夫婦との出会い—許可されぬ「帰りたい」

 その男性は70代で妻と2人暮らし。3人の子どもたちは親元を離れ,それぞれの家庭を持っている。男性は肺がん,多発性脳転移を患い,入院することになった。オピオイドの内服が始まり,痛みは緩和した。ベッドだけの生活で,少しずつ足腰は弱り始めていた。食欲がなく,夜間になるとせん妄を起こすようになっていた。

 妻から直接,私の事務所に電話があった。毎日面会に行くたび,本人が帰りたいと言い続けていて,私も本人の望み通りにしてやりたいと思うのだが,主治医に退院が許可されない。何か所も巡って相談したが,どこでも主治医の退院許可を得てくださいと返事をされ,行きついた先がここだった。

連載 マグネットジャーニー 聖路加国際病院のチャレンジ・11

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本連載では,聖路加国際病院看護部が「マグネットホスピタル認証」を取得するまでの道のりをマグネット・ジャーニー(マグネット認証への旅)として紹介していきます。「CNSと管理の会」伴走のもと走り続けるこの過程はチャレンジに満ちています。

第11回では,ANCC(American Nursies Credentialing Center)アプリケーションマニュアルに記載されている受審までのステップと,聖路加国際病院が取り組んだ経験を,マグネット取得病院からの学び,QI(Quality Indicator)指標の改善と事例の作成,コンサルタントの来日,エントリー申請の提出それぞれの場面に分けて紹介します。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・20

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアローグを軸にしながら,読者の皆さんとともに追い求めていきます。今回は,この連載のタイトルにもある「旅」について考えます。

連載 特定行為研修を修了した看護師としての実践・11

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 医療法人社団三喜会横浜新緑総合病院(以下,当院)は,地域の急性期医療を担う256床(一般159床,地域包括ケア病棟40床,回復期病棟37床)の病院です。

 当院では看護の質向上のために,チーム医療のキーパーソンとなる熟練した看護師を育成する機会として特定行為研修を活用し,各部署1名以上の配置を目標に,継続的にスタッフを参加させることとなりました。

連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・3

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 幸運な巡り合わせで,ニューヨーク市内で大きなシェアを誇る大学病院のNursing Educatorであるエドワード・パークさんを紹介していただいた。日本ではあまり聞き慣れないが,Nursing Educatorとは院内で看護師の教育を専門に行う役職であり,新人向けのオリエンテーションからスキルアップのための院内講義まで,役割は多岐にわたる。Nursing education departmentが1つの部署として院内に確立しており,専用の建物があることにまず驚きである。

 パークさんのご厚意で,院内講義の聴講と,Nursing Educatorのシャドーイングを行う機会に恵まれた。

連載 看護師長のための介護保険の基礎知識・11【最終回】

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 この連載では,病棟看護師にとって必要となる介護保険制度の知識について,退院支援に絡めながら説明をしてきました。最終回となる今回は,今後の退院支援と介護保険制度の動向について考えてみたいと思います。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・161

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 大人が絵本を読んで興味を引かれるのは,どういうことなのか。それは,幼児が動物絵本に興味を持ったり,昔話やおとぎ話の絵本を読んだりするのとは,かなり違っていると思う。大人は絵本のなかのごく簡単な言葉に生きることや心の持ち方などにかかわる深い意味がこめられていることに気づいたり,頁ごとの絵がとても味わい深いものであったりするなど,絵本によってそれぞれの特質がある。

 ただ問題は,絵本を手にした大人が,絵本ならではの言葉や絵にこめられた深い意味を汲み取る感性を持っているかという点にあるとさえ言える。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・23【最終回】

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 連載の最終回は,突然逝ってしまった人の,人生終わりの日々のケアです。

 永井裕之さん。看護教員だった妻が入院。手術が成功して「あ〜,これで楽になるわ。明日はあれとこれを持ってきてね」と話していた翌日,頼まれたものを持って病院に行ったら,妻の病室にベッドがありませんでした。あれ?

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「私の経験」を次につながる「知識・スキル」に変える1冊

私を形づくるのは日々の出来事

 「習うより慣れよ」。この慣用句にうなずく人も多いだろう。私自身もそうだ。先日初めてウクレレに触れたときのこと,ひとまず,いくつかのコードの押さえ方を教えてもらったが,ピンとこない。結局,自分で試行錯誤しながら弾いてみたことが,簡単なコード進行の曲を弾けるようになる近道だったように思う。

 では,看護師長の仕事はどうだろう。看護師長になって,新任看護師長研修を受けたり,上司から個別に指導を受けたり,さまざまな方法で学ぼうとする。でもやはり,患者さんとのやりとり,スタッフとの話し合い,他職種との交渉といった,現場での日々の出来事こそが私を看護師長にしてくれたと思う。

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人に関心があり,対人援助職としてのスキルを上げたいと思う人にお勧めの1冊

 まず,表紙の「横綱」のイラストと,「“横綱級”困難ケースにしないための技と型」という副題が気に入った。地域連携の勉強会でよく登場していたテーマの「困難ケース」。ややもすると,当事者に直接会っていなくても,「困った人」と“洗脳”される言葉の魔力がある。しかし,実際の当事者はいたって普通で,困難なのは,そう命名した支援者自身では?と思うこともあった。そんな訪問看護師時代も思い出しながら,本書を読み始めた。

 Ⅰ章は,作者が精神科訪問看護の専門家になるまでの経験から始まる。「振り返りノートは1か月に大学ノート1冊を超えました」(p.10)の通り,作者の人柄と真摯さが文章から伝わってくる。また,「当事者にとっての三大困り事」(p.11)は,「お金のやり取り」「毎日の食事」「人間関係」とあり,(そうそう)とうなずきながら読み進めた。さらに「私たちのあるべき姿勢」(p.16-19)では,「本人の主体性を取り戻す」ために利用者の今を(専門職として)共有することの大切さと,そのための4つのポイントが明確に記述されている。ちなみにこの4つのポイントは,高齢者の関わりにも適用できるので,高齢患者の多い私の現場でも,早速紹介している。

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看護管理 第29巻 総目次

基本情報

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看護管理
29巻12号 (2019年12月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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