看護管理 27巻7号 (2017年7月)

特集 質の高い「看護診断」の運用 組織化と人材育成を基盤とする継続的取り組み

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日本に初めて「看護診断」が紹介されてから約30年が経過しました。この間,国の政策による病院への電子カルテシステム導入推進の後押しもあり,看護診断の組織的活用に取り組む施設が着実に増えてきました。一方で,継続的な質の高い運用に悩む施設も少なくないようです。

そこで本特集では,組織横断的な活動や構造的な教育計画に基づく人材育成を基盤に,「看護診断」を組織に定着させ,ケアの質向上や看護の専門性確立に資するための長期的戦略を考察します。

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電子カルテ導入などを契機に看護診断を導入したものの,継続的な質の高い運用に頭を悩ませる施設は少なくない。本稿ではNANDAインターナショナル理事長,看護診断コンサルタントという立場で看護診断の普及・発展に努める著者から,看護診断の基本と導入に当たっての留意点を示す。記録上のツールに終わらせず,看護師の専門性を確立し看護界の発展に資するために,本稿を通じて,今一度,その基本を確認していただきたい。

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東京都済生会中央病院では2017年3月にNANDA-I看護診断を導入した。同院ではかねてから電子カルテシステムの構造上,看護師の思考プロセスと必要な情報とが効率的に統合されないなどの不具合が課題となっており,看護診断導入のプロセスにおいて,これらの課題とも直面することになった。

本稿では,看護診断導入と看護系記録全体の改善とを達成した同院の取り組みを,現場の苦悩も含めて振り返る。

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琉球大学医学部附属病院看護部では,電子カルテ導入を契機に2008年に看護診断の導入を行った。業務委員会,記録委員会を中心にシステムのブラッシュアップを進めるとともに,多彩な研修を企画し,コアメンバーの育成と全てのスタッフへの教育を継続的に行っている。

本稿では,9年間の取り組みを振り返るとともに,今後の展望を述べる。

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旭川医科大学病院では1992年に看護診断を導入し,現在まで取り組みを続けている。25年の間には数々の課題に直面したが,その都度,教育体制による診断力と実践力の強化や,患者看護支援システムを通じた臨床看護師の思考過程のサポートを進めるなど,看護診断の質の向上に努めてきた。本稿では,これまでの取り組みを振り返るとともに,チーム医療でさらなる役割を発揮するための展望を述べる。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために ・7

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大学院および研究室の特徴や魅力について,教員からご紹介いただきます。

横浜市立大学大学院のあゆみ

 横浜市立大学(以下,本学)医学部看護学科は,1898年に創設された横浜市立十全看護婦養成所を源流として,地域社会と時代の期待に応えつつ,横浜市看護婦養成所,横浜市立高等看護学院,横浜市立大学医学部付属高等看護学校,1995年からの横浜市立大学看護短期大学部を経て,2005年には横浜市立大学医学部看護学科として4年制大学となりました。続く2010年には,横浜市立大学大学院医学研究科看護学専攻修士課程を開設しました。

 横浜市に初めて設立された公立の看護専門職の高等教育機関としての使命に基づき,地域貢献を重視すると共に,広い視野に立脚して看護学の専門性を追究できる人材ならびに,看護学の実践的研究能力をもって現場を改革できる人材を育成することを目的としています。大学院としての歴史は比較的短い,若い大学院です。

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看護実践の質を担保するものとして,コミュニケーションスキルは必要不可欠であり,これを獲得するために研修などさまざまな取り組みがなされている。「ポライトネス理論」は,相手に対する「配慮」を根底にコミュニケーションを捉え,よりよい人間関係調整に焦点を当てるものであり,人間関係構築を基盤とする看護実践のためのコミュニケーションスキルを向上させるために非常に有用である。本稿では,看護師のコミュニケーションスキル向上のためのポライトネス理論の活用について紹介する。

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現状把握の目的

 医療機関でのサービス提供においては,部署ごとに勤務計画表(以下,勤務表)が作成される。作成は一般的に,部署の管理者である看護師長の役割とされ,苦慮やジレンマにより負担の大きい作業であるといわれる。

 勤務表作成の負担は,スタッフからの勤務希望の数とも関連が深い。希望可能日数を権利と捉えて上限まで希望するのか,最小限にするのかは,メンバーシップや集団規範の問題といえる。杉野1)は,メンバーシップを発揮できるチームづくりには,お互いの立場・役割・仕事内容の理解がポイントの1つであると述べている。しかし,スタッフは,勤務表作成基準についての知識がなく,勤務表作成者の負担内容を知る機会もない。

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「朗読で元気をつなぐ」プロジェクト

 「朗読で元気をつなぐ」プロジェクト(以下,当プロジェクト)は,「言葉と声が持つ力で,患者さんを元気に」との理念に基づき,NPO法人キャンサーリボンズと軽井沢朗読館による協働プロジェクトとして2013年に発足しました(プロジェクト代表:NPO法人キャンサーリボンズ副理事長・岡山慶子,軽井沢朗読館長・青木裕子)。

 プロジェクトでは,患者の精神的な苦痛を緩和するためのサポートグループ(グループ療法)の一手法として,「朗読ワークショップ」を展開しています。主に乳がんやぜん息,糖尿病を持つ患者と,医療者による朗読ワークショップを開催してきました(表1)。

連載 ファシリテーターのための看護リフレクション 経験から学べる看護師を育てる・4

リフレクティブな実践家 東 めぐみ
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 この連載は主にリフレクションをファシリテートする指導者・教育者を対象とし,実践から学び,新たな価値を見いだし,次の実践につなげることができる看護師の育成の手助けをしたいと考えます。また,「看護経験から学ぶ力をつける」ことをファシリテートする手立てを描きたいと思います。

 これらを通じて,多くの看護実践家が自分の実践をリフレクションできる,つまりセルフリフレクションができるようになることを期待しています。

 第4回は,実践を行いながら省察的な思考を行う看護師像について考えます。

連載 やすらぎとひらめきの場づくり マインドフルネスとファシリテーション・12

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ティク・ナット・ハンのプラムビレッジから

 今年のゴールデンウイークに,富士山麓で3泊4日のマインドフルネス・リトリートが開かれ,久しぶりに参加した。昨今のマインドフルネス・ブームの源流の1人,ベトナム出身の仏教者ティク・ナット・ハンは,フランスにプラムビレッジという拠点を築き,国際的な活動をしてきた。そこで修行を続けている僧侶や尼僧の十数人が,脳梗塞で倒れて外遊ができない師の代わりに,毎年来日してさまざまな企画をこなしているのだ。5月の気持ちよい気候の中,青空にそびえる富士山を見上げる絶好のロケーションで,深いやすらぎの場が現出した。

 何をやるかというと,座って静かにありのままの呼吸に意識を向ける「マインドフルな呼吸」,外をゆっくり歩く「歩く瞑想」,そしておしゃべりは控えてじっくり味わいながら食べる「食べる瞑想」を中心に,法話,歌,リラクゼーション,儀式,小グループでのわかちあい,など。シンプルな構成だ。

連載 病棟運営上の意思決定に活かす! ケースで学ぶロジカルシンキング・9

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 「ロジカルに考える」とは,全体を網羅して選択し,明確な理由のある意思決定をしていくことです。1つひとつの行為,行動には理由があり,どんな意思決定にも理由はあるはずです。それを導き出して言語化する習慣をつけていきましょう。

連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・3

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管理ができていない?

 看護師長に任命されたことを尊敬する先輩看護師長に告げた。その時,どんな看護師長になりたいのかと問われて,「スタッフを守る看護師長」と答えた。すると,「全然だめだね。なってない。あなたは今まで人をまとめてきたことがないのでは?」と言われてしまった。

 私が関わってきた看護師長の姿を見て,「こうありたい」と考えたことだったので何が全然だめなのか分からず,自問したことを覚えている。

連載 Happy Nurses=Happy Patients 看護力の高い組織を育む・11

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主観的な患者満足度評価が与える病院経営への影響

 米国のヘルスケアの環境において,患者の医療サービス経験についての主観的満足度と,ケアについての満足度というものがこれだけ重要視された時代は今までなかったでしょう。

 現在,米国の医療機関では患者の主観的な満足度(Patient SatisfactionまたはPatient Preference)について,調査を行っています。具体的には,HCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)1)という指標に基づき,「病院で受けるケアにおいてどのような経験をしたか」に関する27項目にわたる調査です。病院を退院した患者リストの中から抽出された対象退院患者の自宅に,第三者である民間会社から調査票が直接送られます。送り返された調査票を集計した後,病院のスコアとして公開されるのです。この調査は毎月実施され,その集計結果は全国の病院の平均値と比較され,各病院がどれくらい患者にとって満足のいくケアを提供しているかが情報として公開されます。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・133

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 グリーフケアあるいはグリーフワークという用語が,この国においてもかなり一般的に使われるようになってきた。

 大切な人,愛する人を喪った悲しみを癒し,生きる力を取り戻すのを支えるのがグリーフケアであり,自分自身で再生への道を歩むのがグリーフワークだ。

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 第21回日本看護管理学会学術集会が,2017年8月19日(土),20日(日),小池智子学術集会長(慶應義塾大学)のもと,パシフィコ横浜(横浜市)にて開催されます。メインテーマは「看護管理における『シンカ』」です。実学としての看護管理学の「真価」の追究を軸に,これまでに積み上げてきた活動と研究の成果・知見を深く掘り下げ,磨き上げる「深化」,社会のニーズを捉えてしなやかに変化し発展を図る「進化」,そして既存の枠に捉われずに新しい価値を創りあげる「新価」,この4つの「シンカ」を探究します。ぜひ,ご参加ください。

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次号予告・編集後記 石塚 小齋

基本情報

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看護管理
27巻7号 (2017年7月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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