続MSWの目
母への欲求不満がこうじて
中島 さつき
pp.64
発行日 1970年11月1日
Published Date 1970/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917660
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満4歳になったやえ子は,2年前に百日咳から肺炎となり入院したが,注射が大嫌いで泣きわめいた。それを無理にしたらお小水をもらすようになって,一日のうち少なくとも5〜6回はパンツをとりかえ,叱ってもなだめても治らない。これは病気じゃないかと小児科へ来診したが,身体的な異常はなく,小児科医長からMSWに紹介されてきた。
彼女の母と数回面接してわかったことは,父は○○会社のバスの車掌で35歳,無頓着なやさしい人,母は郷里では代用教員もしたことのある29歳の女性である。やえ子が生まれたとき,父は失業し母の家の狭い別棟に住んでいた。2年後に上京し現在のアパートに生活するようになった。家ではおもに母の意見が通る。やえ子は歯の出るのも歩きだすのもおそく,母乳が不足し粉乳で補給した。母親は非常に厳格な父に育てられて成長した。自分は代用教員もしたことがあるので子どもの教育にも熱心で、しつけがなによりもかんじんであると確信している。その結果,食物はいやなものでも絶対に食べさせるという。
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