看護管理 28巻8号 (2018年8月)

特集 多様性をいかす組織 成果につなげるダイバーシティマネジメント

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多様性,あるいはダイバーシティという言葉は,看護の現場においてもしばしば聞かれるようになってきました。看護管理者にとって,変化し続ける医療環境や,多様化する顧客ニーズに効果的に対応していくために,看護に携わる人々の多様性をいかすマネジメントが重要となっています。

本特集では,多様化するスタッフの特徴を,どのように組織としての目標達成に結びつけていくのか,ダイバーシティマネジメントの視点から考えていきます。

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多様性をいかす組織とはどのようなものだろうか。

本対談では,第22回日本看護管理学会学術集会長の松浦正子氏と,経営学者である鈴木竜太氏に,このテーマで語り合っていただいた。鈴木氏が提示する「関わりあう職場」という考え方をもとに,仕事を通じた関わりあいにより,他者と自己を尊重し多様性を受容できる職場をつくることと,そこに必要となるマネジメントを考察する。

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多様性をいかす上で,管理者に何が求められるのか。本稿ではこの問いを明らかにするために,まず多様であるとはどのような状態を指すのか,3つの捉え方を示す。その上で,個のリーダーシップ(リーダーと部下の1対1の関係性),集団のリーダーシップ(1対多の関係性)の2つの側面で,管理者に期待される役割について解説する。

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2025年の就業構造の変化について,医療・福祉分野では人材ニーズが大幅に増大する。看護管理者は,生産性を高めつつ,職員の定着を図ることが急務である。

本稿では,多様な働き方をかなえる「モザイク型」の人材マネジメントについて解説するとともに,復職時の支援やテクノロジーの活用など,いきいきと働くための組織づくりについて考察する。

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看護におけるダイバーシティとは何を指すのか,またなぜ重要なのか。米国における看護管理者としての経験も踏まえて,ダイバーシティについての現状と課題を,海外の看護の現場を含めて見ていく。さらに後半では,看護師が対象とする患者や家族,そして急速に移り変わっている日本の地域社会におけるダイバーシティについても視点を広げて考える。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために・19

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大学院および領域の特徴や魅力について,教員からご紹介いただきます。

本学の歴史と現在

 聖隷クリストファー大学(以下,本学)の歴史は,1949年の「遠州基督学園」設立に始まります。これが今日の教育事業の出発点となりました。1952年には聖隷准看護婦養成所を開設して看護教育を開始。2018年で66年目を迎えました。

 1992年には旧名称の聖隷クリストファー看護大学が開学,1998年に大学院看護学研究科看護学専攻(修士課程)を,そして2008年には大学院博士後期課程保健科学研究科を開設しました。2002年の社会福祉学部増設時に,大学名を聖隷クリストファー大学に変更し,2011年には大学院看護学研究科博士前期課程・博士後期課程に改編して現在に至ります。

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はじめに

 Evidence-Based Practice(EBP)とは,「研究によるエビデンスと,臨床現場の専門能力,患者や家族の価値観を統合させ,協働で意思決定を行う過程」1)と定義され,看護領域での促進が望まれる。米国では臨床の実践者が主体のEBP促進のモデルとしてIOWAモデルがあり2,3),活用例として開腹手術後の腸蠕動音聴取の取りやめ4)や,手術時の手袋の二重装着の促進5)がある。

 しかし,日本の看護領域ではEBPは十分には普及していない。EBPの個人的バリアには,研究に価値を感じないなどの「価値観」,文献検索能力の不足などの「スキル」の側面がある6,7)。また,組織的バリアとして時間不足,情報検索ツールへのアクセスや,英文献の読解という言語的な壁も指摘されている7)

 本調査ではこれらの阻害要因への対応となりうる活動として,学生のEBPプロジェクトが職員・学生の学習や大学と臨床現場の協働を促進する可能性8)に着目し,看護系大学の学部学生・教員・大学院生らが,文献の系統的検索,質の評価,結果の統合を行い,まとめたエビデンスを臨床看護職に提示する活動(便宜的にこの一連の活動をEBP活動と呼称する。この活動はEBPの促進を目的としたもので看護実践は含まない)を行い,その活動への看護職の評価を明らかにすることを目的とした。本調査から日本におけるEBP促進の示唆が得られることが期待される。

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人と人をつなぐ 心といのちのケア

 私は看護師キャリア38年,長年死と隣り合わせに生きている透析患者と家族のケアをしてきた。現在は,透析関連病院および透析クリニック8施設を合わせた看護師300人の統括看護部長として,主に看護師の育成・マネジメント・相談業務をしている。その他にはボランティア活動として,あいち自殺防止センターを7年前に自ら立ち上げ,「生きるのがつらい」という人の電話相談をしており,これまで延べ1200人の悩みを聴いてきた。

 なぜ私が,“ケアする人のケア”に関心を抱いたのか。それは10年ほど前にさかのぼる。透析クリニックで看護師たちが率直に語り合う,デスカンファレンスの場をつくった。看護師たちは泣きながら,無念さや後悔の気持ちを語った。私はその時,20年ほど前に自殺した患者を思い出した。自分が看護部長であるという立場も忘れて,そのときの気持ちを語り,看護師たちと一緒に嗚咽するほど泣いた。心にしまい込んでいた,ずっと語れずにいたことを語れた。聴いてもらうことで心がケアされ元気になった。そんな体験から,ケアする人をケアしたいと考えるようになった。

連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・16

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 私は看護師長時代に,直面する現実と理想の間で試行錯誤しながら,「患者さん第一」から,「同じぐらい職員も大切な存在」であることを教えられた。

 看護学校を卒業後,開院間もない大学病院に入職し,外科病棟で先輩たちと一緒に新病棟をつくる楽しさと自己の成長にやりがいを感じていた。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・8

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第7回では,病棟移転という大規模な病床再編時における看護師配置の方法とその課題について解説しました。第8回からは特定入院料を算定するケアユニット等の看護師配置について考えてみたいと思います。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・5

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアログを軸にしながら,読書の皆さんとともに追い求めていきます。

第3回(6月号)から,「理想のチーム・組織とは?」という問いを深めています。今回もこの問いについて,話題の「ティール組織(進化型組織)」の概念を中心にして考察を進めていきます。

連載 プログラムデザインで変わるファシリテーション あなたのスキルを現場に活かそう・11

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研修のように細かく作り込まなくても,事前の準備で会議の質が上がるプログラムデザインのコツを学んでいきましょう。

連載 今さら聞けないビジネスフレームワーク・8

チェックシート 石井 富美
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 チェックシートとは,あらかじめ必要な項目が表や図として明記された用紙にチェック記号や数値を記入することによって,整理された分かりやすいデータが簡単に得られ,製品や作業などの点検・確認項目のチェックを漏れなくできる便利なツールです。

 チェックシートに,特別なフォーマットや作り方などはありません。目的によって作り方,使い方は異なりますが,重要なことは,どういう目的でデータを取得するのかを明確にさせることです。

連載 コーチングと組織の関係性システムから考えるコミュニケーション 1人ひとりがイキイキ活きるチーム創り・8

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 チーム創りや人材育成に携わる皆さんは,自分よりも他者に意識を向け,他者の行動変容のために策を練り行動する毎日。……ちょっと待ってください。“自分”を見ていますか? 自分の存在感,人や物事に取り組む姿勢や雰囲気は,チームや相手にどのようなインパクトを与えているのでしょうか。今回は,リーダーとしての「あり方」のお話です。

連載 ID×課題解決 インストラクショナルデザインを活用した教育プログラム開発・8

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 この連載では,インストラクショナルデザイン(ID:Instructional Design)を活用した教育プログラムを作成し,現場の課題解決を行った取り組みを,実践事例を交えて紹介していきます。

 今回は東京医科歯科大学看護キャリアパスウェイ教育研究センター第1期履修生の松田美智代さんが取り組んだ「カンファレンスを活性化させるためのファシリテーションスキル習得研修」について解説します。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・8

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 人生の最終段階について患者さん・家族と話し合う意思決定支援が広がっています。この人にとってのベストは治療をすることなのか,もう治療はしないで過ごすのか,揺れる気持ちに寄り添いながら……。

 そして「積極治療はしない」と決めた患者さんへのケアは?「病室に医師や看護師の足が向きにくくなる」という声も聞こえます。今回は「逆に足しげく訪室して,この患者さんがその人らしく過ごせるには何ができるのか,考えましたよ」という典子さんのケアを紹介しましょう。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・146

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 エッセイや評論にしろ長編のノンフィクションの作品にしろ,取材によって事実を確認したり出来事の真相を究明したりする作業に時間をかけても,なかなか事実の確認ができず,真相に迫れないことが,しばしばある。原稿が先に進まないのだ。

 そんな時には,自分を急かさないで,出来事と関係のある人に会ったり,関係のある場所を訪ねてみたりしていると,ある日突然に突破口が開けることがある。それは偶然のことのように見えるけれど,私はそうは思わない。たまたま幸運に恵まれて宝物が落ちてくることに気づいたというのではない。何とか真実を明らかにしたいという思いを抱いて,感覚の網を張りめぐらせ,たゆまずに探し求め続けていると,まるで答えが向こうからやってくるかのように,目の前のドアが突然開かれる瞬間が生じるのだ。それは単なる偶然ではなく,真実を求め続けたことによってもたらされる果実と言うべきものなのだ。私はそう考えている。

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次号予告・編集後記 石塚 小齋

基本情報

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看護管理
28巻8号 (2018年8月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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