理学療法ジャーナル 44巻9号 (2010年9月)

特集 画像を活かした脳損傷のケーススタディ

EOI(essences of the issue)
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 近年,臨床家たちの脳画像に対する興味が高まってきている.その前提としての脳の機能解剖学,画像に関する学習,あるいは卒前・卒後教育は理学療法士にとって大きな課題になっている.脳科学や画像情報の発展に遅れをとることのないように,理学療法士にとって重要な脳の機能解剖学とそれを元にした画像のみかたを解説し,それらを活かしたケーススタディを展開してみた.

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はじめに

 脳は形態学的には表面を覆う灰白質とその内側にある白質からなり,その構造は比較的単純である.しかし機能的には多彩で複雑な様相を呈し,現代科学をもってしても解明できない部分は多い.最近では色々な物理信号を用いた測定法が確立し,脳の構造・機能を画像解析することが可能となり,臨床応用が盛んである.中でもCT・MR画像診断は脳損傷の診断や予後,治療方針の決定に不可欠なツールとして確立しているが,その情報を理学療法士が臨床で応用するためには脳局在性を理解した機能解剖学的な知識と脳画像を読影する知識が必要であり,大きな課題となっている.

 本稿では脳の機能解剖および臨床における脳画像のみかたについて解説し,リハビリテーション部門での活用意義について検討する.

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はじめに

 脳卒中後,様々な要因を背景として姿勢やバランスの異常が出現するが,特徴的な姿勢調節障害のひとつにcontraversive pushing(以下,pushing)がある1).出現率は1.5~63%と様々な報告1~12)があるが,急性期に多くみられる1~4,7,10).Davies13)は「あらゆる姿勢で麻痺側へ傾斜し,自らの非麻痺側上下肢を使用して床や座面を押して,正中にしようとする他者の介助に抵抗する」と述べている.症候群として報告されたため13),「pushing」より「pusher症候群」などと表記されることが多い.本邦では,網本ら4)の重症度の分類で表現された「pusher現象」に馴染みが深い.なお,「contraversive pushing」とは病巣と反対側に向かって押すという意味をもつ.

 麻痺や感覚障害が重度であれば,麻痺側へ傾斜して転倒するのも自然なことと想像されるかもしれないが,自らの非麻痺側上下肢を使用して麻痺側へ向かうように押したり,介助に抵抗することは通常ない1).例えば,延髄外側梗塞後に出現するlateropulsion14)は立位や歩行中に著しく傾斜し,姿勢だけ観察すればpushingのようにもみえるが,傾斜を修正する際に抵抗は生じないし,押す現象も観察されない.こうした特徴はpushingの有無を判定する上で最も重要な点である1,15)

 現在では多くの理学療法士がpushingを認識していると思うが,様々な解釈があり,存在そのものを疑問視する声もあるようである.その特性上,他の医療従事者よりも理学療法士が最も多く経験する現象であり1),最も治療に難渋する現象のひとつであろう.本稿ではこの現象について概説し,pushing症例の脳画像と回復経過を紹介する.

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はじめに

 長い間,小脳は純粋に姿勢の制御や随意運動の調節を行うための神経基盤であると考えられてきた.しかし1980年代の半ばから,神経心理学・解剖学・電気生理学などの発展により,運動・前庭機能以外にも様々な認知過程に関与することが明らかになってきた.

 本稿では,小脳と高次脳機能の関連についてまとめたのち,どのようにして画像と脳機能から病態を理解し,予後予測とリハビリテーションアプローチに活かしていくか,症例を通して述べる.

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はじめに

 半側空間無視患者を丁寧に観察すると,その症状の現れ方は多様である.左の視野にあるはずの柱に気づかず車いすの左側をぶつけたり,わざわざ右側に置いたお盆の左側にある惣菜を見落としたり,さらには左手を袖に通すことをせずに,更衣ができない.同じ左側の無視であっても,それぞれの性質はやや異なることに気づく.

 これらの性質は,MRIやCTにどのように表されるのか.あるいは,半側空間無視とは違う要因があるとすれば,何が影響しているのか.その明確な回答は脳画像のみでは必ずしも得られないかもしれないが,半側空間無視の機能の違いや,それ以外の要因を知ることで,それらに対する治療コンセプトに違いが生じてくる可能性がある.したがって,臨床動作や神経心理検査と並び,脳画像の所見を治療計画のための重要な判断材料とする必要がある.ここでは,半側空間無視の原因部位に関する最近の知見について概説し,半側空間無視症例と脳画像から,その理学療法について考えたい.

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はじめに

 脳外傷による脳損傷の程度は一見同じような頭部外傷でも,死に至るものから何ら神経症状を残さず回復するものまで多種多様である.脳外傷は発生機序と病理学的所見により,局所性脳損傷とびまん性脳損傷に大きく分けられる.さらに,びまん性脳損傷は受傷後一過性の意識消失を来すが脳に器質的変化をみない脳振盪と,頭蓋内占拠性病変を伴わないのに受傷直後から高度の意識障害が遷延するびまん性軸索損傷(diffuse axonal injury:以下,DAI)に分けられる1).中でもDAIにおける従来のCT・MRIなどの神経形態画像による軸索損傷部位の描出は不十分であった.近年,従来のMRIと比較してより微細な構造変化,特に白質病変を捉えることに優れた拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging:以下,DTI)が確立され,また画像解析分野においても微小な変化を検索しうる統計学的画像解析法が開発された.

 DTIは以前,脳神経外科術前評価として利用されることが多かったが,現在は理学療法と関係の深い皮質脊髄路などの評価や高次脳機能障害の評価など病態把握のために役立てることが可能な施設が増えた2).そこで今回,われわれはDAIの病態・画像評価を中心にケーススタディを行った.

とびら

ねじれ唇の錯覚 渡辺 学
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 勉強している手をしばし休めて試してほしい.目と口を閉じたまま,手に持っているペンを唇へ縦にまっすぐあててみる.ペンは垂直であると感じるであろう.次に,上唇と下唇を左右にずらしてから同じようにまっすぐペンを当ててみる.今度はどうだろう.ペンが斜めに感じないだろうか?

 感覚は簡単に騙されてしまう.両手を交差して組み,くるりとひっくり返して胸の前に持ってくる.誰かにどの指かを触らずに指さしてもらい,それを上げてみる.すると反対の指がひょいっと上がってしまう.小さい頃よくした遊びだ.

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 第47回日本リハビリテーション医学会学術集会は2010年5月20日から22日までの3日間にわたり,鹿児島市で開催されました.今回,私の印象記では,リハビリテーション医学会学術集会の動向と今後の展望を理学療法士の皆様にお伝えしたいと思います.

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はじめに

 2010年5月27~29日の3日間,「チャレンジ・健康日本―高齢社会における担い手を目指して」というテーマのもと,第45回日本理学療法学術大会が岐阜県で開催されました.定期総会と代議員会が行われた大会前日の大雨とは打って変わり,清々しい風が吹く晴天に恵まれました.あたりを見渡せば,国盗り物語で有名な斉藤道三や天下布武を唱えたあの織田信長の居城として知られる岐阜城(かつての稲葉山城)がそびえる金華山があり,その麓を悠々と流れる長良川には鵜飼いの屋形船が並んでいました.まだまだ増加する養成校と数多く輩出される理学療法士の将来,また,ここ数年の学会では常に問われ続けている理学療法そのものの将来を模索するのに有意義な学会でした.

1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?

ストレッチ 宮川 博文
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●ストレッチングとは

 ストレッチング(伸張)とは,flexibility(柔軟性,関節の可動域)を高めることによりperformance(成果,成績,記録など)の向上を期待するものである1).これまでの研究に基づく筋や腱組織の自動的・他動的な伸張法の総称であり,①筋,腱,靱帯の柔軟性を高める,②関節可動域の拡大,③末梢血液循環の改善,④心身のリラックス,⑤運動神経―筋の働きの円滑化,⑥筋―知覚神経の働きの円滑化などの効果が知られる.スポーツ選手の傷害予防や競技力向上に寄与し,整形外科的疾患の予防や治療,中枢神経疾患の筋緊張の制御など幅広い分野に活用されている.リハビリテーション医療において,筋や腱組織を伸張して目的とする治療効果を高めるには,筋の生理学的特徴を十分理解して行うことが重要である.

1ページ講座 医療に関連するトピックス

電子カルテ 竹村 匡正
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 「電子カルテ」という言葉が医療の現場に登場して久しいが,その実態については様々な解釈があるように思われる.本稿ではこれまでの経緯を踏まえ,現状および今後の電子カルテについて考える.

初めての学会発表

岐阜の思い出 黒澤 千尋
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 先日,岐阜県で第45回日本理学療法学術大会(以下,全国学会)が開催されました.3日目となる2010年5月29日,9時からのセッションで私は初めて学会発表をさせていただきました.初めてのこと続きでとまどうこともたくさんありましたが,無事発表を終えることができました.

 今回経験した,学会発表までの道のりを報告させていただきます.

ひろば

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 「教育は百年の計」といわれる.その成果が実を結ぶためには長い歳月を要し,長期展望に立って設計する必要がある.

 明治23年の「教育勅語」は当時の教育活動の最高原理とされたが,修身科をはじめ諸教科の内容が規制されていた.敗戦後の昭和22年には「教育基本法」が新たな長期の展望となり,平成18年には種々の議論の末,59年ぶりに改正が行われた.これらは義務教育・高等教育を基礎とした教育の大方針であり,幼年から青少年期にわたり人間形成に及ぼす影響力が多大なだけに,きわめて重要な制度の1つである.ただし当事者である若者が法律の策定に参画することはなく,各々の時代の一部の政治家,官僚,知識人の教育観が反映されることから,その方法論自体が課題ともいえる.現在の理学療法士養成校の教員や学生は「教育基本法」のもとで教育を受けた世代であろうが,その影響をどれほど受けたか認知している人は少ないだろう.

入門講座 薬と理学療法・3

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はじめに

 感染症診療は細菌学,解剖学,臨床検査学,薬理学(抗菌薬),感染対策,免疫学(ワクチン)など,幅広い知識を要するため,医師でさえ苦手とする領域です.筆者らも医学生時代,これらの勉強は非常に苦痛で,細菌や抗菌薬の名前を必死に暗記したものの,試験が終わるとともに忘れてしまったものでした.しかし,臨床の現場では感染症の話をしない日はありません.本稿では,日常で理学療法士が遭遇しそうなエピソードを交えながら,感染症診療の原則と最小限の感染対策,予防方法についてまとめます.

講座 自覚症状別フィジカルアセスメント・1【新連載】

全身状態 吉松 竜貴
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はじめに

 全身状態に関する自覚症状が独立していることは少なく,他の症状が隠れていることが多い.症状の複合は原因特定に有利な情報であることが多く,注意深く調査を進める必要がある.また,対象者が発する訴えは主観的で,必ずしも医療者側の抱く概念と一致するとは限らない.自覚症状の内容をさらに掘り下げ,対象者の言葉と医療者側の概念とを適切に結びつけることが重要である.

理学療法臨床のコツ・9

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はじめに

 リハビリテーション医療の流れの中で,脳血管障害など発症の明らかな疾患は,発症からの時期によって急性期,回復期,維持期のリハビリテーションの3つのステージに分けられる.その中でも急性期および回復期では疾患そのもののリスク管理に重点を置きつつも,能動的なADL(日常生活活動)向上を目標とした各種のリハビリテーション医療サービスが実施される.

 理学療法士の役割は,まず獲得された能力がADL・IADL(日常生活動作・手段的日常生活動作)に反映できるものであるかの評価を行うことである.そして基本動作その他の残存機能や潜在機能を確認すると共に,安全かつ効率的なADLの改善を行い,具体的に他職種への情報共有や伝達を行うことが要求される.

臨床実習サブノート 臨床実習に不可欠な基本的技能・6

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はじめに

 変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee:以下,膝OA)は,膝関節の関節軟骨の摩耗,骨棘形成,変形などを来す変性疾患で,一次性と二次性に分類される1).一次性膝OAは,明らかな原因が認められないものの疼痛,関節可動域制限,関節水腫などの症状を呈するものをいう.二次性膝OAは,先天異常,代謝性疾患,外傷など先行する疾患が存在し,二次的に関節変形を来すものをいう.日本においては一次性膝OAが多く,中年以降の女性に発症する割合が高い.

 膝OA初期では膝関節のこわばり感が出現し,次第に動作時の深屈曲位,立位や長座位での伸展位,起立着座動作時,階段昇降時,長時間の歩行などで疼痛が出現する.膝関節の変形が進行すると関節可動域制限が著明となり,疼痛も増悪し歩行困難を来す.

 膝OA末期では,広範な関節病変により歩行や日常生活動作(activities of daily living:ADL)に重度の支障を来し人工膝関節置換術(total knee arthroplasty:TKA)が施行され,術後理学療法が行われることとなる.

 本稿では,当院における両側TKA術後理学療法の組み立て方に必要な,術前・術後の情報収集のポイントを挙げ,家庭復帰に必要なADLの指導法を含めて紹介していくこととする.

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要旨:両側足関節症を呈し, 左足部に人工関節が施行され, 右足部は理学療法を選択した症例を経験した. 70歳代の女性で, 診断名は右変形性足関節症であった. X線所見ではⅢ-b期と比較的高度な変形を認め, 正面天蓋角は73°, 側面天蓋角は78°であった. 理学所見では, 距腿関節周囲の著しい腫脹と軽度熱感を認めた. 歩容では踵接地期に踵骨は回外接地し, 立期中期にかけて距骨下関節の回外が増強することで歩行時痛が出現し, 歩行距離は30m程度と制限されていた. まず距腿関節ならびに距骨下関節の可動域獲得を目的としたストレッチングを実施し, さらに距骨下関節の力学的バランス機構の再獲得を目的とした足底挿板を実施した. これにより距腿関節の関節応力が寛解したため歩行時痛は改善し, 併せて歩行距離も順調に増大した. 開始12週後には歩行距離は500m程度なら疼痛を認めなくなり, 良好な治療成績が得られ, 理学療法を終了した.

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要旨:腰部脊柱管狭窄症患者に対し,その代表的な運動療法であるWilliams体操を実施していたものの,治療効果が十分に得られないまま治療に難渋していた.その症例に対し,新たに脊柱の分節的安定化を目的とした背臥位での骨盤後傾運動を施行した結果,静的バランス(重心動揺計検査による総軌跡長,外周面積),動的バランス(FRT,TUG)のいずれにおいても良好な症状の変化を認めた.これらのことから,腰部脊柱管狭窄症患者のバランス能力に対し,背臥位での骨盤後傾運動の有効性が示唆された.一方,EBMの観点から本症に対する運動療法の効果は科学的に実証されたものが少なく,脊柱安定化筋群の評価方法についても,妥当性や信頼性に関する研究は十分でないのが現状である.今後,同一の症例数を増やしていくことで,脊柱安定化運動のさらなる有効性やそのメカニズムについて検討を重ねていく必要があると考えられた.

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 この度,「運動療法学各論 高齢者の機能障害に対する運動療法」が市橋則明教授の編集により文光堂から出版された.序文に示されるように「今までにない書を作りたい」という編集者の意図があってか,高齢者の運動療法に関する各分野のエキスパートを執筆者とし,各主題ともにユニークな出来栄えになっている.

 各主題は①高齢者の運動機能の理解,②その運動効果とエビデンス,③運動機能評価,④運動療法の理論と実際,⑤転倒予防,⑥認知的側面からの運動療法,⑦高齢者の姿勢と運動療法,⑧地域介護予防事業の方法と効果からなるが,理学療法士が高齢者の運動に関わるほとんどの分野(医療・保健・福祉・社会)が網羅され,疾患にとらわれることなく執筆されている.各主題を読み進むと,各執筆者の現在までに凝集されてきた指向性・職業体験が垣間見え,結果として読者にそれぞれの視点で高齢者の運動を捉える機会・ヒントを与えている.

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 著者のHong氏は,ボバース法の国際シニアインストラクターとして,韓国内のみならず,アジア諸国など国際的にも幅広い活動を展開している理学療法士である.著者は,今回の監訳者および翻訳者と長年に渡って交流を続け,日韓両国の中枢神経疾患に対するリハビリテーションの発展に大きな貢献をしてきた.また,日本の医師や多くの理学療法士,作業療法士,言語聴覚士らとも親交が厚く,両国の医療および療育関連職種間の国際親善や国際交流を深めるために多くの活動を続けている.1993年には,日韓両国の医師や理学療法士,作業療法士,言語聴覚士らと連携して,韓国において初めてボバース法8週間講習会を開催し,その後も,継続して当講習会を主宰している.また,インドネシアやフィリピンなど各国でボバース法の脳性麻痺入門講習会を開催し,アジア地域における小児科領域のリハビリテーション発展の牽引者の一人でもある.

 本書には,著者の臨床経験と研究から,脳性麻痺の治療に直接利用できる盛り沢山の臨床的アイデアが盛り込まれている.本書の特徴は,正常発達を小児科領域の理学療法に応用できるように,詳細かつ具体的に記述していることである.

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 理学療法教育における臨床実習の重要性は誰もが認めるところですが,現今では,長く先人たちによって築いてこられた臨床実習の形態を踏襲することが困難な状況を迎えていると言えます.短期間に養成施設の数が急増し,年間1万人ほどの実習生を病院・施設で受け入れなくてはならない状況にある現状を考えますと,早急に臨床教育の在り方を見直す必要がありましょう.

 こうした状況では,実習の指導にあたっている人たちの多くが,実習指導者としての能力や理学療法士としての経験に乏しいため,十分な臨床教育を提供できていないことが危惧されます.ただ,指導者としての特別なトレーニングを受けることもなく,多忙な臨床の傍らで学生指導にあたっているのが現実であることから,これはある意味でやむを得ないことであると思います.しかしながら,こうした状況を打開する必要があり,そのためには,指導者となる若い人たちのための研修システムの充実や実習指導の具体的方法を解説したガイドラインや教本の整備などが必要不可欠と思われます.

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 「エビデンスに基づく理学療法(EBPT)」という言葉が理学療法士の間で使われ始めて,もう随分時間がたったように思います.ここ数年,まだまだ臨床現場の疑問にクリティカルに答えるエビデンスは十分にあるとはいえないものの,諸氏の努力により,少しずつではありますが,理学療法のエビデンスが蓄積されつつあると感じています.

 それに伴い,エビデンスを収集し,批判的に吟味し,利用する(エビデンスの活用),そして,自らエビデンスを作り上げる(エビデンスの構築)能力が,臨床の現場でも必要になってきています.

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文献抄録

編集後記 吉尾 雅春
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 月日が経つのは早いもので,もう9月,長月です.秋刀魚の季節です.しかし,今年は秋刀魚が不漁で,型も小さく,北海道では例年の4分の1程度の水揚げだったと報じられていました.北海道では秋になるまでに秋刀魚を刺身でいただくのが一般的ですが,家族で塩焼きにするとなると数匹は必要ですし,今年は庶民の魚とはいかないようです.

 「ながつき」とは「よながつき」の略であると言われていますが,9月にはあまり秋の夜長を感じません.もともと旧暦の表現ですから,実際には現代の10月前後のことを長月と呼んでいたわけです.また,英語ではseptember.「7」という意味を持つ言葉ですから,これまた疑問が湧きます.紀元前では3月が年の始まりだったそうですが,それを1月に変更したとき,9月の呼び方を特に変えることはしなかったのだそうです.なるほど納得です.9月,長月,september,それぞれの名前に趣のある月です.

基本情報

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理学療法ジャーナル
44巻9号 (2010年9月)
電子版ISSN:1882-1359 印刷版ISSN:0915-0552 医学書院

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