特集 画像を活かした脳損傷のケーススタディ
[ケーススタディ・3]半側空間無視の症例
松浦 晃宏
1
Akihiro Matsuura
1
1大山リハビリテーション病院リハビリテーション部
pp.765-772
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101746
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はじめに
半側空間無視患者を丁寧に観察すると,その症状の現れ方は多様である.左の視野にあるはずの柱に気づかず車いすの左側をぶつけたり,わざわざ右側に置いたお盆の左側にある惣菜を見落としたり,さらには左手を袖に通すことをせずに,更衣ができない.同じ左側の無視であっても,それぞれの性質はやや異なることに気づく.
これらの性質は,MRIやCTにどのように表されるのか.あるいは,半側空間無視とは違う要因があるとすれば,何が影響しているのか.その明確な回答は脳画像のみでは必ずしも得られないかもしれないが,半側空間無視の機能の違いや,それ以外の要因を知ることで,それらに対する治療コンセプトに違いが生じてくる可能性がある.したがって,臨床動作や神経心理検査と並び,脳画像の所見を治療計画のための重要な判断材料とする必要がある.ここでは,半側空間無視の原因部位に関する最近の知見について概説し,半側空間無視症例と脳画像から,その理学療法について考えたい.
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