臨床実習サブノート 臨床実習に不可欠な基本的技能・6
運動療法の組み立て方(4)変形性膝関節症―人工関節術後に家庭(家事動作)復帰を目指す場合
葛山 智宏
1
,
森田 定雄
1
Tomohiro Katsuyama
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院リハビリテーション部
pp.811-817
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101757
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はじめに
変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee:以下,膝OA)は,膝関節の関節軟骨の摩耗,骨棘形成,変形などを来す変性疾患で,一次性と二次性に分類される1).一次性膝OAは,明らかな原因が認められないものの疼痛,関節可動域制限,関節水腫などの症状を呈するものをいう.二次性膝OAは,先天異常,代謝性疾患,外傷など先行する疾患が存在し,二次的に関節変形を来すものをいう.日本においては一次性膝OAが多く,中年以降の女性に発症する割合が高い.
膝OA初期では膝関節のこわばり感が出現し,次第に動作時の深屈曲位,立位や長座位での伸展位,起立着座動作時,階段昇降時,長時間の歩行などで疼痛が出現する.膝関節の変形が進行すると関節可動域制限が著明となり,疼痛も増悪し歩行困難を来す.
膝OA末期では,広範な関節病変により歩行や日常生活動作(activities of daily living:ADL)に重度の支障を来し人工膝関節置換術(total knee arthroplasty:TKA)が施行され,術後理学療法が行われることとなる.
本稿では,当院における両側TKA術後理学療法の組み立て方に必要な,術前・術後の情報収集のポイントを挙げ,家庭復帰に必要なADLの指導法を含めて紹介していくこととする.
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