講座ICU・8
呼吸療法
白津 文夫
1
,
順天堂大学医学部付属順天堂医院看護部
1順天堂大学医学部胸部外科
pp.60-63
発行日 1970年11月1日
Published Date 1970/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917659
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呼吸療法(respiratory therapy)とはあまり使われている言葉ではないが,肺のガス変換がなにかの原因で障害されたとき,これを正常へ戻そうとする治療法を総称するものと考えてよいだろう。広い意味では呼吸管理という名で行なわれるすべての処置,すなわち酸素療法・人工呼吸法・エロゾール吸入療法・肺機能療法,さらに気管切開・気道洗浄なども含まれるわけである。しかしこの稿では,おもにICUの看護上に必要と思われる肺機能療法を中心に述べてみたい。
肺機能療法(lung physiotherapy)は,肺理学療法とも訳されるが,この治療法は肺外科において,手術後の呼吸器合併症の予防および肺機能の低下をできるだけ少なくする目的で発達してきた。すなわち理学的な方法により喀痰の喀出を容易にし,肺の膨張を良好にし,胸膜の肥厚や癒着および脊椎の彎曲を防止しようとするものである。
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