書評
患者の心を誰がみるのか—がん患者に寄り添いつづけた精神科医・丸田俊彦の言葉
望月 眞弓
1,2
1慶應義塾大学病院 薬剤部
2慶應義塾大学薬学部医薬品情報学講座
pp.433
発行日 2018年5月10日
Published Date 2018/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200977
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患者にどう接してよいか迷っている時,接し方を間違えたと落ち込んでいる時,明日を指し示してくれる1冊
がん患者に,医療者は何ができるか
丸田俊彦先生は,精神科医として米国メイヨ・クリニックで32年間臨床実践を続け,とりわけ「がん患者」の心のケアに取り組まれた医師である。自らも「がん」を患いながら,最後まで患者の心とともに生きることを実践した方である。
2人に1人ががんになり,男性は4人に1人,女性は6人に1人ががんで亡くなるという時代。家族や職場,学校で周囲を見回せば,必ずや「がん」を抱えた人がいる。「がん」であることを表明している人もいれば,ひっそりと闘病している人もいる。「がんの告知」が「死の宣告」と同義と思われていた時代と違って,近年は「がん」は不治の病ではなく,治癒も可能な病気となってきており,治療しながら仕事を続けることも当たり前になりつつある。とは言え,「がん」を告知された患者が受ける衝撃は,未経験者には計り知れない。そうした衝撃を受けた患者に,医療者は何ができるであろうか。
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