ラパコレUpdate 最近のコンセプトと手技・8
総胆管結石症例におけるラパコレ—Transcystic approach(経胆囊管法)
松村 直樹
1
,
徳村 弘実
1
,
野村 良平
1
Naoki MATSUMURA
1
1東北労災病院外科
pp.329-336
発行日 2017年3月20日
Published Date 2017/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211547
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はじめに
胆囊結石症をはじめとする胆囊良性疾患に対する治療の第一選択は,腹腔鏡下胆囊摘出術(以下,LC)となった.一方で総胆管結石治療は多岐にわたる.すなわち手術と内視鏡的治療があり,本邦に限らず世界的にも内視鏡的治療が多く行われているのが現状である.手術と内視鏡的治療の本質的な違いは乳頭機能温存の有無といえる.内視鏡的治療の歴史はESTから始まり,EPBDで乳頭機能温存を省みて,さらにはラージバルーンEPBDなどを経ているが,いずれも程度の差はあれ「乳頭に侵襲的」であるのは否定できない.
総胆管結石は原発結石であるビリルビンカルシウム結石(以下,ビ石)と落下結石であるコレステロール結石と黒色石に大きく分類される.原発結石の成因は「胆汁のうっ滞と感染」とされる1〜4)が,原発結石に対しても乳頭破壊はさらなる感染を惹起し,長期にわたり胆道系合併症や再発を引き起こす可能性がある5,6).また,落下結石は胆囊を摘出すれば再発するわけはなく,乳頭破壊はもってのほかである.いずれにおいても乳頭機能温存は患者利益が大きい7).
腹腔鏡下総胆管結石切石術(以下,LCBDE)は広く定着しているとは言えない現状ではあるが,決して難しい手術ではなく,術者が経験を積めば一般臨床にもっと普及可能な手術である.本稿では,LCBDEのうちtranscystic approach(以下,経胆囊管法)を導入しようとする施設が用意しなければならない機器の詳細と基本的手技やコツを述べたい.特に,経胆囊管法は助手の役割が非常に大きいので,術者,助手の連携も重視して述べたい.
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