臨床外科 72巻3号 (2017年3月)

特集 目で見る腹腔鏡下肝切除—エキスパートに学ぶ!

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 2016年4月より腹腔鏡下肝切除の保険適応が拡大され,従来の肝部分切除,外側区域切除に加え,より難度の高い亜区域切除,区域切除,葉切除,三区域切除が保険収載されたことにより,多くの施設で新たなチャレンジが始まった.しかし,施設ごとの適応拡大はそれぞれの能力に合わせて段階的に行われるべきであり,またこれらの新しい技術が安全に社会に受け入れられる形で発展・普及するためのシステムに対する理解も重要である.一方,外科医として新たな領域に踏み出すには,エキスパートの技術を学ぶことは最も重要な部分である.

 本特集では,腹腔鏡下肝切除にかかわるコンセンサスや新たな制度改革を解説するとともに,今回保険適応拡大となった術式を中心に,この分野をリードするエキスパートの手術を目で見える形で披露する.

巻頭言

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 腹腔鏡下肝切除の普及を推進するべく2007年に肝臓内視鏡外科研究会が発足し,腹腔鏡下肝切除を導入する施設ならびに症例数は着実に増加した1).そして,近年では,開腹術と腹腔鏡手術の比較において低侵襲そのものを強調するより,術後合併症の軽減や非劣性の長期予後の成績が報告されている.

 保険収載された2010年以降,腹腔鏡下肝切除の症例数が急激に増えている.その対象疾患は,原発性肝癌と転移性肝癌がほとんどであるが,なかでも大腸癌肝転移の占める割合が増加してきている.大腸癌肝転移に対する手術治療は,肝部分切除にて腫瘍学的な目的が達成されることが多く,相応な術式として腹腔鏡下肝切除の増加を反映したものと考えられる.

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【ポイント】

◆腹腔鏡下肝切除は症例を選べば,術中出血量,合併症発生,入院期間などで,開腹肝切除より優れた短期成績を提供できる.

◆第2回コンセンサス会議ではエビデンスに基づく推奨が作成され,これまでに26編の関連論文が発表された.

◆コンセンサス会議の推奨を受け,日本とイタリアで前向き全例登録制度が開始され,腹腔鏡下肝切除のさらなる発展が期待される.

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【ポイント】

◆保険収載の適応拡大に伴って,安全に配慮した腹腔鏡下肝切除の導入が求められている.

◆difficulty scoring systemは,これから腹腔鏡下肝切除を導入したり,より難易度の高い症例にステップアップしたりする外科医に対する教育を目的とした症例ごとの難易度指標である.

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【ポイント】

◆LaPSARは3D画像シミュレーションを用いた新しいコンセプトの腹腔鏡下肝部分切除である.

◆門脈第3分枝以降の肝領域を1つのunitとして捉え,その組み合わせで肝切除を行う.

◆LaPSARは術中超音波を使わず切除断端を確保でき,また不必要な阻血・うっ血域を作らない合理的な術式である.

*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年3月末まで)。

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【ポイント】

◆S8亜区域切除術は開腹下,腹腔鏡下を問わず難易度の高い術式であり,その手技はいまだ確立されていない.

◆われわれは,Laennec被膜に基づく新たな肝解剖を提唱するとともに,系統的肝切除を定型化し,S8亜区域切除の術式も確立した.われわれの術式は,特に腹腔鏡下やロボット支援下などの低侵襲肝切除の安全性と根治性を確保するうえで有用である.

◆本稿では,腹腔鏡下S8亜区域切除の手技につき,その概念と術式を解説する.

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【ポイント】

◆腹腔鏡下肝切除はその低侵襲性から急速に普及し,2016年4月より亜区域,区域,2区域,3区域切除が保険収載された.

◆特に肝右葉後区域および上前区域切除は,開腹手術では大きな皮膚切開が必要となり,腹腔鏡下肝切除との侵襲の差が大きい.

◆内視鏡下手術の高画質拡大視効果を活かし,肝臓の膜構造を十分考慮した完全腹腔鏡下の右外側領域(後区域)切除を行っており,止血器具の使用方法も工夫している.

*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年3月末まで)。

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【ポイント】

◆肝表にマーキングした前区域の流入血遮断による阻血領域境界線と,切離面に露出した中肝静脈および右肝静脈をランドマークとして,解剖学的に正しい切離面を維持して切離を進める.

◆切離面に露出する肝静脈の走行を常に念頭に置いて,その根部(下大静脈流入部)側ないし本幹側から末梢に向けてCUSA先端を動かすことで股裂き損傷を回避する.

◆腹腔鏡手術特有のcaudal viewを活かして前区域グリソン離断後に前区域を持ち上げながら右肝静脈を露出する.

*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年3月末まで)。

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【ポイント】

◆腹腔鏡下肝左葉切除術を安全に施行するためには,内視鏡外科と肝臓外科の両方に精通している必要があり,腹腔鏡下minor resectionの十分な経験が必要である.

◆肝門部脈管処理の際,グリソン根部より離れた部位に存在する腫瘍に対しては原則としてグリソン一括処理を,それ以外では個別処理を行うようにしている.

◆肝実質切離操作を左背側から,中肝静脈を中枢から末梢側に向けて施行できることも腹腔鏡下肝左葉切除術のメリットの一つである.

*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年3月末まで)。

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【ポイント】

◆肝門脈管処理方法や肝脱転タイミングの選択に開腹手術と相違があってはならない.

◆腹腔鏡手術のcaudal viewをいかせ!

◆出血制御のために肝背側にスペースをつくれ!

*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年3月末まで)。

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はじめに

 近年,腸内細菌叢の研究が進み,腸内環境の乱れはさまざまな疾患の原因になることが明らかになってきた.また,腸管は高度侵襲時の標的臓器であり,侵襲により腸内環境は大きく乱れる.有用菌であるプロバイオティクスとその増殖因子であるプレバイオティクスを併用するシンバイオティクス療法は,腸内環境を整える方法として注目されている.本稿では,腸内環境の乱れが原因とされている消化器疾患や,高度侵襲時の重症感染症予防におけるシンバイオティクスの有用性について概説する.

ラパコレUpdate 最近のコンセプトと手技・8

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はじめに

 胆囊結石症をはじめとする胆囊良性疾患に対する治療の第一選択は,腹腔鏡下胆囊摘出術(以下,LC)となった.一方で総胆管結石治療は多岐にわたる.すなわち手術と内視鏡的治療があり,本邦に限らず世界的にも内視鏡的治療が多く行われているのが現状である.手術と内視鏡的治療の本質的な違いは乳頭機能温存の有無といえる.内視鏡的治療の歴史はESTから始まり,EPBDで乳頭機能温存を省みて,さらにはラージバルーンEPBDなどを経ているが,いずれも程度の差はあれ「乳頭に侵襲的」であるのは否定できない.

 総胆管結石は原発結石であるビリルビンカルシウム結石(以下,ビ石)と落下結石であるコレステロール結石と黒色石に大きく分類される.原発結石の成因は「胆汁のうっ滞と感染」とされる1〜4)が,原発結石に対しても乳頭破壊はさらなる感染を惹起し,長期にわたり胆道系合併症や再発を引き起こす可能性がある5,6).また,落下結石は胆囊を摘出すれば再発するわけはなく,乳頭破壊はもってのほかである.いずれにおいても乳頭機能温存は患者利益が大きい7)

 腹腔鏡下総胆管結石切石術(以下,LCBDE)は広く定着しているとは言えない現状ではあるが,決して難しい手術ではなく,術者が経験を積めば一般臨床にもっと普及可能な手術である.本稿では,LCBDEのうちtranscystic approach(以下,経胆囊管法)を導入しようとする施設が用意しなければならない機器の詳細と基本的手技やコツを述べたい.特に,経胆囊管法は助手の役割が非常に大きいので,術者,助手の連携も重視して述べたい.

病院めぐり

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 小樽掖済会病院は明治13年に日本最初の公益法人として発足した社団法人日本海員掖済会の全国8病院のひとつとして,昭和19年に石原裕次郎ゆかりの地,小樽市に開設されました.

 小樽掖済会病院は小樽運河からほど近い,北のウォール街(都市銀行や中央郵便局が集まっている)にありました.これらは今の小樽観光の中心地で,病室から多くの観光客の動きやクルーズ船の入港が見える場所でした.このたび,病院本館が新築を必要とする時期に,小樽中心街のデパートとホテルの跡地で,十分な広さの土地を入手することができ,平成27年12月にJR小樽駅に近い商店街に新築移転しました.新病院は地上7階,地下1階で,床面積は1.5倍に拡がり,病室の1/3を個室としました.

手術トラブルを未然防止する12の行動特性・12【最終回】

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●はじめに

 外科手術の実施に際しては,術前・術中・術後に患者状況の変化に対応して,さまざまな説明が実施されている1).本稿では,対話に基づく高信頼性組織(high reliability organization)を維持することに関連して,外科医が患者・家族と双方向の対話を実施していることが,患者への影響拡大の防止とトラブル発生の未然防止に資するということに焦点をあてて検討する.

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要旨

Indocyanine green 15分停滞率(ICG R15)が異常高値を示した体質性ICG排泄異常症患者の肝細胞癌に対して拡大左肝切除術を施行した症例を経験した.症例は67歳,男性.精査にて肝左葉に巨大肝細胞癌が認められた.ICG試験を施行したところICG R15が75%と異常高値を示したが,ほかの肝機能検査では異常が認められず,体質性ICG排泄異常症を疑った.99mTc-GSAシンチグラフィにて肝機能を再評価し,耐術可能と判断し手術を施行した.ICG試験は信頼できる肝予備能検査であり,結果によって切除術式を決定しているが,体質性ICG排泄異常症患者に対し大量肝切除が必要となった場合,その対応に苦慮する.術式選択のためにICG検査と同等の肝機能評価検査の確立が急務であると思われた.

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要旨

症例は73歳,女性.血便を主訴に近医を受診し,直腸S状部癌と診断された.術前の精査にて馬蹄腎の併存を認めたが,過剰腎動脈などの破格は認めず,腹腔鏡下高位前方切除を施行した.馬蹄腎は両側腎が下極で融合する稀な先天性腎奇形であり,しばしば腎盂尿管系や血管系の破格を伴うとされている.本症例では尿管,腎血管や性腺動静脈の走行異常は認めなかったが,症例によっては下腸間膜動脈から腎動脈が分岐するような破格も存在するとされており,術前の画像検査で血管の走行を確認することが必要ではあるが,腎盂尿管系・血管系の破格に十分留意し慎重に手術を行うことで,馬蹄腎合併症例でも安全に腹腔鏡下手術を行いうると考えられた.

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要旨

症例は60歳代,男性.早期胃癌と両側鼠径ヘルニアの診断で開腹手術に臨んだところ,腹膜に粟粒大小結節の散在を認めた.術中には胃癌の腹膜播種と悪性腹膜中皮腫の鑑別が困難で,胃癌に関しては試験開腹として両側鼠径ヘルニアの根治術のみ施行した.術後の腹膜の病理学的検索で悪性腹膜中皮腫の診断に至り,各種化学療法により現在6年を超えて生存中である.悪性腹膜中皮腫は漿膜腔を覆う中皮細胞由来の悪性中皮腫の一種であり,上皮型は肉眼的に小結節を形成するため悪性疾患の腹膜播種との鑑別が困難である.今回,早期胃癌と合併し術中に胃癌の腹膜播種と悪性腹膜中皮腫との鑑別が困難であった症例を経験し,文献的考察を加え報告する.

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要旨

症例は69歳,男性.2001年4月に胃消化管間質腫瘍(GIST)に対して腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.2003年8月に肝転移再発をきたし,肝右葉切除術を施行し,メシル酸イマチニブを6年間内服した.2012年8月,腹膜転移再発の診断のもと,メシル酸イマチニブの投与を再開し,腹膜転移巣は著明な縮小を認めていた.2013年8月,腹腔内出血の診断で緊急開腹術を行った.腸間膜の腹膜転移巣が出血源と診断し,同部位を切除,あわせて大網に存在した転移巣も切除した.術後経過は良好で第8病日に退院となった.本症例は腫瘍径の大きな腹膜転移巣にメシル酸イマチニブの高度の抗腫瘍効果が加わり,腫瘍壊死からの出血が生じたと推測された.

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要旨

症例は75歳,女性.10時間前から左大腿部痛が出現し救急搬送された.腹部CTで左閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断され,両側外鼠径ヘルニアも併存していた.発症早期で腸管の壊死所見を認めなかったことを考慮し,非観血的徒手整復を施行して待期的に腹腔鏡下修復術を施行した.術中所見で対側閉鎖孔にも不顕性ヘルニアを認めた.illiopubic tractに沿って腹膜を切開し腹膜前腔の剝離を行い,両側鼠径および両閉鎖孔4か所のヘルニア孔をポリプロピレン製メッシュで覆い固定した.術後経過は良好で再発の徴候は認められていない.両側鼠径および両閉鎖孔4か所の重複ヘルニアを一期的に腹腔鏡治療しえた1例を文献的考察を加えて報告する.

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要旨

症例は40歳代,女性.約2か月前から続く水様性下痢の精査目的で当院を受診した.血清vasoactive intestinal polypeptide(VIP)の上昇と膵体尾部に7 cm大の腫瘍,肝に2個の腫瘍を認めた.膵神経内分泌腫瘍のVIP産生腫瘍を疑い,膵体尾部切除と肝部分切除を施行し,肝転移を伴う膵原発VIP産生腫瘍と診断した.術後約1年で肝転移再発,その後肺転移も出現したが,ダカルバジン,オクトレオチド,2回の開腹手術の併用により術後10年以上の生存が得られている.VIP産生腫瘍はきわめて稀な疾患であるが,肝転移が認められてもこれらの治療法により長期生存が望める可能性があることを本症例は示唆している.

ひとやすみ・148

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 少子高齢社会の進展に伴い献血者が減少するため,若年層献血者を増やす目的で,大学や高校への出前献血セミナーを行っている.地域医療を重視する教育方針から,血液事業にも関心を示す東北医科薬科大学より,1期生への講義依頼を受けた.

 東北医科薬科大学医学部は安倍首相の肝いりで平成28年に急遽新設され,教授陣はいまだ公募中で,校舎も既存の薬学部を借用している.しかしながら全国から応募した1期生の意気込みは熱く,私の講義を在校生100名中98名が受講してくれた.

昨日の患者

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 かつて癌は不治の病とされ,告知により患者が生きる気力を消失するため,癌告知は行わないのが常であった.しかし治療により7割が完治する現在では告知が常識化し,生涯において癌に複数回罹患する人も存在する.

 93歳になるKさんは,私の小学生時代の恩師である.出征,結核と二度にわたる死線を乗り越え,教師を長らく務めたあとは,郷里で趣味の書道を楽しんでいる.

1200字通信・102

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 70巻2号(2015年2月号)に,第1回岡山大学外科同窓会に参加した経験から「Mentor」について書かせていただきました.昨年9月には第3回目の会合が開催され,これを機に会則も作成されて「岡山大学外科同窓会」としての組織が正式に設立されることになりました.

 岡山大学では,2010年4月から第一外科,第二外科,心臓血管外科が協力することで,従来の「医局」の枠を取り払い,医局に属さないで外科研修ができる「岡山大学外科研修マネージメントセンター(MC)」を立ち上げています.外科研修志望の若い先生方は,このMCに登録することで既存の「医局」に囚われることなく,岡山大学が関係する外科の関連施設すべてで外科専門医取得に必要な研修を受けることができることになり,さらに後期研修後の就職や研究,さらには留学などのキャリアアップも可能になってきています.

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 このたび刊行された『マイナー外科救急レジデントマニュアル』は,数多くの整形外傷手術をこなす整形外科専門医であり救急科専門医でもある田島康介先生が,自分が知りたい他科の知識や,同僚医師らからよく聞かれる質問への答えをまとめた書籍です.

 対義語の一つに,「メジャー(major)」と「マイナー(minor)」があります.アメリカ大リーグにおけるメジャーリーグ,マイナーリーグといった使い方はよく知られています.その意味を『大辞林』(第三版)で調べてみると,メジャーは「規模の大きなさま・主要な位置を占めるさま・広く知られているさま・有名なさま」,マイナーは「規模や重要度が小さいさま・あまり知られていないさま・有名ではないさま」と書かれています.医学の領域でも,内科・外科・小児科・産婦人科をメジャー科,それ以外の診療科をマイナー科といった使い方がされますが,何をもって二つに分けるのでしょうか.「仕事が大変vs楽」「入院患者数が多いvs少ない」「全身を診るvs局所を診る」など,どれももっともらしく思えますが,本当のところは医師国家試験の出題の関係でいわれるようになったようです.昔は上記のメジャー科が毎年必ず出題され,それ以外のマイナー科は毎年2科が選択出題されていました.

バックナンバーのご案内

次号予告

あとがき 田邉 稔
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 久しぶりに学生時代の友人に会うと,おおかた髪は薄いか白髪,体型は小太りで,かつての若さがだんだん失われていくのに気づく.50代半ば過ぎれば当然であるし,他人事のように書いているその私も例外ではない.ところが,昨年ある研究会で久しぶりに会った友人は,キリリと締まった体型と自信に満ちた笑顔で“シブイ中年”を演じていた.数年前に会ったときはもっと肥満体型で弛んだイメージであったから,容姿の激変はライザップのTVコマーシャルのように際立って印象に残った.どう見ても鍛え抜かれた肉体であり,おそるおそる「何かやってるの?」と聞いてみると,これが結構すごかった.自宅から勤務先の病院まで徒歩5分のところに住んでいるのにもかかわらず,毎日遠回りして往復20キロのジョギングをしている……とのこと,体が引き締まるのも納得できる.ふと我が身を振り返れば,会議,会合,会食,学会……最近の仕事内容は“会”の付くものばかり.体によいことは何もしていない.嗚呼,このまま我が身は朽ち果てるのか?!……そんな出来事があったすぐあとのお盆休み,久々に家族で旅行に行こうということになり,ホテルを探したのだが時すでに遅し.めぼしい観光地はどこも予約で一杯,仕方がないので群馬県妙義山麓のコテージを借りることになった.ところが行ってみると,まわりは畑,森,山のみで,美しい自然には溢れているが,それ以外は恐ろしいほど何もない.何をしようかと途方に暮れているとき,鍛え上げられたあの友人の姿が頭をよぎった……「そうだ,俺も走ろう」.普段まったくスポーツをしていない自分にとって,野山を走るというのはかなり無謀な思いつきだ.4泊5日の短い期間ではあったが,毎日7〜8 km大自然のなかを走り回ってみると,これが何とも気持ちがよい.不健康な生活にまみれた自分の心と体が,青い空と爽やかな風で浄化されるかのようだ.十年以上忘れていた心地よい筋肉痛と空腹感,コテージの庭でやったバーベキューの美味しいこと!

 それから半年以上経ったが,三日坊主で終わるはずだったジョギングが今でも続いている.足にはオレンジのランニングシューズとスパッツ,腕にはGPS付きのスポーツウオッチ……先日はフランス出張時に早起きし,ストラスブールの地図上に10 kmのマイ・ランニングルートを焼き付けてきた.1 kmのラップは6分15秒,平均心拍数153 bpm,697 kcalの消費……ライザップとまではいかないが,ズボンのウェスト周りが緩くなったのが心地よい.これは間違いなくマイ・プチ・レボリューションなのである.

基本情報

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臨床外科
72巻3号 (2017年3月)
電子版ISSN:1882-1278 印刷版ISSN:0386-9857 医学書院

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