書評
精神疾患をもつ人を,病院でない所で支援するときにまず読む本—“横綱級”困難ケースにしないための技と型
平野 和恵
1,2
1横浜掖済会病院地域連携部
2横浜掖済会病院看護部
pp.1154
発行日 2019年12月10日
Published Date 2019/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201471
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人に関心があり,対人援助職としてのスキルを上げたいと思う人にお勧めの1冊
まず,表紙の「横綱」のイラストと,「“横綱級”困難ケースにしないための技と型」という副題が気に入った。地域連携の勉強会でよく登場していたテーマの「困難ケース」。ややもすると,当事者に直接会っていなくても,「困った人」と“洗脳”される言葉の魔力がある。しかし,実際の当事者はいたって普通で,困難なのは,そう命名した支援者自身では?と思うこともあった。そんな訪問看護師時代も思い出しながら,本書を読み始めた。
Ⅰ章は,作者が精神科訪問看護の専門家になるまでの経験から始まる。「振り返りノートは1か月に大学ノート1冊を超えました」(p.10)の通り,作者の人柄と真摯さが文章から伝わってくる。また,「当事者にとっての三大困り事」(p.11)は,「お金のやり取り」「毎日の食事」「人間関係」とあり,(そうそう)とうなずきながら読み進めた。さらに「私たちのあるべき姿勢」(p.16-19)では,「本人の主体性を取り戻す」ために利用者の今を(専門職として)共有することの大切さと,そのための4つのポイントが明確に記述されている。ちなみにこの4つのポイントは,高齢者の関わりにも適用できるので,高齢患者の多い私の現場でも,早速紹介している。
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