病気のミニ世界史
コレラ
大熊 房太郎
pp.78
発行日 1970年11月1日
Published Date 1970/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917663
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ことしの夏は韓国,アフリカ,中東などにかなりの数のコレラ患者が発生し,あらためてコレラという病気がクローズ・アップされましたがしかし皆さんもご存じのように,ひとくちにコレラといっても,これはコレラ菌による古典的アジア・コレラとエルトール菌によるエルトール・コレラとに分けられています。
アジア・コレラのほうは,もともとはインド大陸のガンジス河の流域—とくにその下流の三角洲地帯(いわゆる下ベンガル地域)にあった地方病で,すでに紀元前4世紀ごろには流行していたと思われる形跡が残っていますが,この地方病であるコレラが遠征の旅に出て,第1回の世界的大流行(パンデミー)を起こしたのは1817〜1823年です。
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