Close-up HADって何だろう?
HAD(hospitalization-associated disability;入院関連機能障害)の理解と対策
角田 亘
1
Wataru KAKUDA
1
1国際医療福祉大学医学部リハビリテーション医学教室
キーワード:
入院関連機能障害
,
hospitalization-associated disability
,
HAD
,
不動
,
ADL障害
,
筋力低下
,
入院関連認知機能低下
,
hospitalization-associated cognitive decline
Keyword:
入院関連機能障害
,
hospitalization-associated disability
,
HAD
,
不動
,
ADL障害
,
筋力低下
,
入院関連認知機能低下
,
hospitalization-associated cognitive decline
pp.1330-1334
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203246
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HADって何だろう?
HAD(hospitalization-associated disability;入院関連機能障害)は,直接的には運動障害を来さない疾患(肺炎,心不全,悪性腫瘍など)のために入院したときに発症する,(過剰な)安静臥床(すなわち不動)を原因としたADL障害もしくは身体機能低下/認知・精神機能低下と定義される.例えば,高齢の患者が発熱を主訴に独歩で来院,急性肺炎と診断されて緊急入院になったとする.入院後,安静臥床のうえで1週間抗菌薬が点滴投与されたところ,肺炎は完全に治癒したものの下肢・体幹の筋力低下が急速に進行し介助なしでは歩行できなくなってしまった.このような病態こそがHADである(図1).よってHADは,「入院中の安静臥床を原因とする廃用症候群」と位置づけることもできる.
HADはもちろん古くから存在していた病態であるが,私見としてはCovinskyら1)による総説が2011年に『Journal of the American Medical Association(JAMA)』に掲載されて以後,特にその注目度が高まったように思われる.HADの発症は明らかに高齢者に多いため,HADは老年症候群(geriatric syndrome)の一つであるとも言える.
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