看護管理 28巻9号 (2018年9月)

特集 看護師長のための「地域分析」入門

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地域包括ケアシステムが推進される中,病棟運営者である看護師長には「地域分析」の視点を持つことが求められています。入院患者の在宅移行にあたり迅速な医療・介護・福祉連携を考えるために,地域内の疾患の発症予防や健康増進に資するために,そして病院経営に貢献するために,「地域分析」は必須の視点・知識・スキルです。看護師長が病棟特性や地域の医療ニーズを分析し,各病棟で担うべき役割を考え,院内外と連携して新たなケアや必要となる仕組みを創出することが求められています。

本特集では,地域医療機能推進機構(JCHO)本部が実施している看護師長研修をもとに,「地域分析」の具体的な手法を解説するとともに,実践事例を紹介します。

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地域包括ケアの時代を迎え,病院の看護管理者には,自ら地域に出て行き医療介護福祉連携に潜む課題を見いだし,解決につなげる力が求められている。

「ソーシャルデザイン」とは,人と人がつながりながら社会課題をクリエイティブに解決する手法。本対談では,この理念と実践方法を紐解き,患者や地域住民と看護管理者がともに社会課題に取り組む方法を考察する。

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地域医療機能推進機構(JCHO)は,地域医療,地域包括ケアの要として,安心して暮らせる地域づくりに貢献することを目指し,2014年に発足した。現在,全国に57病院,26の介護老人保健施設などを抱える。本稿では特集の導入として,政策としての地域包括ケアシステムとJCHOの活動を紹介しながら,地域包括ケア時代の看護師長の新たな役割について述べる。

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医療は,病院完結型から,地域完結型へと大きく方向転換をした。これからの看護管理者には,「病気と共に生活する」人を地域の中で支えるために,医療ニーズの変化と地域の医療構想を合わせて分析し,病院が果たすべき機能を明確にすることが求められる。同時に,地域包括ケアシステムのネットワークの構成員として多機関・多職種と連携の要となることも求められる。こうした状況を踏まえ,本稿では組織内の看護管理から地域に視野を広げた看護管理へと視点を転換する必要性を述べる。

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JCHOでは全国57病院の看護職員に対して継続教育として多様な研修を企画・提供している。地域包括ケアシステムの中で,所属施設の枠組みだけで看護マネジメントは完結できない状況であり,地域の状況を的確に捉えて必要な医療,看護,介護が提供できる人材の育成を目指す。本稿では,JCHOの看護管理者向け研修の概要を紹介する。

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本稿ではJCHOが提供する看護管理者研修における,「地域分析力」を育てるための研修のコンセプトと実際を紹介する。

特に,看護師長が,地域のニーズから自施設の役割・機能を考え,自部署の看護の質向上に向けた課題を明確にし,実効性のある計画を立案・実行するための「演習」の手厚い教育構造について重点を置いて解説する。

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JCHO研修センターでは,日本看護協会認定看護管理者教育課程を実施している。この中では特に,看護師長の「地域分析力」向上を目指した教育に力を入れている。

ここからは,「看護師長による『地域分析』の実際」として,3つの報告により同センターにおける看護師長向け教育研修の内容を紹介する。本稿では,自施設や自部署が向かうべき方向を知るための「政策と地域の医療状況の理解」について示す。

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看護管理者向けの研修において,看護師長の「地域分析力」向上を目指して取り組んでいる「研修の実際」について解説する。「看護師長による『地域分析』の実際」として,3つの稿により同センターにおける看護師長向け教育研修の内容を紹介する。

本稿では特に,地域の実情を踏まえて自施設・自部署の課題を明確にして改善策を立案する「統合演習」と「ヘルスケアサービス管理論演習」の実際について述べる。

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看護管理者向けの研修において,看護師長の「地域分析力」向上を目指して取り組んでいる「研修の実際」について解説する。「看護師長による『地域分析』の実際」として,3つの稿により同センターにおける看護師長向け教育研修の内容を紹介する。

前稿までのプロセスで取り組むべき課題が定まった。本稿では具体的に実践につなげるための方略の構想,その後の実践と評価について述べる。

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地域包括ケアシステムが推進される現在,病棟運営に当たる看護師長に必須の知識である「地域診断力」の育成について,地域医療機能推進機構(JCHO)における看護管理者研修の内容をもとに紹介してきた。

締めくくりとなる本稿では,JCHOにおける具体的な地域包括ケアの事例を紹介し,今後病院看護部に求められる地域・在宅と連携した新たなケアの創出について考察する。

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JCHO仙台病院は人口108万人の仙台市において,主に地域医療支援病院と腎疾患の専門病院の役割を担っている。同院は,慢性腎臓病(CKD)および糖尿病,透析導入患者の地域内居住状況や疫学的データを分析し,自施設の役割と取り組むべき課題を同定した上で,看護事業企画「新規透析導入患者の低減を目指したCKD予防活動体制の構築」に取り組んだ。本稿ではこの一連の取り組みを紹介する。

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JCHO埼玉メディカルセンターが所在する埼玉県およびさいたま市は,住民の平均年齢が全国平均を下回っている。これは,2025年以降も長期にわたる高齢者対策が必要になることを意味する。一方,同センターの認知症を有する患者の入院割合は13%を超えている。これらのことから,認知症高齢患者が安心して治療を受けられるよう,認知症ケアへの取り組みを課題とし,看護事業企画に取り組んだ。本稿ではこの一連の取り組みを紹介する。

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JCHO四日市羽津医療センターでは,地域の医療提供体制と自施設の強みを分析した上で,地域から期待される具体的役割を抽出し,「医療依存度の高い在宅療養者への支援」を優先課題として具体的な対策を検討。自施設の専門性の高い看護師と,訪問看護師との協働という活動に結び付けた。その検討の過程と取り組みの成果を報告していただく。

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JCHO二本松病院では地域包括ケアの要としての自施設の役割を考慮し,患者の在宅での暮らしを実現するための看護師の退院支援能力向上に注目。その手段として病棟看護師と附属の訪問看護ステーションの看護師との同行訪問を実施した。その取り組みの過程と成果を紹介していただく。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために・20

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大学院および分野の特徴や魅力について,教員からご紹介いただきます。

本学の歴史と学是

 順天堂大学(以下,本学)は1838(天保9)年に学祖・佐藤泰然が江戸薬研堀に西洋医学塾を設立したことに端を発し,2018年で創立180年を迎えました。日本の看護師の歴史は1868(明治元)年の戊辰戦争のときに始まります。女性の看護人の先駆者であった杉本かねは,大学東校(現在の東大医学部)の責任者であった佐藤尚中が1873(明治6)年に順天堂医院を開院するにあたり院長助手となりました。そして,尚中が戦地に赴く際には,代理として院務を処理し,日本初の看護管理者となり,順天堂の看護教育の145年の歴史の基礎を築きました1)。1896(明治29)年には正式な学則として看護婦養成所が開設されました。その後,順天堂医療短期大学,順天堂大学医療看護学部となり,2007年に順天堂大学大学院医療看護学研究科修士課程が開設され,2014年に博士課程を開設しました。

 本学の教育研究は学是である「仁」に基づいています。「仁」とは,人は1人で生きているのではなく自分以外の人に支えられて生きているのであるから,他者を思いやり慈しむことが,自分の成長や幸福につながるという考え方です。

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はじめに

 食事摂取は,ヒトの生活において重要な役割を果たし,食事摂取環境の変化により,食事のおいしさ,摂取量も影響を受ける1-5)。武らは,食堂を有する老人保健施設や慢性期病棟で,自力で食事摂取可能な患者に共食を勧めたところ,70%が自主的に食堂を利用し,共食はコミュニケーションの場になり楽しく,食事もおいしく食べられ,よき入院環境になると答えたと報告している6)。また,一人暮らしで一人食をしている65歳以上の人は,家族と同居している人に比べ,偏食や少食になりがちで栄養不良の人が多かったとの報告7,8)や,一人暮らしの高齢者でも1か月に1回は友人たちと食事をしている人は,それ以下の回数の人よりも,栄養状態が良かったとの報告8)から,一人食よりも共食(誰かと共に食事をすること)の方が,栄養面,精神面とも有益であると考えられている。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・9

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第8回では,特定集中治療室とハイケアユニットにおける看護必要度評価の変遷を解説するとともに,集中治療に係る病床数を見直す際の看護必要度データの活用について紹介しました。第9回も引き続き,特定入院料を算定するCCU(心臓血管治療室)の看護師配置について考えてみたいと思います。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・6

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアログを軸にしながら,読書の皆さんとともに追い求めていきます。

先月号まで3回にわたって,「理想のチーム・組織とは?」という問いを深めていきました。今回は,チーム・組織の重要要素「人間関係」について掘り下げます。

連載 プログラムデザインで変わるファシリテーション あなたのスキルを現場に活かそう・12

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今回から2回にわたり,看護現場でのプログラムデザインの実践例を紹介します。ファシリテーションはコミュニケーションスキルです。ファシリタティブな看護現場にするために,看護管理者ができる実践を考えていきましょう。

連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・17

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 「佐藤さん,看護師長って面白いですか?」。唐突に他部署の看護主任が真面目な顔で問いかけてきました。「そうね。面白いわよ」。「えー,面白いですか? 今まで何人かに同じ質問をしたことがありますけど,面白いという返事は佐藤さんだけです」。

 当時,私は看護師長になって4年目の頃だったでしょうか。なぜかこの場面は今でも鮮明に記憶しています。看護師長1,2年目の頃に同じ質問をされていたら,きっと同じような返事はしなかったと思います。

連載 今さら聞けないビジネスフレームワーク・9

散布図 石井 富美
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 「エビデンスに基づいて」という言葉は,日々の業務の中でもよく聞くことと思います。なんらかの判断を行う場合,業務改善の課題を抽出する場合などには,やはりしっかりとしたデータによる裏づけが必要です。

連載 コーチングと組織の関係性システムから考えるコミュニケーション 1人ひとりがイキイキ活きるチーム創り・9

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 前回は,対人関係におけるリーダーとしての「あり方」にフォーカスして,航海図のWhole/Trustを中心に述べました。今回もWhole/Trustをテーマに,組織/チームの裏に隠されている誰もが持っている「不安」や「行動特性」などを扱います。

連載 ID×課題解決 インストラクショナルデザインを活用した教育プログラム開発・9

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 この連載では,インストラクショナルデザイン(ID:Instructional Design)を活用した教育プログラムを作成し現場の課題解決を行った取り組みを,実践事例を交えて紹介していきます。

 今回は履修生がIDを学んで研修設計を行い,実施・評価していく中で直面した壁と,壁の乗り越え方を考えます。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・9

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 意思決定支援やACP(アドバンス・ケア・プランニング)が推奨されています。厚生労働省の調査では「人生の最終段階における医療・療養についてこれまでに家族等や医療介護関係者と話し合ったことがある」のは39.5%で,55.1%は「話し合ったことはない」。その理由は「話し合うきっかけがなかったから」が56%,「話し合う必要性を感じないから」が27.4%だそうです1)

 臨床現場で出会う患者さんや家族の半数は「話し合っていない」と想定したほうがよさそうですね。そういう時の参考に「父とほとんど話はしなかった」という松田さんに伺いました。父の七回忌に思い出す,複雑な胸中です。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・147

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 毎日,空の雲を眺めては,≪ぽかぽか浮かぶきょうの積雲は,おとぎ話の世界の雲みたいだ≫などと空想するのと同じくらい,毎日のように絵本を手に取って,物語と絵が示してくれる想像の世界を楽しむのが,私の日常になっている。

 特に新刊の絵本については,≪この絵のトーン,いいな≫と感じたり,≪なんとみずみずしい想像力だろう≫と感動したりすると,書棚の一角にある特別扱いの絵本コーナーに並べておく。それらの絵本は何度も読み返し,時にはエッセイや講演で取り上げる。このような“絵本を楽しむ人生”を始めたのは,50代の後半になってからだから,もう20数年もそういう日常を過ごしてきたことになる。ふと思う。人生後半にこのような絵本との出会いがなかったら,その歳月はどれほど潤いのない乾いたものだったろうか—と。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
28巻9号 (2018年9月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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