看護学雑誌 34巻11号 (1970年11月)

特集 ゆれ動く“制度”—准看護婦問題を中心に

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はじめに

 太平洋戦争終結により,日本の看護制度はGHQのキモ入りとはいえ,保助看法を制定し,社会的,法的な位置づけをした。それから22年,日本も平和国家,文化国家という看板のもとで経済大国にのし上がった。しかし,1970年はいろいろな意味で反省段階に入ったといえよう。

 最近,憲法第25条の真価を問われるような現象に触れるにつけ,看護婦のひとりとして,国民の生存権や国の社会保障制度がこんなにゆがめられては困る,何とかならないのか,と頭をかかえこんでしまうことが多い。今ここに編集部から「看護制度のゆくえ」というテーマを与えられたのを機会に,戦後の新看護路線の大半を歩いてきた者として,自己反省を含めて看護制度の20余年をふり返り,問題をみきわめてみたいと思う。

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はじめに

 私たちは全国の准看護婦がどのような労働条件のもとで,なにを考えながら働いているかという実態を知りたいため,アンケート形式での調査を行なった。

 過去において准看護婦だけを対象とした,意識・実態調査が行なわれたことは,ないに等しい状態であった。「看護制度」の改正が問題となっている現在,准看護婦の現状を正しく把握するために,はじめて准看護婦自身の手によって行なった実態調査である。

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廃案になったとはいえ,高卒1年准看護婦養成案の投げかけた波紋は拡がっている。それは,これからの課題をめぐってではなく,これまでの,そして現在の,准看問題の矛盾をいっそう顕在化させたからである。いま現場で働く准看護婦の位置づけは,その昇格方法は,差別は,など緊急に解決されなければならない問題は多い。准看問題は自分たちの手で,と積極的に活動している“全国准看護婦の集い”で行なった意識調査を背景に,看護協会はそれをどう考えるかを話し合っていただいた。なお当初は石本茂協会長出席の予定が井上澄恵看護婦会東京都支部長とかわったことをおことわりしておく

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 「4月総会でわれわれはこぞって“高卒1年准看護婦養成案”に反対をし,そして廃案に追いこんだ。われわれとあれほど対立し抗争する考え方を,また再び次期国会に提出しようといっている政府・自民党に入党しようという,いったいその間の論理的な矛盾をどう説明されるつもりか」

 「かつて政府・自民党が,私たち看護婦になにかしてくれたことがあったというのでしょうか。石本さん個人がどこへ入党されようとそれは勝手なことと思いますが,協会の総意においてそれをなさろうというのであれば,政府・自民党のいちいちの政策について見解・所信を示されたい」

カラーグラビア 光学(ミクロ)の世界

臍帯 林 武彦
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 臍帯の表面には、単層の羊膜上皮に含まれ内部は膠様組織からなり、その内に二条の臍動脈と一条の臍静脈および、尿膜管(腸管と尿膜裏との間を結ぶ内胚葉性の細管)の遺残を含む。

カラーグラビア ダークゾーン

クスリ 林 隆喜
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 戦後,製薬資本は,やけつく炎症を癒しめざす—症状には驚くべき効力を撥揮する新薬の開発にいそしみはしたが,その狂気じみた濫用は,薬の宿命的に背負う毒性をもまた同時に解き放つことになりその毒は骨髄の深部にまで沈澱してゆき静かに堆積を重ねてゆく。

 色鮮やかなカプセルからは,異常増殖する癌細胞を,そしてあの忌わしい奇形児を想像することは困難だが,白日夢では決してないのである。

カラーグラビア ナーセスモード・サロン

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 ベッドメーキングなどの作業や、患者さんの体位交換などのとき、軽快にうごけるようにデザインした、活動的な看護衣です。

 ロングジャケットにパンタロンを組合わせ、ラグラン袖部分にはジャージーをはめこんでうごきやすいように、工夫しています。

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 8月24日、東京都太田区体育館に続々とつめかける人の群があった。看護協会臨時総会に集まる人びとである。およそ三千数百、石本会長の自民党入党問題をどうするか、廃案になった高卒1年准看養成案のその後にどう対処するか、緊急課題をめぐって、臨時総会場は緊張した雰囲気にあふれていた。

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 第19回看護研究学会教育・管理分科会が、8月19日、20日間に渡って開催された。東京都虎の門にある国立教育会館では、全国各地から集まった演者、聴衆がひとつになって、熱心な討論が繰りひろげられた。

 この第19回からは、教育・管理、小児・母性成人内科、成人外科の4つの分科会に分かれて行なわれることになっている。教育・管理分科会はその先頭をきったものである。その意味では、この分科会の成否は注目されていたが、第一日、二日とも活発な議論の応酬がありまずまずといえよう。10月、11月とたて続けに行なわれる分科会では、いっそうの実りが期待される。

とかく女は…—信頼と責任 山口 富造
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 約2年ほど前のこと、ある団体からの依頼で、「都市近郊農村の生活課題の構造」といういかめしいテーマで、群馬県下の農村へ社会調査へ出かけたことがある。

 他の3人の友人と、それぞれ関係している学校から同行を希望する学生を、アルバイトの形で30人ほど募集することになった。

ごぶさたしてます 小櫃 美智子
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 昭和3年埼玉県生まれ、昭和19年熊谷看護婦産婆学校卒業。昭和22年東大医学部付属医院助産婦復習科卒業後、東大付属医院産科婦人科に勤務。昭和30年大妻女子短大家政科卒業。昭和31年改称された東大医学部助産婦学校の初代教務主任となる。昭和38年以後産科婦人科婦長。看護協会の教育委員、助産婦会の評議員、文部省の保健婦助産婦看護婦審議会委員、厚生省の中央児童福祉審議会委員のほか、高看学院の新カリキュラム委員など数々の要職を歴任された。美智子妃殿下の、礼宮さま、紀宮さまのご出産のさいの助産婦をつとめられたのは衆知のとおり。おだやかなものごしだが、うちに秘めたフアイトをおもちの、内剛外柔の方である。

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ある看護婦からの手紙

 今度,東京の労働旬報社から,全国に拡がった看護婦夜勤闘争を描く『白い波濤──夜明けをひらく看護婦たち』という本が出版された。その本の最終原稿にとりかかっていた私のところへ,新潟県立病院に働く一人の看護婦から一通の手紙が届いた。

 「……さっきまでNさんのお部屋でテレビを見ていましたが,なんともいえぬ気持ちにおそわれてペンをとりました。いつものように第5チャンネル(民間)の“ザ・ガードマン”を見て,現実にもあてはまるものをはっきりととりあげ,見せられたと思うとせつないような気がしました。それは『雨の幽霊病院』という題で,すべて儲けのために犯罪をおかしてゆくある精神病院をテーマにしたもの。人を殺すことまではしないまでも,当病院のやり方に対しても腹が立つやら,恐ろしくさえ思えてくる。

特別講座

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10.滅菌作業上の一般的な留意事項

 病院では,種々の品目が滅菌されます。たとえば,金属やガラス製の各種の器具,注射針,手術セット,含水性または無水性の液体,粉末,加熱によって変質しやすい薬品,などについては,それぞれ考え方の異なる工夫が必要です。

 これらについての詳しい説明は省きますが,物品の質と形および包装材料の差に応じる最適の滅菌法を,今までに述べた原則と技法の例から編み出してください。そして物品の包装法と器内への配置法については,滅菌効果を第一に重視する考え方で標準化を計るべきです。

ルポルタージュ・健康探検

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『五月二十五日』の告発者

 去る9月はじめ,小さな文集が発行された。『五月二十五日』という名の,ガリ版刷り,20ページあまりの文集である。発行者は“厚生省・水俣病を告発する会”。部数は百数十部。厚生省の全職員が2,559名(本省のみ)だから,十数人に1人しかいきわたらない計算になる。

 5月25日がなんの日だったか,ほとんどの人は忘れてしまっているだろう。が,厚生省の人びとにとっては,かんたんに忘れることができない日になっている。水俣病患者の補償金交渉が大詰めをむかえ,患者の家族や関係者が水俣から上京,厚生省に陳情,すわりこみ組の十数人が逮捕されるという事件がおこった日なのである。

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 前回は手術前の看護をまとめたので,今回は手術後(特に手術直後から1週間)と退院についてまとめてみた。

医学講座

更年期障害 赤須 文男
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はじめに

 女子では個人差もあるし,社会情勢の影響もあるが,45歳前後に性機能はいちおう終わる。ネズミなどであれば,性機能が自然に終止すれば間もなく死亡していく。けれども人の場合は,このような状態になっても死ぬとは限らないし,性生活も可能である。私は「性腺は種族維持に,副腎は個体保持に必要不可欠な生体防衛能をおわされている」ことを力説した(1955年)。元来種族が大切なのか,個体が大切なのか,これは生物学的見地や,哲学的見解のうえではかなり議論のあるところであろう。

 しかし生物界の現象をみていると,種族維持に重点がおかれ,子孫を残す責任を果たせば個体は死滅してゆくのが一般のようである。人の場合は多少異なり,すべての人が健康にして幸福な生活をする権利が与えられている。もっとも国々の思想によっては,これが認められない場合もある。わが国でも,生活の苦悩のなかにあっても「生めよ殖やせよ」の規則のもとにたくさん子どもを産まされた時代もあった。上述したネズミなどのことを考えると,性腺と副腎とがきわめて密接な関連下におかれ,性腺の機能停止は副腎の機能停止に結びついている感がある。人ではおおいに異なっている。

海外ニュースサロン

月までいった緑色連鎖球菌,他
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 地球の微生物によって,他の惑星が汚染されることのないように,米航空宇宙局(NASA)では宇宙船の殺菌を行なっている。それにもかかわらず,3年前に飛んだサーベイヤー3号のカメラに付着して,緑色連鎖球菌が月に運ばれていた。アポロ12号によって,問題のカメラが地球に持ち帰えられた結果わかったのである。

 NASAでは,この微生物が地球に戻ってから付着したものではなく,サーベイヤー3号の打ち上げの前からついていたのだと確信している。この微生物は月への旅行にも,月からの旅行にも,さらに3年にわたる月世界での環境にも傷つけられることがなかった。

コンピュートロジー・8 コンピュータ的世界についてのやさしい解説

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 電子計算機の専門家がひどく不足しているそうである。

 試算によると,現在わが国には,情報処理技術者と呼ばれる人たちが3万人もいるそうである。ところがこれも,どうたたいたのかよく知らないが,46年になると,さらにおよそ5万人にふくれあがるという。〈「創造への挑戦」・ダイヤモンド社刊〉だから,専門家の養成を真剣に考えなければいけないとか,養成機関をつくらねばならないとか──しきりにスペシャリスト育成のさけびがあがってくることになる。

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 呼吸療法(respiratory therapy)とはあまり使われている言葉ではないが,肺のガス変換がなにかの原因で障害されたとき,これを正常へ戻そうとする治療法を総称するものと考えてよいだろう。広い意味では呼吸管理という名で行なわれるすべての処置,すなわち酸素療法・人工呼吸法・エロゾール吸入療法・肺機能療法,さらに気管切開・気道洗浄なども含まれるわけである。しかしこの稿では,おもにICUの看護上に必要と思われる肺機能療法を中心に述べてみたい。

 肺機能療法(lung physiotherapy)は,肺理学療法とも訳されるが,この治療法は肺外科において,手術後の呼吸器合併症の予防および肺機能の低下をできるだけ少なくする目的で発達してきた。すなわち理学的な方法により喀痰の喀出を容易にし,肺の膨張を良好にし,胸膜の肥厚や癒着および脊椎の彎曲を防止しようとするものである。

続MSWの目

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 満4歳になったやえ子は,2年前に百日咳から肺炎となり入院したが,注射が大嫌いで泣きわめいた。それを無理にしたらお小水をもらすようになって,一日のうち少なくとも5〜6回はパンツをとりかえ,叱ってもなだめても治らない。これは病気じゃないかと小児科へ来診したが,身体的な異常はなく,小児科医長からMSWに紹介されてきた。

 彼女の母と数回面接してわかったことは,父は○○会社のバスの車掌で35歳,無頓着なやさしい人,母は郷里では代用教員もしたことのある29歳の女性である。やえ子が生まれたとき,父は失業し母の家の狭い別棟に住んでいた。2年後に上京し現在のアパートに生活するようになった。家ではおもに母の意見が通る。やえ子は歯の出るのも歩きだすのもおそく,母乳が不足し粉乳で補給した。母親は非常に厳格な父に育てられて成長した。自分は代用教員もしたことがあるので子どもの教育にも熱心で、しつけがなによりもかんじんであると確信している。その結果,食物はいやなものでも絶対に食べさせるという。

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 “稚内市に医者がひとりもいなくなった”──こんな見出しを札幌でみた私は,僻地の惨たんたる医療事情を想いうかべながら,稚内,利尻,遠軽をまわってみた。新聞の見出しは少々オーバーながら,実情は,市立総合病院から内科医,小児科医がひきあげ,慢性疾患入院患者は,かろうじて,市の開業医の応援でなんとか急場をしのいでいた。

 総合病院でさえそのありさまなのだから,診療所にいたっては想像を絶し,数か所の所長をひとりでかけもちし,「無医状態」は,日常茶飯だという。ふいに訪ねた診療所に医者がいたことは,まずなかった。

病気のミニ世界史

コレラ 大熊 房太郎
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 ことしの夏は韓国,アフリカ,中東などにかなりの数のコレラ患者が発生し,あらためてコレラという病気がクローズ・アップされましたがしかし皆さんもご存じのように,ひとくちにコレラといっても,これはコレラ菌による古典的アジア・コレラとエルトール菌によるエルトール・コレラとに分けられています。

 アジア・コレラのほうは,もともとはインド大陸のガンジス河の流域—とくにその下流の三角洲地帯(いわゆる下ベンガル地域)にあった地方病で,すでに紀元前4世紀ごろには流行していたと思われる形跡が残っていますが,この地方病であるコレラが遠征の旅に出て,第1回の世界的大流行(パンデミー)を起こしたのは1817〜1823年です。

Hello Nursing・8

陰鬱な英国の秋 姉崎 宜子
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 9月はじめから勤務を開始,中旬には夫が合流し,住居も定まり,英国での“第二の故郷”マンチェスターでの生活は無事スタートをきった。しかし,前に記したように,私が配属きれた人工腎臓室の業務については,看護学生のとき内科学の講義で一度耳にしたような記憶があるだけで,実物に接するのははじめてであった。職場の同僚たちのいうままに,彼らのやっていることをみようみまねでやっていた。同僚には,正しい発音で話す者もいれば,訛の強い英語を話す者もいた。訛の強い英語の説明には,あいづちをうっておいて,あとで人工腎臓についての説明書や文献と首ぴっきになることもしばしばであった。

 ともかく,最初の1か月ほどは夢中で過ぎてしまった。ふと時候に気がつくと,昼間がどんどん短かくなりどんよりとした空からときどき雨が降ってくる。いわゆる“ぐずついた天気”の連続である。7月上旬に離日し,日本のむし暑い夏から逃れて,しのぎやすい英国の夏にホッとしていたが,英国の秋が単なる冬への導入部でしかないことを知ると,澄みきった日本晴れの多い日本の秋の美しさが懐しくなった。加えて,N先生一家と離れ,英国社会でひとりだちの生活を始めると,いろいろなことに接し,ときにはつらい思いをすることもあり,日本が恋しくなる。ホーム・シックにかかったのはこの頃であり,給与と職場での人間関係に関して面白くない思いをしたのも,霧のたちこめ始めた晩秋の頃であった。

患者とわたし

手遅れになった母の病気 石塚 洋子
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自ら子宮癌を疑ったのに

 茨城県のM市にいる私の母から,長距離電話がきたのは昨年の5月のことである。

 「4月頃からなんだが腰が痛くなってね,接骨院に通って揉んでもらってるんだけどそのときはいいけど家に帰ってくるとまた同じ痛みでね。もうひと月もたつのに全然よくならないし,どうしたらいいかと思って?」

Medical Topies

流産と免疫反応,他 E.M.
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 賢臓や心臓などの臓器移植のさい,拒絶反応が大きな障害となることは誰でもよく知っている。同じ人間どうしでも臓器を移植するさいには,この免疫反応をどうして防ぐかが大きな問題となっている。それならば妊娠したさい,母体は胎児に対して,どうして拒絶反応を示さないのであろうかという疑問がおこってくる。もし拒絶反応が容易におこるとすれば,流産はひじょうに多くなるはずである。

 胎児は精子と卵との合体によってできたものであるから,半分は父親由来のものであり,当然胎児の組織は母親にとって他人の組織と同じような拒絶反応を示してよいように思われる。事実免疫学的には,胎児も胎盤組織も母体に抗原性を示す,すなわち拒絶反応をおこさせる性質をもっている。それが実際にそのような現象がおこらないのは,胎盤のもっとも外側にあって子宮内面に直接接している絨毛細胞には抗原性がなく,これが母体と胎児との問の防壁となっていると考えられている。こうして胎児は母体の中にあっても,安全に発育を保持できるのであろう。

いわせてもらえば

看護婦の誇り 井上 なつゑ
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 この頃,世のなかの人びとは終戦後25年の歩みなどといって,パッと開いた花のようにみえるわが国の文化を,再びみなおしているが,私はもっと前──35年前のうるわしい人情の流れをふと思い出して,しばしその流れにひたることにした。

 昭和12年6月,私はロンドンで開かれる国際看護婦協会第8回総会に出席するため,シベリア鉄道を利用することになった。湯槇ます姉,李貞愛姉は,すでにインド洋経由の船で出発されていた。

看護風土記

群馬/福岡 加部 八重子
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 上州名物は「かかあ天下にからっ風」という。かかあ天下は,桐生,伊勢崎などの機織り女性の生活力によるようだが,山間のこの地では,女性がたくましくなるのも当然であろう。冬のからっ風の影響は,上州人の語気の強さに表われ,そのうえ熱しやすい気質をもつ上州人の会話は,知らない人に喧嘩と思われることがある。

 さて,看護面は看護婦養成で前橋赤十字病院が伝統をもち,群馬大学付属病院は,新しい医療看護の中心をなしている。終戦後,私たちは日本看護協会群馬県支部に結集し,いちはやく新看護教育を僻地まで普及させた。当時の夜をもいとおぬ役員の努力は,会を育て,会への愛情に変わっている。ついで,保・助・看合同で,福祉事業として結核後保護施設「桂荘」を生み,今日では内部障害者施設に発展している。荘のかたわらには,退職された総婦長さんの家々が,珍しい婦長村をつくっている。その一角に,支部会館も建設の日を待っている。このほか,支部では医師会へ働きかけて,進学コース増設をはかったり,福祉群馬を宣言した県と看護問題を話しあったりして活動しているが,なんといっても年間の教育計画が看護婦会員1300人あまりの大きな魅力となっている。

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I はじめに

 戦後公衆衛生活動とともに人口構成が変化し,老人人口が大幅に増加してきた。それによって老人問題が大きな社会問題として各方面から盛んに取り上げられるようになった。そこで私たちが臨床実習において,数多く遭遇する老人患者に目を向け,老人患者を正しく理解し,少しでもよい看護をするために,この研究に取り組んだ。

講評

問題点をもっと小さく 盤若 博司
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 老人人口の増加に伴い,あらゆる分野において老人に対する研究が盛んになっておりますが,老年者患者の看護という面についての組織だった研究はあまりなかったように思われます。今回この点をとりあげ,その第一歩というべき研究成果を発表されたことは,たいへん意義あることと思います。

 本研究にあたり,とりあげられた項目どれ一つ取っても重要な問題を含んでおり,まとめるには大変であったと思われますが,非常によくデータを整理され,手際よくまとめられたことは立派です。

ごぶさたしています

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 看護の分野のなかでスペシャルなナースとして助産婦を選んだことは,この仕事が本当に好きであったからかどうか,当時の気持を考えてみてもはなはだあいまいですが,血気盛んな青春時代に迎えた終戦という心の傷手を,なにかで代償しなければいられないような衝動にかられ,東大の助産婦復習科に入学したのは昭和21年4月終戦の翌年でした。

 当時東大病院は戦後の復興の途上で資材・設備ともに不備でしたが,ここには自由に学ぶことのできる環境がありました。臨床実習ではたいへんきびしい指導を受けましたが,寮生活は自由で楽しいものであったように思います。

にっぽんふうぞく裁断

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消えつつある自然

 住宅地や別荘地が売られるとき,“太陽がいっぱい”“緑が絶えない”“空気が澄んでいる”など,“自然”が“自然らしく”存在することが,このうえない価値として強調されている。いつごろからかはっきりしないが,最近こういった強調が非常に目立つ。“自然さ”が売る価値の高いものとなったことを,住宅業者が知っていて使っているのだ。

 いままで,太陽と空気と空と緑などというものの価値を売ろうというような考えは少なかった。「交通至便」が多かった。

あなたと法律

生理休暇 笠原 郁子
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 労働基準法で生理休暇がうたわれていることは,比較的よく知られている。

 しかし生理休暇をとっている女子は,非常に少ない。昭和43年の労働省婦人少年局の調査によると,生理休暇の取得率は23.2%,請求者一人あたりの年間請求回数は5.6回,年間休暇日数は8.1日ということである。しかも昭和40年には取得率26.2%であったことと比べると,最近生理休暇をとる女子の数は減少傾向にある。

あなたのなかの現代

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 戦後25年をむかえた今年のマスコミは,まことに多様な企画によって,この25年という区切りを,活字に,映像にとどめようと試みた。私のみた「原爆・終戦記念番組」だけでも,40本をこえた。

 ことに,戦後米国にもちさられた「ヒロシマ・ナガサキ原爆の記録」の未公開部分のフィルムが公開され,長崎被爆者の医療記録が発掘され,満州開拓移民11家族が30年ぶりで帰国するなどのことがあって,太平洋戦争の凄惨な真実が,国民のまえに新たに公開されることとなった。

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つけものの香り残れる我が指に気づきて洗う朝の詰所に

 〔評〕生活の香りが切実にうたわれている。つけものの香り──はさながら日本人の生活の香りでもあろう。

なでしこのうた

女工里ちゃんの結婚 塩沢 美代子
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 南アルプスと中央アルプスの山並みにはさまれて流れる天竜川の峡谷は美しい。伊那谷と呼ばれるこの流域には,緑こく静かないかにも農村らしい風情がみられ,その村々に住む人たちには,人なつっこい方言の味そのままのあたたかい肌合いがある。里ちゃんはその代表的なタイプである。

 伊那谷の農家に生まれ,伊那谷のなかで嫁いだ里ちゃんが,里帰りと称してしばしば訪れるのは伊那の中心飯田市にある製糸工場T社の寄宿舎である。なるほど40歳の彼女の半生のうち,21年をここに働いていたのだから,まさに生家以上であろう。それに老いた両親をあいついで見送ってしまったあと,兄さんのお嫁さんが主である実家には,多少の気兼ねを伴うが,古巣の工場に働く仲間たちは,5年前まで職場でも組合でも大黒柱だった先輩を,心から親しく歓迎してくれ,彼女はのびのびと足を投げ出してくつろぐのだ。

付録 看護計画のための基礎ノート

基本情報

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看護学雑誌
34巻11号 (1970年11月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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