看護学雑誌 33巻10号 (1969年10月)

特集 職場における人間関係

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1.キーを打つ音だけが絶え間なく

 昨年から今年にかけて,女子の事務機械作業従事者,つまり,キーパンチャーやカナタイパーを対象にして調査をしました。ケンショウ炎という職業病が発生したことから,すでにお馴染みの人たちでしょう。

 キーパンチャーやカナタイパーの仕事は,ビルディングのオフィスのなかにすえつけられた機械の前に腰かけて,終日,キーをたたいている仕事です。指先を使う仕事ですから,まあ女性向きの仕事です。実際に仕事をする部屋は,すえつけられた機械のためなのですが,温度調節は完壁ですし,ホコリがたたないようになっていますし,採光のぐあいも申し分ありません。物理的な環境としては,まあ最高の部類に入るでしょう。

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一番むずかしい看護婦同士

 司会(中根) きょうは「人間関係」ということをテーマにお話しいただくわけですが,看護界の内情をよく存じませんので,見当違いのことを言うかもしれませんけれども,それはお許しください。

 ところで,皆さんの場合,入ったばかりの時と,中堅にいる時と,トップにいる時とでは,人間関係はそれぞれ違うわけですね。人間関係というのは,2つあると思うんですが看護婦の方たち内部のと,対医者の関係,それから対患者の関係。そのなかで一番問題になるのはどれですか。

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単純でない看護婦相互の人間関係

 医療組織のなかで看護婦という職種は直接に患者に接するという点で,医師と同じような特殊な性格をもっている。医療組織のなかの職種は,いうまでもなく多種多様である。医師,看護婦,X線技術者,検査技術者,薬剤師,事務者,ケースワーカー,栄養士などに細分されるが,そのなかで,看護婦は医師と表裏一体の仕事をするという点で,非常に特殊なものである。看護婦は医師の介助役としてのさまざまな仕事のほかに,本来看護とよばれる仕事をする。いずれにせよ,それは患者に直接対応しているという点で,きわめて特殊なのである。

 職業として考えれば,この意味で会社,工場の女子労働者とはまったく異質であることがよくわかるであろう。また,同じ病院のなかの検査,事務などの女子職員,炊事の女子職員とも異質であることがよくわかるであろう。

人間関係と精神衛生 村松 常雄
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「ひと」と人間関係

 「ひと」のことを漢語では「人間」と書いている。偶然のことかもしれないが,その文字のとおり「ひとの存在」は,好むと好まざるとを問わず人と人との間での生活体である。そもそも人として生まれ出たこと自体が,すなわち存在の出発点からが人と人との間にあり,しかも母体内の受胎時に与えられた遺伝的な条件は,両親のそれぞれの家系を構成してきた歴史的な人間関係の結合条件によって伝えられたものである。この条件に関しては主として優生学(eugenics)の問題である。

 生まれ落ちると,まずその家族を構成している両親や同胞との間で育てられている。この条件もまた,子どもの側から見れば宿命的な人間関係の内に生育するわけであるが,誕生直後の子どもにとって最初の緊密な人間関係を持つのは母親(またはその代理者)である。しかもその心理的な相互関係においては,まだ言葉の理解さえできない乳児期においてさえ,母親の感情状態が子どもに影響するといわれている。このような言語以前,また言語以外の心理的な,特に感情的な相互交流(communication)の現象をアメリカの精神医学者サリバン(H. S. Sullivan)はエムパシー(empathy)と呼んだ。

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差別意識を生んだ元凶は

 1969年7月21日,全世界の5億,いや10億の人がテレビに釘づけされたという。人類がはじめて月着陸するシーンを見るために。科学の粋を集め8兆6千億円の大金を投じての月飛行計画は成功した。世界の表情もさまざまに伝えられていた。同じアメリカの地上では,黒人が飢えの抗議デモをしている。

 「宇宙に手をさしのべられるアメリカが,なぜ地上の飢えた人たちに手をさしのべられないのか。ロケットのかげで今日も黒人の子が栄養失調で死んでいる」と訴えた。世論調査でも月飛行計画の反対者は40%強だという。

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日本と台湾,それは新幹線の東京・大阪間ほどに,時間的にも心情的にも気軽な旅程である。日本人の旅行者が毎月約1万人といわれるのも,なるほどとうなずけよう。しかしその反面,日本に紹介される台湾は“男性天国”的要素ばかり多くて,“医療事情”とか“ナース事情”とかマジメな話は,依然として少ない。そこで,私の台湾行はたった3,4日間の,超特急の旅ではあったが,そのなかで得た台湾の医療事情についてお知らせしよう。

 取材先は台北市を中心にその周辺,ときは68年秋,文字どおりの駆け歩る記,足りない部分は取材のためにできた全身のアセモにめんじて許されたい。

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 看護婦による治療,つまり経験的,分析的治療は,精神病,特に精神分裂病に対する治療の方法であると筆者は述べている。これには2種類の仕事が含まれている。すなわち,ナーシング・ケアーのプロセスを進めていくなかから出てくる経験的なものと,臨床研究的なものである。ここで看護婦は移行という現象に対処し,精神分析的精神療法の技法を有効に使用できるよう訓練される必要がある。この訓練では,一連の治療の技法を教えるのが目的であるが,これによって,訓練生は,柔軟性をもってこの仕事にあたり,治療の進行過程で変化する患者のニードと周囲の状況が要求するものの両者に対して,その技術を応用することができるようになる。

 看護婦による治療という考えは,私がある精神分裂病の少女の治療に加わった経験から生まれたものである。(その当時,1961年には,私は,ボストン州立病院急性精神科病棟の婦長をしていた。この時の経験から,私は精神科看護に固有のいくつかの問題に気づいた。それは,看護婦がどれほどまでに,患者の病気の推移に直接的なかかわりをもつ重要な治療者であるかということ,患者に対する情緒的コミットメントの重要性,ナーシング・ケアーのプロセスに内在する治療上の利点,すなわち,専門職業的であるが,同時にごく親密な関係などの問題である。

カラーグラビア シリーズ・人体臓器・7

胃の内腔 横地 千仭
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これは拡張した状態の胃の内景である(縦径約27cm)。カラの場合には壁の厚さは4〜5mm前後あり,粘膜に縦走する高い襞があるが,拡張するにしたがって次第に壁は薄くなり,襞も低くなる しかし,幽門のところだけは厚くて,活約筋を形成する。噴門と幽門とでは粘膜の境界が肉眼的に区別される,胃の粘膜には一辺が2〜3mmの多数の小区画(胃小区)がある。

カラーグラビア カラースコープ

痣(あざ) 池田 重夫
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 俗に“あざ”(赤あざ,青あざ,黒あざ)と呼ばれるものは,皮膚科学的には血管腫,色素性母斑(太田母斑,色素細胞母斑)等と分類される。これらは,いずれも生まれつきの皮膚構成要素(血管,メラノサイト等)の出来損いである。“あざ”には放置しておいても学童期ごろまでに自然治癒してしまうものと,積極的に治療しなければ治癒しないものとがある。

カラーグラビア ナーセスモード・サロン

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涼しい季節になりました。夜の看護や見回り,急患のときなど,白衣の上から簡単に着用できます。キルティングの風合を生かしたトリコットをマテリアルに,軽くてあたたかく洗濯も簡単です。色調も落着いた,患者に刺激を与えないようなトーンを選らび,機能的で清潔感をもたせるスタンドカラーでアクセントをつけてみました。

グラビア

女性12章—因果 横山 正次
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昔,人は現世における不幸の因を過去・前世の悪業に求めた。転じて因果という言葉は不運,不幸を意味するようになったという。原因があって結果があるのではない結果があって原因が求められたのである。そして,結果が常に不幸でしかないのが俗世というものであろう。男と女と,卒塔婆の因果律がそう単純に成り立つかどうかは疑問としても,ともあれ男と女とが睦み合つて,そして卒塔婆が立てばこれを不幸というほかはあるまい。合掌

ほんものの秋 間所 ひさこ , 団 春郎
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 ある晴れた日ようびのことです。

 東京に住む,小学校三年生のナオキは,小さなリュックサックをせおって,肩に水とうをさげ,効外に向かう列車に,コトコト,コトコト,ゆられていきました。

なあす・すていしょん—大森赤十字病院
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アイデアがいっぱいの病院である。たとえば各ナース・ステーションには救急トレイと称する赤くぬられたトレイがひとつづつ特別に置いてあったりする。常に創造性をという看護部長の意向がすみずみに行き届いている。ステーションの廊下に届けられた花や小鳥に,患者さんからの感謝の心づくしがうかがえて心楽しい零囲気を作っていた

ドクター訪問—高橋 功先生

医学と看護

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はじめに

 悪性骨腫瘍,特に骨肉腫,Ewing肉腫は10〜20才に発生するきわめて悪性度の高い腫瘍で,しかも四肢骨の場合は罹患肢の切断,あるいは関節離断術などにより,確実に腫瘍の完全な全剔出が可能であるにもかかわらず,その生命に関する予後は他の臓器癌と比較すると著しく不良であり,骨肉腫の場合80%以上の症例が手術後1年ないしは2年以内に肺転移のために死亡しており,5年生存率はわずか10%前後,Ewing肉腫では0%に近い状態を示す,きわめて予後の不良な腫瘍である。(表1)

 これは骨肉腫そのものが癌腫に比較してより増殖能力の強い未分化型細胞を含んでおり,しかも血行性播種がきわめて早いことが大きな要因と考えられるが,骨髄内に発生した肉腫の早期診断は,現在の段階ではほとんど不可能に近く,しかも病状の進行が早く病的骨折を起こしてはじめて発見される場合が多く,また初期肺転移の発見もきわめて困難であることなどが治療上の最大の支障であり,ここに早期発見,早期治療上のむずかしい問題点がある。

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はじめに

 四肢に発生する悪性骨腫瘍,とくに骨肉腫は,10才〜20才代にみられるきわめて悪性度の高い腫瘍であり,切断,ないし関節離断術などの根治手術によって,局所腫瘍の安全除去が可能である。それにもかかわらず,肺転移をきたして,結局,1年以内に死の転帰をとるものが70%,5年以上の生存者は,わずか10%前後というのが現状であり,整形外科領域においても治療法の改善は,最も緊急を要する課題の一つとされている。

 最近,当病院でも,悪性骨腫瘍の一治療法として,動脈内持続注入療法と,手術的療法の併用療法が試みられている。

海外サロン

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 看護婦の指導者に対する教育に,テレビジョンを用いる連邦政府の新しい計画が最終ゴールに入った。

 このいろいろな医学指導法についてのテクニックを内容とした,10週間コースの番組が4本,ネブラスカのテレビジョン協議会によって製作された。それらには哲学的な面,目的と方法,試験の方法,伝達の仕方などについて新しい技術が含まれている。

セミナールーム・病態生理学

肥満 中野 昭一
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 従来,肥ることは健康であるという概念が世間一般に通用していたため,痩せてくるとすぐ外来を訪れる人が多いのに,肥ってくるほうは,よほど極端に肥ってこない限り病院にくることが少ない傾向にありました。

 しかし,最近肥満はことに中年を過ぎてからの肥満が,正常な生理機能を損い,生命を短かくするということが明らかにされ,肥満の害が強調されるようになってきています。

セミナールーム・法医学

自殺 江下 博彦
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自殺の場合の通則

 自殺にせよ他殺にせよその動機手段は多種多様で,前号ではその特異なケースの2例をあげてみました。それでも多くの自殺者を統計的に観察してみると,かなり共通したものがあることがわかります。

 次にあげるのは警視庁の岩田政義警視が30有余年間に行なった,2000有余の死体検視の豊富な体験にもとずいて発表された「自殺の場合の通則」を,東北大学の赤石教授が簡明に整理加筆されたものです。

セミナールーム・心療内科

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 われわれはA.T.のやり方・心身相関の問題・自己実現への道を通り抜けてきた。一定の順序に従えば誰でもできるし,その実践を通して心身相関のあり方を感得した。さらに自ら行なえば,自然に自己実現ができることも納得した。

 さてA.T.は7月号の図に示されているような,多面的な要素を含んでいる。そしてA.T.中には,意図したものの発現もあるが,企図と合わない自発的な現象も出現する。たとえば筋肉がピクピク・チクチクしたり,シネラマ様の幻覚に似た現象が(視覚系)次々に出没する。

M.S.W.の目

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 静子(51才)は戦争未亡人である。同居の吾作(実は内縁の夫)の助けをかり,農業をしながら4人の子どもを育ててきた。遺族年金と遺産(山林20町歩,畑少々)はあったが,生活は苦しくそのうえ8年前の夏病気となり,M病院に入院し現在も療養中である,当初は資産を活用するという条件で生活保護法の医療扶助を適用されたが,資産を処分しないため6年後生活保護を打ち切られた.その後は国民健康保険で医療費の3割を自己負担している。

 M市からバスで1時間20分の辺地の部落には,現在吾作と次女のユキが住んでいる。吾作は戦死した夫の遠縁にあたり,身体障害者となってからこの家に住みついて,男手として働いている。障害度は5級で年金をもらっており,気ままな生活をして,変わり者とかうすバカとか言われているが,精薄者なのか戦争によるものかはっきりしない。

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 沖縄の医療事情はきわめて貧困である。医師の数は同人口の本土の約半分,しかも,大半が沖縄本島に集中しているため,点在する離島には無医地区も多い。かねてよりそのことに心をいためていた京都府内に四つの病院を持つ「仁風会」では,沖縄久米島に診療班を派遣した。

緑の高原につどう

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日本石看護協会主催の看護学生セミナーが,群馬県北軽井沢の協会キャンプ場で開かれた。今年で4回目を迎えるこのセミナーには,全国各地から112名の看護学生が集まった。学生たちの若い声を,ともすれば形骸化しがちな組織に反映させようとの意欲的な試みであるといえよう。

ものがたり日本病院史・7

施薬院の復活 大熊 房太郎
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前回の9月号では,室町時代の末期に誕生し,安土・桃山時代をへて江戸時代の初期まで存続したキリシタン病院のあらましについて述べたが,今回は安土・桃山時代に豊臣秀吉によって復活された施薬院から話をすすめたい。

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開業医に勤めるナースです。レントゲン撮影の介助も仕事になっていますが,すべて室内操作でおこなっています。X線の特徴,とくに注意すべき点,遺伝(女性生理への影響など)について知りたいと思います。また許容量などもお願いします。

連載 現代看護の諸問題・6

看護婦の雇用関係 大山 正夫
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はじめに

 全国の医療施設で働いている従事者数は90万人を上廻る(42年末)が,そのなかで看護関係に従事する人たちの人数と分布状況はそれぞれ第1表,第1図のようになっている。すなわち補助者を含めると病院が6割,診療所が4割の比率となり,資格別にみると病院,診療所合わせて看護婦が3割,准看護婦も3割,補助者が4割という具合いである。

 病院というのは,医療法によって病床数20床以上の施設をいうことになっているが,病院数でみると小規模病院が圧倒的に多く,100床以下の病院が全病院の約3分の2を占めている。したがって第1図に示した「病院」で働いている看護婦等も診療所に近いような小規模病院にいる人たちも相当数含まれており,そのことは二病院あたりの看護婦数が12.3人,准看護婦数が12.0人となっていることからもうかがわれる。

ドクトル巷談

とんだ撮影会 広瀬 正義
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 私の医者仲間10人ほどは,ついこの間アユ狩りにいった。こんな時こそ,思いきりひなびた所がいいという皆の希望で,交通は不便ではあるが,○○川のかなり上流へいった。

 どうせ素人にアユがとれるはずもなかろうから,とりたてのアユを食べるほかに,みんなで田舎の風景でも撮影してみようじゃないかということになった。

看護遊学記—日本をとびだす・7

看護に従事する男性たち 倉舗 桂子
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 ドイツの病院で日本とちょっと違うところは,男性が看護に多く従事していることでした。統計的にみると,1966年では正規の看護人(Kranken pfleger)は13,219人ですが,実際にはこのほか,多くの無資格者の男性が看護の場で働いています。

 たとえば,

 1.医学部進学実習生

Medical Topics

小児肥満症について,他 T.O
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 先に「大気汚染と喘息」ということについて述べたが喘息と同様に新聞,テレビなどのマスコミで取りあげられ,一般社会からも関心が払われているものに小児の肥満症がある。肥満症は,喘息と同じく文明病の一つであり,戦中戦後の食糧事情の悪かった時には,小児のみならず成人にもまったく見られなかった。しかし,経済成長に伴い,食生活が豊かになるに従って肥満症は増加してくるものである。

 さて,肥満症とは,身体の脂肪組織が過剰に蓄積している状態であり,体脂肪含有率を測定すれば,肥満症であるかどうか判定することができる。しかし,このようなことは臨床的には不可能である。そこで,肥満の程度を判定する方法として,いろいろの判定法が考案されているが,一般に肥満度【(実測体重-理想体重)/理想体重×100%】が用いられ,+20%以上を肥満としている。

——

ナース一代・その6 新居 八重
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大連での患者は,帰宅後快方に向かい,無事付添看護を終え,帰京の途についた。途中,旅順の戦跡などをたずね2か月目に帰京した。

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はじめに

 肺結核症の治療法として,Hypocrates(BC460〜377)頃から「安静」は大切な要素であり,治療法中,今なお50%の治療効果があると言われている。しかし理論はどうであろうと実際には自覚症のない急病人(少なくとも患者にとっては)である結核患者の安静は守りにくいものである。

 今まで社会人として「健康」を意識していなかった人たち,(自分が結核患者になるとは夢にも考えたことがないという人が,北九州の統計によると25%ある)毎日元気で働き,レジャーを楽しみ,あるいは将来の生活設計などを考えながら生活していた人たちが,集団検診で「あなたは結核だから入院しなければいけない」と医師から言われた場合,その精神的打撃の大きいことは想像にあまりあるものがある。それらの精神的打撃やそれに対する葛藤を持ったまま,患者は入院することになる。

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 私の次男は生後7か月目に種痘後脳炎にかかり,その後遺症として右半身まひ,言語障害,ちえおくれの重症心身障害児となってしまいました。現在23歳でベッドに寝たまま家庭療育をつづけています。まるまると肥った子どもが,一瞬にして重症児となってしまった母親の悲しみは,たとえようもないものでした。ただ一日一日を真剣に看護し,世話をすることに没頭するだけでした。しかし,その一日一日は私にいろいろのことを教え,考えさせてくれました。私の暗い心,あせり,苦しみ,なやみはそのまま子どもの容態に現われることも知りました。母親としての感情に溺れず,現実をそのまま見つめて冷静に,しかも適切に,その日その時の看護をしなければならないと気づくようにもなりました。「世話」ということは,結局,相手の心になる深い愛情と客観的な理性との調和ではないかと,そのむずかしさを感じています。

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 去る6月,同志社大学マンドリンクラブ員40名を引率して西欧7か国の演奏旅行を終え帰国された。

 先生の,ギターとのつき合いは古い。昭和4年,セコビアの来日があってその演奏に魅入られて以来というから,もう40年を越える。「医者は職業柄,絶えず患者という異常な状態にある人間と生身で対決していなければならない。緊張の連続ですね。だから,それをどこかで補うというか,趣味をほかに持つ医師は多いですよ。絵とか音楽とか……。けど,あのゴルフはいけないね。患者さんはいつ来るかわからないんだ。なるべく医者は留守してはならんでしょう。私はきらいだ。やらないね,あんなものは。」

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退院の名札の整理をやめて一人一人のくらしを思う

 〔評〕人はそれぞれの生活を負って生きてゆく。この歌は人間の姿の真実をしみじみとよみ上げている。

付録 看護計画のための基礎ノート

基本情報

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看護学雑誌
33巻10号 (1969年10月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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