特集 画像を活かした脳損傷のケーススタディ
[ケーススタディ・4]びまん性軸索損傷に対する拡散テンソル画像およびFDG-PET
松岡 伸幸
1
,
浅野 好孝
2,3
Nobuyuki Matsuoka
1
1社会医療法人厚生会木沢記念病院リハビリテーションセンター
2社会医療法人厚生会木沢記念病院中部療護センター脳神経外科
3岐阜大学連携大学院医学系研究科神経統御学講座脳病態解析学分野
pp.773-779
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101747
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はじめに
脳外傷による脳損傷の程度は一見同じような頭部外傷でも,死に至るものから何ら神経症状を残さず回復するものまで多種多様である.脳外傷は発生機序と病理学的所見により,局所性脳損傷とびまん性脳損傷に大きく分けられる.さらに,びまん性脳損傷は受傷後一過性の意識消失を来すが脳に器質的変化をみない脳振盪と,頭蓋内占拠性病変を伴わないのに受傷直後から高度の意識障害が遷延するびまん性軸索損傷(diffuse axonal injury:以下,DAI)に分けられる1).中でもDAIにおける従来のCT・MRIなどの神経形態画像による軸索損傷部位の描出は不十分であった.近年,従来のMRIと比較してより微細な構造変化,特に白質病変を捉えることに優れた拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging:以下,DTI)が確立され,また画像解析分野においても微小な変化を検索しうる統計学的画像解析法が開発された.
DTIは以前,脳神経外科術前評価として利用されることが多かったが,現在は理学療法と関係の深い皮質脊髄路などの評価や高次脳機能障害の評価など病態把握のために役立てることが可能な施設が増えた2).そこで今回,われわれはDAIの病態・画像評価を中心にケーススタディを行った.
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