グラフ
崩壊寸前日本の医療—僻地を支える保健婦・助産婦・看護婦
後藤 珠真子
,
川上 重治
pp.65-72
発行日 1970年11月1日
Published Date 1970/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917661
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“稚内市に医者がひとりもいなくなった”──こんな見出しを札幌でみた私は,僻地の惨たんたる医療事情を想いうかべながら,稚内,利尻,遠軽をまわってみた。新聞の見出しは少々オーバーながら,実情は,市立総合病院から内科医,小児科医がひきあげ,慢性疾患入院患者は,かろうじて,市の開業医の応援でなんとか急場をしのいでいた。
総合病院でさえそのありさまなのだから,診療所にいたっては想像を絶し,数か所の所長をひとりでかけもちし,「無医状態」は,日常茶飯だという。ふいに訪ねた診療所に医者がいたことは,まずなかった。
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